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ハプバー~同居開始 編
じゃあ……、仕方ないですね
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「大事なのは優美ちゃんの気持ちだよ。男二人に攻められて、レイプされてるように感じない? 少しでも負担になるなら、今後僕は関わるのを控えるよ。君の事を気に入っているからこそ、ね」
そう言われ、胸の奥にコトンと落ちるものを感じた。
正樹はこうやって軽薄なふりをしているけれど、慎也の幸せのためなら身を引く人だ。
優しいのに、彼は特殊性癖を持っているがゆえに、普通の女性とは幸せになれない。
もしかしたら今後ずっと、彼は誰かに遠慮して自分を二の次にし続けていくのかもしれない。
「……じゃあ……、仕方ないですね」
私がそう言ったものだから、二人は「えっ?」という顔をした。
「受け入れてくれるの?」
慎也が尋ね、私は頷く。
「……僕の事も、って思っていいの?」
「…………はい」
苦笑いしながらもしっかり頷くと、正樹は目を大きく見開いた。
その目が僅かに潤んで、顔が紅潮しているように見えるのは……気のせいではないだろう。
どれだけ平気そうにしていても、結婚した相手に「異常者」と言われて傷ついていない訳がない。
一対一の恋愛をできない訳ではないだろうけど、正樹は本意ではない事を強いられていた。
我慢し続けた上、望みを口にすれば激しく拒絶された。
「可哀想」なんて一言で言える問題じゃないけれど、私が受け入れたいと思ったのだ。
「ありがとう……っ」
横から慎也が抱き締めてくる。
「ん……」
彼の腕をポンポンと叩くと、立ち上がった正樹が反対側にきて、私を抱き締めてくる。
「運命の相手だ。大切にするよ」
二人の大柄な男性から抱き締められ、私は二頭の大型犬の飼い主になった気分だ。
……まぁ、向こうは私を飼っていると思っているんだろうけど。
「その時になって狼狽える事のないように、デートする時にどうするか話し合いません?」
「普通じゃないかな? 慎也と優美ちゃんが付き合っていて、それに距離感の近い兄が同席している感じになると思う。公的な場所でイチャつく訳じゃないし、二人が結婚について考えるなら家族ぐるみで仲良くしている……、でいいんでない?」
結婚!
ずっと憧れていたものが、いきなり目の前にギュンッと迫ってきた。
それもまさか、この二人と……。
でも慎也はそこまで考えてるのかな?
心配になって彼を見ても、いつも通りの微笑みを浮かべているだけだ。
「何?」
あっけらかんとして尋ねられ、私は自分だけ色々心配しているのかな? と心配になりながら確認する。
「慎也って、私と…………その、結婚したいと思ってる?」
「思ってるよ」
サラッと即答され、私のほうが面食らう。
「あれ? 優美って結婚願望なかった?」
「あるけど……」
「俺と結婚するの嫌? まぁ、同棲してみないと分からないだろうから、近いうちに同棲したいと思ってるけど」
「嫌じゃない……けど。こんな急に決めていいの?」
心のどこかで、慎也みたいな素敵な男性には、もっと相応しい女性がいるのでは、と思っていた。
もともと自己肯定感ゼロな女だったので、素敵な男性が自分を好きになってくれて、すんなり受け入れられないでいる。
「俺は優美をずっと見てたし、想ってた。今まで深い話はできなかったから、分からない事もあるのは承知の上だ。でも、優美って大体こんな感じだろ? 裏の顔とかある?」
「い、いや」
本当は自己肯定感が低いところを除けば、裏の顔って言えるもんはないと思う。
「私生活ってどんな感じ? 部屋が汚いとか片付けられないとかあっても、俺たちがやるから安心していいよ。飯は俺が作るし、休みは三人で優美の好きな所に行こう。美味い物食べさせてあげるし、リッチなホテルにもつれて行ってあげる。旅行も、服も靴もジュエリーも、化粧品でも何でも」
「そんなのいいよ。自分で掃除できるし、ご飯も作れる。全部やろうとしてくれなくてもいいよ?」
「そう? 他に問題になりそうな事とかある?」
「うーん……」
言われて私は考える。
「……ストレス溜まったら、いきなりトレーニング始めるかも……」
