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ハプバー~同居開始 編
そんなくだらない事考えてたの!?
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「さすがにハプバーの会員にはなってないから、出張中の正樹に連絡して、会員の知り合いがいないか必死に探してもらった。結果的に、正樹の知り合いが紹介してくれて、何とか入る事ができたけど……」
そのあと、慎也は溜め息をつきながら兄を見る。
彼の視線を受け、正樹が楽しげに笑った。
「慎也の片思いの相手がハプバーに入るなんて面白すぎるから、可能だったらその子をお持ち帰りして紹介してよって言ったのは僕かな?」
ああああああああ……。
私は何をやっても、墓穴を掘っていた訳だ。
「でも、勘違いしないでほしいのは、正樹に会わせるのを第一目的でうちに連れてきた訳じゃない事」
「ん……」
ここまで説明されれば、慎也の真剣な片思いと、正樹が途中で入り込んできた事は別件だと分かる。
慎也はまた大きな溜め息をついた。
「優美がどこの誰とも知らない相手と、簡単にセックスしたら困る。だから、〝岬慎也はハプバー常連〟と思われようが、俺が優美とヤるって決めたんだ。あんな所に行くまで追い詰められていたなら、ハプバーに行かなくてもナンパされて簡単に引っかかったかもしれない。弱ってる女性って、意外とコロッといくって聞いてるし。…………だから、嫌われる覚悟で優美を抱くって決めた」
慎也が少し頬を染めて、怒ったように言う。
彼の様子を見て私まで照れてしまい、「……ごめん」と何となく謝る。
「……頼むから、二度と行かないでほしい」
慎也は私の肩を掴み、目を見つめて強い口調で言ってくる。
「……俺を彼氏にしてくれるなら、今後絶対行かないでほしい」
懇願する彼の表情が苦しげなのは、いまだ私がハッキリした答えを出していないからだ。
だから彼も強く言い切れないでいるんだろう。
「ごめ……」
謝りかけた時、慎也がとんでもない事を言った。
「代わりに、ハプバーなんて目じゃない刺激を俺があげるから。なんなら、必要に応じて正樹も参加したらもっと刺激的になる」
そうじゃなーーーーーーい!!
思わず私は慎也の肩をポンと叩いて、内心で思いきり突っ込んだ。
「……いや、間に合ってます……」
息も絶え絶えに言い、私は首を横に振る。
はぁ……、と大きな溜め息をつき、私は甘い匂いのするコーヒーを飲む。
おいしい……。
コーヒーを飲みながら、向かいにいる正樹を見ないように伏し目がちに考えた。
私が置かれている状況は、普通じゃない。
私さえハプバーに行かなければ、慎也はまっとうな告白してくれた可能性だってある。
……それを取り合わない雰囲気にしていたのは、私なんだけど。
もし告白されたとして、何だかんだ悩んだ挙げ句、「よし、付き合おう」となったかもしれない。
これだけいい男だもの、浜崎くんの事や会社での噂をさっ引いても、自分の幸せのためにきちんと付き合おうと思う可能性はなきにしもあらずだ。
今、私が戸惑っているのは、体から始まってしまった戸惑いと、正樹が私たちの付き合いに加わる可能性があるからだ。
それともう一つ別の理由もあるけれど、それはもう今さら……っていう感じもする。
頭の中で纏めたあと、私は正樹を見る。
彼は「ん?」と眉を上げ笑いかけてきた。
うーん、悪い人じゃないんだよなぁ……。
ただちょっと、歪んでいるだけで……。
そしてその歪んだ理由も、同情しうるものである。
「僕の事は考えなくていいよ。弟が好きな女性と付き合えるかもしれないっていう時に、僕が障害になるのは本位ではないし」
正樹はニコニコして言う。
「……お気持ちはありがたいですが、事情を知ってしまった以上、正樹さんを無視するのもちょっと違う気がするんです」
「じゃあ、受け入れてくれるの?」
ニコッと微笑んだ正樹に尋ねられ、私は「うーん」と深く考える。
「逆に、三人だと何が嫌?」
「……二度も致しておきながらですが、世間体とか、周囲にどう言い訳するかとか……」
「そんなくだらない事考えてたの!?」
正樹が大きな声を出し、私は目をまん丸にする。
くだらないのか!
