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ハプバー~同居開始 編
宜しくお願いします
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けれど不意に、正樹の前の奥さんや、二人のご家族はどう思うかな? と心配になった。
「正樹は前の奥さんとまだ会ってるの?」
「いや? 浮気じゃないから慰謝料も払ってないし、綺麗さっぱり他人だよ。向こうも僕と関わって〝黒歴史〟を引きずりたくないと思う。彼女はまだ若いし、次の結婚で成功したいだろうし」
そうか……。
前の奥さんが関わらないなら安心かも。
「ご家族はどう思うかな。……というか、ご家族は正樹の性癖を知ってるの?」
私の質問に、彼は微妙な顔をして笑う。
「詳細までは分かってないんじゃないかな。元妻と別れたのも、体面のために『性格の不一致』っていう事にしたし。両親も、僕が若い時に相当遊んでいたのはうっすら知ってたみたいだ。でも複数じゃないと燃えないっていう事までは知らないんじゃないかな」
「……慎也と私が結婚して正樹も同居するなら、ご両親や友人が来た時はどうやって説明するの?」
慎也と正樹は顔を見合わせる。
「家族には、慎也夫婦の了解を得て同居してるって言うかな? 誰かが来てまずいなら、僕は別の家に避難するけど」
「まぁ、後者の方が慎重かもな。正直、結婚してる夫婦のところに兄弟姉妹が同居してるの、珍しくもないと思うけど」
慎也が言い、さらにつけ加える。
「自立した俺らが何をしても、家族は特にうるさく言わないと思う」
「ん……」
納得したようなしていないような、そんな感じで私は頷く。
普通ならそうなんだろうけど、彼らは大企業のご子息だしなぁ……っていうのは、この場では私一人が抱える不安、疑問点なんだけれど。
「あと俺、今の会社辞めるよ」
「えっ?」
いきなり会社辞める発言をしたので、私は驚いて彼を見る。
「同じ部署内で結婚するって言ったら、居心地悪くなるだろ? 浜崎さんは今後も営業部にいる訳だし、優美がさらにいじられるのは嫌だ。もしかしたら、俺をチヤホヤしている女性社員が、優美に何かするかもしれない。自惚れかもだけど、可能性は捨てきれない」
確かに、それは考えられる。
「だからこれからは、久賀城の姓を名乗って親の会社に勤めようと思う。その方が親父も喜ぶだろうし、正樹のサポートもできる」
「僕は賛成。なんなら優美ちゃんをうちの会社で引き抜いてもいいし、いっその事、専業主婦でも歓迎だし」
待て待て待て。
「私、仕事は好きなので続けたいです。子供ができたらその時に考えますけど」
「優美の好きにしていいよ。俺も貯えはあるけど、働いてガンガン稼いでいきたい気持ちはある。家業を継ぐ事はずっと抱えていた問題でもあるから、これで解決するならスッキリだ」
「慎也が決めたなら、私はもう何も言わないけど」
言いながら、私は溜め息をつく。
色んな事が立て続けに起こり、決まろうとしている。
「……こんなんでいいのかな……」
不安なまま呟いたけれど、二人とも楽観的なままだ。
「優美は今まで一人で頑張ってきただろ? だからその分、幸せになっていいと思うんだ」
「そうそう。滅多にないケースだから、不安なのは分かる。でも大概の事は、金と権力があれば何とかなるから」
正樹が恐ろしい事を言う。
「じゃあ覚悟が決まったら、お互いの家族と食事会でもしようか」
「はやっ」
思わず突っ込んだが、慎也はニコニコ笑ってる。
「鉄は熱いうちに打てってね」
「まぁ、婚約指輪の用意をする必要があるから、一年ぐらいたっぷり遊んで、来年の後半ぐらいに挨拶でいいんでない? これからクリスマスとか年末のイベントがあるし、三人で楽しまないと」
正樹の提案に慎也が「そうするか」と笑う。
「優美、さっそくだけど次の週末にでも、こっちに引っ越してこないか?」
「えっ?」
「晴れて恋人同士になれたなら、一緒にいたいじゃないか。結婚も考えて同棲するなら、お互いの生活パターンや癖とかも知っておきたいし」
「それは確かに一理あるけど……」
色々、スピーディーだなぁ……。
「決まり!」
慎也は私の頬にチュッとキスをし、幸せそうに笑う。
「ようこそ、優美ちゃん」
正樹も微笑み、彼らが幸せそうにしていると、私もなんだか「まぁ、いいか」と思えてくる。
「じゃあ、宜しくお願いします」
私は二人の手を握ってペコリと頭を下げた。
「「こちらこそ!」」