真剣な顔で呟いたら、二人が「ぶわっははは!」と笑いだした。
「それぐらい、どんっどんどうぞ?」
「なんなら僕たちも一緒にトレーニングするよ?」
思いっきり笑われて、戸惑っていたのが和らいだ。
そう言われ、胸の奥にコトンと落ちるものを感じた。
正樹はこうやって軽薄なふりをしているけれど、慎也の幸せのためなら身を引く人だ。
優しいのに、彼は特殊性癖を持っているがゆえに、普通の女性とは幸せになれない。
もしかしたら今後ずっと、彼は誰かに遠慮して自分を二の次にし続けていくのかもしれない。
「……じゃあ……、仕方ないですね」
私がそう言ったものだから、二人は「えっ?」という顔をした。
「受け入れてくれるの?」
慎也が尋ね、私は頷く。
「……僕の事も、って思っていいの?」
「…………はい」
苦笑いしながらもしっかり頷くと、正樹は目を大きく見開いた。
その目が僅かに潤んで、顔が紅潮しているように見えるのは……気のせいではないだろう。
どれだけ平気そうにしていても、結婚した相手に「異常者」と言われて傷ついていない訳がない。
一対一の恋愛をできない訳ではないだろうけど、正樹は本意ではない事を強いられていた。
我慢し続けた上、望みを口にすれば激しく拒絶された。
「可哀想」なんて一言で言える問題じゃないけれど、私が受け入れたいと思ったのだ。
「ありがとう……っ」
横から慎也が抱き締めてくる。
「ん……」
彼の腕をポンポンと叩くと、立ち上がった正樹が反対側にきて、私を抱き締めてくる。
「運命の相手だ。大切にするよ」
二人の大柄な男性から抱き締められ、私は二頭の大型犬の飼い主になった気分だ。
……まぁ、向こうは私を飼っていると思っているんだろうけど。
「その時になって狼狽える事のないように、デートする時にどうするか話し合いません?」
「普通じゃないかな? 慎也と優美ちゃんが付き合っていて、それに距離感の近い兄が同席している感じになると思う。公的な場所でイチャつく訳じゃないし、二人が結婚について考えるなら家族ぐるみで仲良くしている……、でいいんでない?」
結婚!
ずっと憧れていたものが、いきなり目の前にギュンッと迫ってきた。
それもまさか、この二人と……。
でも慎也はそこまで考えてるのかな?
心配になって彼を見ても、いつも通りの微笑みを浮かべているだけだ。
「何?」
あっけらかんとして尋ねられ、私は自分だけ色々心配しているのかな? と心配になりながら確認する。
「慎也って、私と…………その、結婚したいと思ってる?」
「思ってるよ」
サラッと即答され、私のほうが面食らう。
「あれ? 優美って結婚願望なかった?」
「あるけど……」
「俺と結婚するの嫌? まぁ、同棲してみないと分からないだろうから、近いうちに同棲したいと思ってるけど」
「嫌じゃない……けど。こんな急に決めていいの?」
心のどこかで、慎也みたいな素敵な男性には、もっと相応しい女性がいるのでは、と思っていた。
もともと自己肯定感ゼロな女だったので、素敵な男性が自分を好きになってくれて、すんなり受け入れられないでいる。
「俺は優美をずっと見てたし、想ってた。今まで深い話はできなかったから、分からない事もあるのは承知の上だ。でも、優美って大体こんな感じだろ? 裏の顔とかある?」
「い、いや」
本当は自己肯定感が低いところを除けば、裏の顔って言えるもんはないと思う。
「私生活ってどんな感じ? 部屋が汚いとか片付けられないとかあっても、俺たちがやるから安心していいよ。飯は俺が作るし、休みは三人で優美の好きな所に行こう。美味い物食べさせてあげるし、リッチなホテルにもつれて行ってあげる。旅行も、服も靴もジュエリーも、化粧品でも何でも」
「そんなのいいよ。自分で掃除できるし、ご飯も作れる。全部やろうとしてくれなくてもいいよ?」
「そう? 他に問題になりそうな事とかある?」
「うーん……」
言われて私は考える。
「……ストレス溜まったら、いきなりトレーニング始めるかも……」
真剣な顔で呟いたら、二人が「ぶわっははは!」と笑いだした。
「それぐらい、どんっどんどうぞ?」
「なんなら僕たちも一緒にトレーニングするよ?」
思いっきり笑われて、戸惑っていたのが和らいだ。
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