148 / 539
これからの事 編
とても幸いな事
しおりを挟む
恐らくだけど、彼女たちは自分より〝下〟の人にあまり興味を持っていないのだろう。
興味を持つのとすれば、自分が「~してあげる」側に立って満足感を得るため。
それに対し、私は佐藤さんたちの助けを必要としていない。
目立っていたとしても、佐藤さんたちにおもねっていれば、〝仲間〟とされていたかもしれない。
でも、中心人物である佐藤さんでさえ、本人のいない場所で悪口を言われていた。
私がどうなるかは自明だ。
それなら最初から近づかないほうがいい。
入社して割と初期の段階から、そういう判断をした。
だから彼女たちも私を〝敵〟と見なしたんだろう。
そしてトイレの個室にいる時、悪口を聞かされる羽目になる。
そんなネチャネチャした陰湿ないじめは、入社してから今までずーっと続いている。
浜崎くんが広めた〝淫乱疑惑〟が本人によって撤回されたあとも、「あんな風に皆の前で謝罪させられて、辞めさせられて可哀想だよね」と言っている。
彼女たちの中では、四年前の事を私がずっと根に持っていて(多少は根に持っていたけど)、今になって浜崎くんを追い詰め、辞めさせた……となっているらしい。
加えて慎也が辞めたのも、私が無理に迫って彼にセクハラをし、彼が逃げていった……という事になっているようだ。
慎也にセクハラって、奴が喜ぶだけじゃないか。
というのは置いておいて。
彼女たちの話を聞いていると、私の発言、行動のすべて、それ以上のモノから〝妄想〟を膨らませているのがよく分かる。
私は彼女たちをガン無視してるのに、「バカにされている」と勝手に被害妄想を感じているので、打つ手がない。
彼女たちを見ていて感じるのは、怒りより呆れだ。
「生きづらそうだなぁ……」と、ただそれだけ。
自分への同情アピールをして、嫌いな相手の悪口を言って足を引っ張る事しかしない。
随分後ろ向きで可哀想な生き方だな、と思う。
彼女たちにも長所や、正々堂々戦う武器があるはずなのに、それをきちんと使いこなせていない。
我慢強く努力して自分を磨き続け、コツコツ道を切り開いていく。
私はそうしてきたのに、彼女たちはそれができない。
うまくいかない事があるのは分かるし、他人を見ていると自分より幸せそうで妬ましくなる気持ちも分かる。
けど、自分から見えている部分しか見ようとせず、相手が見せていない大変な面を無視するのは、単なる想像力の欠如だ。
同時に感じるのは、彼女たちはネガティブな感情の、いい発散方法を知らないんだろうな、と思う。
より良い人間になるために、嫉妬は必要だ。
向上心に繋がっているとも言える。
誰にも何も嫉妬しないっていうマイペースな人はたまにいて、それはそれで平和でいいと思う。
ただほとんどの人は、自分と他人を比べて苦しむ事が多いんじゃないかな、と感じている。
その嫉妬心という強いエネルギーを、ネガティブな方向にしか使えないのは勿体ない。
かつて私も痩せている人を羨んで、苦しんでいた。
隣の芝生が青くて青くて、羨ましくて堪らなかった。
でも私は変わるきっかけを慎也と正樹に与えてもらえて、そこから一歩踏み出せた。
今でもほんの少し、隣の芝生の青さは気になるけど、自分の芝生、庭を立派に綺麗にする事になるべく集中している。
そうなれたのは、とても幸いな事だと思っている。
ただ全員がそうではなくて、環境的に変われない人もいるかもしれない。
私も仏ではないから、全員の悩みを真剣に聞いて一緒に解決する……なんて不可能だ。
そうしてあげたい気持ちはやまやまだけど、私は慈善活動家ではないし、精神科医でも教祖様でもない。
たまに愚痴を聞いてあげる程度ならできるけど、結局は自分が自分を救うしかない。
周りがどれだけ助け船を用意しても、船を見つけられない人もいるし、手を伸ばしたくても方法が分からない人も、手が動かない人もいる。
プライドの高い人は、助けを「侮辱された」と感じるかもしれない。
だから私はなるべく、自分の両手の中にいる人しか大切にしない。
冷たいかもしれないけど、自分の両手が届く範囲外までお節介をしないと決めている。
もし佐藤さんたちに、営業成績を伸ばすためのアドバイスをしてほしいと言われたら、彼女たちから守備範囲に入ってきたので、助言をするだろう。
勿論、彼女たちなりの仕事の流儀もあるので、それを尊重した上でだけど。
でも求められていない場合は、ただのお節介だ。
自分が気持ち良くなりたいだけの行為と成り果てる。
だから基本的に、私は「生きづらそうだな」と思う人を見ても、自分から声を掛けて「こうしたらいいよ」なんて言わないのだ。
毎日の営業でも、色んな人と接していて「あぁ、この人はここがウィークポイントなんだな」とうっすら分かってしまう。
仕事だから、取引先相手のツボにスルッと入り込んで、契約を勝ち取る事は多々ある。
事前に入手した情報と、あとは文香から教えてもらったセンスのいいお店や手土産、または和人くんから聞いた、経営者やエリートの考え方、ウケる話題。
興味を持つのとすれば、自分が「~してあげる」側に立って満足感を得るため。
それに対し、私は佐藤さんたちの助けを必要としていない。
目立っていたとしても、佐藤さんたちにおもねっていれば、〝仲間〟とされていたかもしれない。
でも、中心人物である佐藤さんでさえ、本人のいない場所で悪口を言われていた。