また二人から抱き締められ、私はそろそろ女性として幸せになる事を考え始めてもいいんだろうな、と心が温かくなるのを感じた。
**
「正樹は前の奥さんとまだ会ってるの?」
「いや? 浮気じゃないから慰謝料も払ってないし、綺麗さっぱり他人だよ。向こうも僕と関わって〝黒歴史〟を引きずりたくないと思う。彼女はまだ若いし、次の結婚で成功したいだろうし」
そうか……。
前の奥さんが関わらないなら安心かも。
「ご家族はどう思うかな。……というか、ご家族は正樹の性癖を知ってるの?」
私の質問に、彼は微妙な顔をして笑う。
「詳細までは分かってないんじゃないかな。元妻と別れたのも、体面のために『性格の不一致』っていう事にしたし。両親も、僕が若い時に相当遊んでいたのはうっすら知ってたみたいだ。でも複数じゃないと燃えないっていう事までは知らないんじゃないかな」
「……慎也と私が結婚して正樹も同居するなら、ご両親や友人が来た時はどうやって説明するの?」
慎也と正樹は顔を見合わせる。
「家族には、慎也夫婦の了解を得て同居してるって言うかな? 誰かが来てまずいなら、僕は別の家に避難するけど」
「まぁ、後者の方が慎重かもな。正直、結婚してる夫婦のところに兄弟姉妹が同居してるの、珍しくもないと思うけど」
慎也が言い、さらにつけ加える。
「自立した俺らが何をしても、家族は特にうるさく言わないと思う」
「ん……」
納得したようなしていないような、そんな感じで私は頷く。
普通ならそうなんだろうけど、彼らは大企業のご子息だしなぁ……っていうのは、この場では私一人が抱える不安、疑問点なんだけれど。
「あと俺、今の会社辞めるよ」
「えっ?」
いきなり会社辞める発言をしたので、私は驚いて彼を見る。
「同じ部署内で結婚するって言ったら、居心地悪くなるだろ? 浜崎さんは今後も営業部にいる訳だし、優美がさらにいじられるのは嫌だ。もしかしたら、俺をチヤホヤしている女性社員が、優美に何かするかもしれない。自惚れかもだけど、可能性は捨てきれない」
確かに、それは考えられる。
「だからこれからは、久賀城の姓を名乗って親の会社に勤めようと思う。その方が親父も喜ぶだろうし、正樹のサポートもできる」
「僕は賛成。なんなら優美ちゃんをうちの会社で引き抜いてもいいし、いっその事、専業主婦でも歓迎だし」
待て待て待て。
「私、仕事は好きなので続けたいです。子供ができたらその時に考えますけど」
「優美の好きにしていいよ。俺も貯えはあるけど、働いてガンガン稼いでいきたい気持ちはある。家業を継ぐ事はずっと抱えていた問題でもあるから、これで解決するならスッキリだ」
「慎也が決めたなら、私はもう何も言わないけど」
言いながら、私は溜め息をつく。
色んな事が立て続けに起こり、決まろうとしている。
「……こんなんでいいのかな……」
不安なまま呟いたけれど、二人とも楽観的なままだ。
「優美は今まで一人で頑張ってきただろ? だからその分、幸せになっていいと思うんだ」
「そうそう。滅多にないケースだから、不安なのは分かる。でも大概の事は、金と権力があれば何とかなるから」
正樹が恐ろしい事を言う。
「じゃあ覚悟が決まったら、お互いの家族と食事会でもしようか」
「はやっ」
思わず突っ込んだが、慎也はニコニコ笑ってる。
「鉄は熱いうちに打てってね」
「まぁ、婚約指輪の用意をする必要があるから、一年ぐらいたっぷり遊んで、来年の後半ぐらいに挨拶でいいんでない? これからクリスマスとか年末のイベントがあるし、三人で楽しまないと」
正樹の提案に慎也が「そうするか」と笑う。
「優美、さっそくだけど次の週末にでも、こっちに引っ越してこないか?」
「えっ?」
「晴れて恋人同士になれたなら、一緒にいたいじゃないか。結婚も考えて同棲するなら、お互いの生活パターンや癖とかも知っておきたいし」
「それは確かに一理あるけど……」
色々、スピーディーだなぁ……。
「決まり!」
慎也は私の頬にチュッとキスをし、幸せそうに笑う。
「ようこそ、優美ちゃん」
正樹も微笑み、彼らが幸せそうにしていると、私もなんだか「まぁ、いいか」と思えてくる。
「じゃあ、宜しくお願いします」
私は二人の手を握ってペコリと頭を下げた。
「「こちらこそ!」」
また二人から抱き締められ、私はそろそろ女性として幸せになる事を考え始めてもいいんだろうな、と心が温かくなるのを感じた。
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