「逆にお聞きしますが、天下の久賀城ホールディングスの副社長が、弟と彼女を共有してるって世間様に知られたらどうします?」
「え、どうでも良くない? 仕事はきちんとしているのに、プライベートで責められる理由が分からない。法を犯す事もしていないし、不倫でもない。俺はハプバーに出入りしてないから、スクープされる恐れもない。三人で食事したり、デートする可能性はあるけど、なんで〝世間様〟にビクビクしないといけないの?」
スパーンと迷いなく言う正樹を見ていると、私のほうが間違えているように思える。
そのあと、慎也は溜め息をつきながら兄を見る。
彼の視線を受け、正樹が楽しげに笑った。
「慎也の片思いの相手がハプバーに入るなんて面白すぎるから、可能だったらその子をお持ち帰りして紹介してよって言ったのは僕かな?」
ああああああああ……。
私は何をやっても、墓穴を掘っていた訳だ。
「でも、勘違いしないでほしいのは、正樹に会わせるのを第一目的でうちに連れてきた訳じゃない事」
「ん……」
ここまで説明されれば、慎也の真剣な片思いと、正樹が途中で入り込んできた事は別件だと分かる。
慎也はまた大きな溜め息をついた。
「優美がどこの誰とも知らない相手と、簡単にセックスしたら困る。だから、〝岬慎也はハプバー常連〟と思われようが、俺が優美とヤるって決めたんだ。あんな所に行くまで追い詰められていたなら、ハプバーに行かなくてもナンパされて簡単に引っかかったかもしれない。弱ってる女性って、意外とコロッといくって聞いてるし。…………だから、嫌われる覚悟で優美を抱くって決めた」
慎也が少し頬を染めて、怒ったように言う。
彼の様子を見て私まで照れてしまい、「……ごめん」と何となく謝る。
「……頼むから、二度と行かないでほしい」
慎也は私の肩を掴み、目を見つめて強い口調で言ってくる。
「……俺を彼氏にしてくれるなら、今後絶対行かないでほしい」
懇願する彼の表情が苦しげなのは、いまだ私がハッキリした答えを出していないからだ。
だから彼も強く言い切れないでいるんだろう。
「ごめ……」
謝りかけた時、慎也がとんでもない事を言った。
「代わりに、ハプバーなんて目じゃない刺激を俺があげるから。なんなら、必要に応じて正樹も参加したらもっと刺激的になる」
そうじゃなーーーーーーい!!
思わず私は慎也の肩をポンと叩いて、内心で思いきり突っ込んだ。
「……いや、間に合ってます……」
息も絶え絶えに言い、私は首を横に振る。
はぁ……、と大きな溜め息をつき、私は甘い匂いのするコーヒーを飲む。
おいしい……。
コーヒーを飲みながら、向かいにいる正樹を見ないように伏し目がちに考えた。
私が置かれている状況は、普通じゃない。
私さえハプバーに行かなければ、慎也はまっとうな告白してくれた可能性だってある。
……それを取り合わない雰囲気にしていたのは、私なんだけど。
もし告白されたとして、何だかんだ悩んだ挙げ句、「よし、付き合おう」となったかもしれない。
これだけいい男だもの、浜崎くんの事や会社での噂をさっ引いても、自分の幸せのためにきちんと付き合おうと思う可能性はなきにしもあらずだ。
今、私が戸惑っているのは、体から始まってしまった戸惑いと、正樹が私たちの付き合いに加わる可能性があるからだ。
それともう一つ別の理由もあるけれど、それはもう今さら……っていう感じもする。
頭の中で纏めたあと、私は正樹を見る。
彼は「ん?」と眉を上げ笑いかけてきた。
うーん、悪い人じゃないんだよなぁ……。
ただちょっと、歪んでいるだけで……。
そしてその歪んだ理由も、同情しうるものである。
「僕の事は考えなくていいよ。弟が好きな女性と付き合えるかもしれないっていう時に、僕が障害になるのは本位ではないし」
正樹はニコニコして言う。
「……お気持ちはありがたいですが、事情を知ってしまった以上、正樹さんを無視するのもちょっと違う気がするんです」
「じゃあ、受け入れてくれるの?」
ニコッと微笑んだ正樹に尋ねられ、私は「うーん」と深く考える。
「逆に、三人だと何が嫌?」
「……二度も致しておきながらですが、世間体とか、周囲にどう言い訳するかとか……」
「そんなくだらない事考えてたの!?」
正樹が大きな声を出し、私は目をまん丸にする。
くだらないのか!
「逆にお聞きしますが、天下の久賀城ホールディングスの副社長が、弟と彼女を共有してるって世間様に知られたらどうします?」
「え、どうでも良くない? 仕事はきちんとしているのに、プライベートで責められる理由が分からない。法を犯す事もしていないし、不倫でもない。俺はハプバーに出入りしてないから、スクープされる恐れもない。三人で食事したり、デートする可能性はあるけど、なんで〝世間様〟にビクビクしないといけないの?」
スパーンと迷いなく言う正樹を見ていると、私のほうが間違えているように思える。
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