私がどうなるかは自明だ。
それなら最初から近づかないほうがいい。
入社して割と初期の段階から、そういう判断をした。
だから彼女たちも私を〝敵〟と見なしたんだろう。
そしてトイレの個室にいる時、悪口を聞かされる羽目になる。
そんなネチャネチャした陰湿ないじめは、入社してから今までずーっと続いている。
浜崎くんが広めた〝淫乱疑惑〟が本人によって撤回されたあとも、「あんな風に皆の前で謝罪させられて、辞めさせられて可哀想だよね」と言っている。
彼女たちの中では、四年前の事を私がずっと根に持っていて(多少は根に持っていたけど)、今になって浜崎くんを追い詰め、辞めさせた……となっているらしい。
加えて慎也が辞めたのも、私が無理に迫って彼にセクハラをし、彼が逃げていった……という事になっているようだ。
慎也にセクハラって、奴が喜ぶだけじゃないか。
というのは置いておいて。
彼女たちの話を聞いていると、私の発言、行動のすべて、それ以上のモノから〝妄想〟を膨らませているのがよく分かる。
私は彼女たちをガン無視してるのに、「バカにされている」と勝手に被害妄想を感じているので、打つ手がない。
彼女たちを見ていて感じるのは、怒りより呆れだ。
「生きづらそうだなぁ……」と、ただそれだけ。
自分への同情アピールをして、嫌いな相手の悪口を言って足を引っ張る事しかしない。
随分後ろ向きで可哀想な生き方だな、と思う。
彼女たちにも長所や、正々堂々戦う武器があるはずなのに、それをきちんと使いこなせていない。
我慢強く努力して自分を磨き続け、コツコツ道を切り開いていく。
私はそうしてきたのに、彼女たちはそれができない。
うまくいかない事があるのは分かるし、他人を見ていると自分より幸せそうで妬ましくなる気持ちも分かる。
けど、自分から見えている部分しか見ようとせず、相手が見せていない大変な面を無視するのは、単なる想像力の欠如だ。
同時に感じるのは、彼女たちはネガティブな感情の、いい発散方法を知らないんだろうな、と思う。
より良い人間になるために、嫉妬は必要だ。
向上心に繋がっているとも言える。
誰にも何も嫉妬しないっていうマイペースな人はたまにいて、それはそれで平和でいいと思う。
ただほとんどの人は、自分と他人を比べて苦しむ事が多いんじゃないかな、と感じている。
その嫉妬心という強いエネルギーを、ネガティブな方向にしか使えないのは勿体ない。
かつて私も痩せている人を羨んで、苦しんでいた。
隣の芝生が青くて青くて、羨ましくて堪らなかった。
でも私は変わるきっかけを慎也と正樹に与えてもらえて、そこから一歩踏み出せた。
今でもほんの少し、隣の芝生の青さは気になるけど、自分の芝生、庭を立派に綺麗にする事になるべく集中している。
そうなれたのは、とても幸いな事だと思っている。
ただ全員がそうではなくて、環境的に変われない人もいるかもしれない。
私も仏ではないから、全員の悩みを真剣に聞いて一緒に解決する……なんて不可能だ。
そうしてあげたい気持ちはやまやまだけど、私は慈善活動家ではないし、精神科医でも教祖様でもない。
たまに愚痴を聞いてあげる程度ならできるけど、結局は自分が自分を救うしかない。
周りがどれだけ助け船を用意しても、船を見つけられない人もいるし、手を伸ばしたくても方法が分からない人も、手が動かない人もいる。
プライドの高い人は、助けを「侮辱された」と感じるかもしれない。
だから私はなるべく、自分の両手の中にいる人しか大切にしない。
冷たいかもしれないけど、自分の両手が届く範囲外までお節介をしないと決めている。
もし佐藤さんたちに、営業成績を伸ばすためのアドバイスをしてほしいと言われたら、彼女たちから守備範囲に入ってきたので、助言をするだろう。
勿論、彼女たちなりの仕事の流儀もあるので、それを尊重した上でだけど。
でも求められていない場合は、ただのお節介だ。
自分が気持ち良くなりたいだけの行為と成り果てる。
だから基本的に、私は「生きづらそうだな」と思う人を見ても、自分から声を掛けて「こうしたらいいよ」なんて言わないのだ。
毎日の営業でも、色んな人と接していて「あぁ、この人はここがウィークポイントなんだな」とうっすら分かってしまう。
仕事だから、取引先相手のツボにスルッと入り込んで、契約を勝ち取る事は多々ある。
事前に入手した情報と、あとは文香から教えてもらったセンスのいいお店や手土産、または和人くんから聞いた、経営者やエリートの考え方、ウケる話題。
12
お気に入りに追加
1,840
あなたにおすすめの小説
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司は初恋の幼馴染です~社内での秘め事は控えめに~
けもこ
恋愛
高辻綾香はホテルグループの秘書課で働いている。先輩の退職に伴って、その後の仕事を引き継ぎ、専務秘書となったが、その専務は自分の幼馴染だった。
秘めた思いを抱えながら、オフィスで毎日ドキドキしながら過ごしていると、彼がアメリカ時代に一緒に暮らしていたという女性が現れ、心中は穏やかではない。
グイグイと距離を縮めようとする幼馴染に自分の思いをどうしていいかわからない日々。
初恋こじらせオフィスラブ
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる