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浜崎&五十嵐トラブル 編
本当に怖い
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私は呆れ果てて、口を挟む事もできずにいた。
「慶吾くんは私と愛を育んでいましたが、折原さんと同じ部署だったので、たびたび夜の誘いを受けて困っていると言っていました。あなたは慶吾くんが結婚すると言ったので、悔しくなって最後にまた弄ぼうとした。……違いますか?」
垂れ目気味にアイラインを引いた、カラコンにエクステ睫毛のうるんとした目で睨まれ、私はどうしたらいいか分からなくなって、ぼんやりする。
頭の中にスペースキャットの画像が流れたけれど、丁度あんな気持ちだ。
「先日の夜も、大柄な男性と一緒に慶吾くんを脅していたんですよね? たかが性欲を満たすためによってたかって脅すなんて、やり過ぎだし最低だと思います」
「いや……、あの……」
何か言おうと思ったけど、人は斜め上の事を言われると、どう対応したらいいか分からなくなって頭が真っ白になるものだ。
「折原さん、慶吾くんと同い年なんですよね? こう言うと失礼ですが、二十八歳にもなってそういう事をしているのって、どうかと思うんです。私は二十五歳ですが、私の方がしっかりしていると思います」
そう言って、五十嵐さんは華奢な体型ながら豊かに実った胸を張る。
……あぁ、浜崎くんが好きそうな体だな。
ついそんな事を考え、私は深くて長い溜め息をつく。
「折原さんはお綺麗ですが、品性は顔に出ると思います。男好きのする顔をしているって言われませんか? 色に狂っていても人生は豊かになりませんよ」
ぼんやりしていたけれど、品がないと言われ、さすがにそれはムカついた。
「あのね、好き勝手に言ってるけど、あなたの言っている事は何一つとして合ってないよ。全部浜崎くんが作り出した嘘なの。彼の事が好きなのは分かるけど、盲目になって現実も分からなくなるようになったらお終いだと思う」
私が言い返したからか、五十嵐さんは鼻白んで睨んできた。
「私、折原さんのSNSを見させてもらっていましたが、数か月前に『同僚のHくんと乾杯!』って写真が載ってたの、あれって慶吾くんの事じゃないんですか?」
こっわ! 私のSNS見てたの!? しかも数か月前まで遡って!? こっわ!
私は信じられないものを見る目で、五十嵐さんに返事をする。
「覚えている限り、数か月前の飲みなら、あれは長谷川くんという別の男性です。私が浜崎くんと個人的に飲むなどあり得ません」
事実を伝えても、五十嵐さんは私を疑いの目で見ている。
「言っておきますけど、幾ら気になるからって四年前に別れた元カノのSNSを監視するなんてどうかしてますよ。その時間、もっと有意義な事に使ったらどうです?」
バカにされたと感じたのか、五十嵐さんの目の温度が下がる。
「〝どうかしてる〟のついでにアドバイスですけど、折原さんがお友達のfamさんに差し上げたプレゼント、ちょっと趣味が悪いんじゃないかな? って思います。私ならあれだけ美人のインフルエンサーが友人なら、もっと値段の張るいい贈り物をしますけど」
げ……っ! この人、私が文香にあげたプレゼントまで見たの?
というか、famが私の友達だって知ってる? コメント欄とか見たのかな。
確かに文香は、『親友からお揃いのプレゼントをもらった』って写真を投稿してたけど、普通そこまで見る?
プレゼントについては、文香の好きなキャラクターのグッズだから、値段どうこう関係なく彼女は心から喜んでくれていた。
他にも二人でアフターヌーンティーに行って私がご馳走した。
美人の友人だから高級品のプレゼントを……とかは、余計なお世話だ。
私たちには、私たちの付き合いがある。それを他人にとやかく言われる義理はない。
……本当に怖い……。
しかも値段を調べたの?
SNSで商品を見て、購入したいと思って調べるならありだと思う。
でも他人が他人にあげたプレゼントを、送り主をバカにする気持ちで値段を調べるなんて、まともな人間のやる事じゃない。
私が半ば顔を青ざめさせて呆然と五十嵐さんを見ていると、彼女はニコッと微笑んだ。
「私の方がセンスがいいですし、気が利きます。私がfamさんの親友なら、もっと彼女の役に立って喜んでもらえる自負があります」
私が文香の友達として相応しくないって言ってるの?
あわよくば、自分が文香と友達なろうとしてる? …………まさかね。
「それに私はお料理が上手ですし、折原さんみたいにサラダチキンばっかり食べていません。あなたより私のほうがずっと〝上〟です。あなたなんて敵じゃないです」
っあー! 腹立つわ!
そりゃあサラダチキンと共に生活してたけど……。そこ、馬鹿にするトコ? 私にだって、食事をコントロールする事情っていうものがあるんだけど。
「五十嵐さんって性格悪いって言われるでしょ」
ムカムカしていると、五十嵐さんはツンと澄まして言う。
「慶吾くんは私と愛を育んでいましたが、折原さんと同じ部署だったので、たびたび夜の誘いを受けて困っていると言っていました。あなたは慶吾くんが結婚すると言ったので、悔しくなって最後にまた弄ぼうとした。……違いますか?」
垂れ目気味にアイラインを引いた、カラコンにエクステ睫毛のうるんとした目で睨まれ、私はどうしたらいいか分からなくなって、ぼんやりする。
頭の中にスペースキャットの画像が流れたけれど、丁度あんな気持ちだ。
「先日の夜も、大柄な男性と一緒に慶吾くんを脅していたんですよね? たかが性欲を満たすためによってたかって脅すなんて、やり過ぎだし最低だと思います」
「いや……、あの……」
何か言おうと思ったけど、人は斜め上の事を言われると、どう対応したらいいか分からなくなって頭が真っ白になるものだ。
「折原さん、慶吾くんと同い年なんですよね? こう言うと失礼ですが、二十八歳にもなってそういう事をしているのって、どうかと思うんです。私は二十五歳ですが、私の方がしっかりしていると思います」
そう言って、五十嵐さんは華奢な体型ながら豊かに実った胸を張る。
……あぁ、浜崎くんが好きそうな体だな。
ついそんな事を考え、私は深くて長い溜め息をつく。
「折原さんはお綺麗ですが、品性は顔に出ると思います。男好きのする顔をしているって言われませんか? 色に狂っていても人生は豊かになりませんよ」
ぼんやりしていたけれど、品がないと言われ、さすがにそれはムカついた。
「あのね、好き勝手に言ってるけど、あなたの言っている事は何一つとして合ってないよ。全部浜崎くんが作り出した嘘なの。彼の事が好きなのは分かるけど、盲目になって現実も分からなくなるようになったらお終いだと思う」
私が言い返したからか、五十嵐さんは鼻白んで睨んできた。
「私、折原さんのSNSを見させてもらっていましたが、数か月前に『同僚のHくんと乾杯!』って写真が載ってたの、あれって慶吾くんの事じゃないんですか?」
こっわ! 私のSNS見てたの!? しかも数か月前まで遡って!? こっわ!
私は信じられないものを見る目で、五十嵐さんに返事をする。
「覚えている限り、数か月前の飲みなら、あれは長谷川くんという別の男性です。私が浜崎くんと個人的に飲むなどあり得ません」
事実を伝えても、五十嵐さんは私を疑いの目で見ている。
「言っておきますけど、幾ら気になるからって四年前に別れた元カノのSNSを監視するなんてどうかしてますよ。その時間、もっと有意義な事に使ったらどうです?」
バカにされたと感じたのか、五十嵐さんの目の温度が下がる。
「〝どうかしてる〟のついでにアドバイスですけど、折原さんがお友達のfamさんに差し上げたプレゼント、ちょっと趣味が悪いんじゃないかな? って思います。私ならあれだけ美人のインフルエンサーが友人なら、もっと値段の張るいい贈り物をしますけど」
げ……っ! この人、私が文香にあげたプレゼントまで見たの?
というか、famが私の友達だって知ってる? コメント欄とか見たのかな。
確かに文香は、『親友からお揃いのプレゼントをもらった』って写真を投稿してたけど、普通そこまで見る?
プレゼントについては、文香の好きなキャラクターのグッズだから、値段どうこう関係なく彼女は心から喜んでくれていた。
他にも二人でアフターヌーンティーに行って私がご馳走した。
美人の友人だから高級品のプレゼントを……とかは、余計なお世話だ。
私たちには、私たちの付き合いがある。それを他人にとやかく言われる義理はない。
……本当に怖い……。
しかも値段を調べたの?
SNSで商品を見て、購入したいと思って調べるならありだと思う。
でも他人が他人にあげたプレゼントを、送り主をバカにする気持ちで値段を調べるなんて、まともな人間のやる事じゃない。
私が半ば顔を青ざめさせて呆然と五十嵐さんを見ていると、彼女はニコッと微笑んだ。
「私の方がセンスがいいですし、気が利きます。私がfamさんの親友なら、もっと彼女の役に立って喜んでもらえる自負があります」
私が文香の友達として相応しくないって言ってるの?
あわよくば、自分が文香と友達なろうとしてる? …………まさかね。
「それに私はお料理が上手ですし、折原さんみたいにサラダチキンばっかり食べていません。あなたより私のほうがずっと〝上〟です。あなたなんて敵じゃないです」
っあー! 腹立つわ!
そりゃあサラダチキンと共に生活してたけど……。そこ、馬鹿にするトコ? 私にだって、食事をコントロールする事情っていうものがあるんだけど。
「五十嵐さんって性格悪いって言われるでしょ」
ムカムカしていると、五十嵐さんはツンと澄まして言う。
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