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ハプバー~同居開始 編
もう二度としたくない? してもいい?
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「そんで、優美ちゃんから見たら、僕らも〝ギラギラした男〟の一人でしょ? ごめんね」
「い、いえ……」
ぶっちゃけ図星だ。
けれど、こうして彼らの事を深く知ると、別の感情が生まれるので、一概に〝同じ〟とは言えない。
「それに、浜崎ってパッとしない、それでいてクズと付き合ってたんでしょ?」
凄く思いきり良く言うな。
「あー……、そう、ですね。自分としては黒歴史ですが」
「だね。黒歴史だと思うよ。慎也から聞かされて僕も思ってた」
小さく笑ったあと、正樹は「トリートメント馴染むまで、お風呂浸かってな」と私を立たせた。
髪の毛を纏めるのに、ブランド物のロゴがついたヘアクリップを渡された。
そんな高価な物をお風呂で使うのは恐れ多いけれど、トリートメントのついた髪をお湯につける訳にいかないので使わせてもらう。
正樹は手早く自分の髪と体を洗い始めた。
それを見ている訳にいかず、私は彼に背中を向けてお湯に浸かる。
月曜の朝なのに、会社を休んでこんな事をしてるなんて罪悪感が半端ない。
やがて正樹がバスタブに入ってきた。
「さっきは凄く怒ってたけど、ちょっとは見方を変えてくれた?」
「……確かに、ただの遊び人でない事は分かりました。家庭環境を理由に、愛されないと思い込むトラウマ、ストレス、それを何とかしたいと思う兄弟愛からの慎也の行動も理解しました」
「ありがと」
正樹は濡れた手で前髪を掻き上げ、にっこり笑う。
私は溜め息をつき、自分の吐息でできた波紋を何とはなしに見る。
「結局、お二人は私に何を求めていますか?」
「んー、そうだね。慎也はまじめに優美ちゃんの事が好きだから、本気で付き合ってほしいんだと思う。僕はそれを応援したい」
慎也の望みについては理解した。
彼からはもともと会社で熱い視線をもらっていて、さらにハプバーでなし崩しに致してしまった。
そのあとに告白されたので「責任を取るため?」と思ったし、正直どこまで本気なのか分からなかった。
けれど正樹から説明をしてもらい、慎也の気持ちの本気具合は理解した。
「……あなたは?」
お互い全裸なので、彼の顔だけを見る。
すると正樹は穏やかな、けれどどこか達観して諦めた表情で笑う。
「僕は、僕の歪みを理解してくれた人でないと、付き合えないかな。もし優美ちゃんが僕の歪みを受け入れてくれるっていうなら、本気で君を好きになりそう……だけど」
静かな微笑みの奥に、微かな狂気が見える。
彼の事情を分かっているからこそ、私は何とも言えず曖昧に微笑む。
「慎也と付き合うつもりはある?」
「……彼が真剣に私を好きなら、付き合いたいと思います」
「そこに僕が混じるのをどう思う?」
思わず、溜め息をつく。
「じゃあ、シンプルに聞こう。もう二度と三人でしたくない? してもいい?」
イエスかノーかを問われ、私は赤面しつつ答える。
「……気持ち良かったです。びっくりして羞恥が二倍以上で、精神的にキツかったですけど、背徳感もあって悦んでいる自分がいました」
彼の顔を見ないで答える私を、正樹は目を細めて見つめていた。
心の底から愉悦を得た彼の表情を知っていたら、私はこのあとに迫る未来を回避できただろうか。
「……嫌ではないんです。でも、非常識だと思う自分もいて、いけない事だと思うと、恥ずかしさとか怖さとかも感じます」
「うん、分かるよ」
バスタブの底についていた手を、正樹が握ってくる。
「正樹さんの事は素敵だと思います。第一印象では、とても格好いい人だと思いました。社会的地位も申し分ないと思います」
「ありがと」
褒め言葉自体は興味ないけれど、一応お礼を言うという体で彼は頷いた。
「だから、正樹さん本人に対しても生理的な嫌悪はありません。今も話しやすい人だと思っていますし、〝もしも〟慎也がいなければ惹かれていたかもしれません」
「素直な感想をありがとう。あと〝さん〟はいらないからね」
「はい」
「できれば、慎也にしているみたいに接してほしいな」
「いや……、それはまだちょっとハードルが高いです」
「そっか。なら少しずつ」
「はい、努力します」
しばし、私は黙ったまま正樹に手を握られていた。
「い、いえ……」
ぶっちゃけ図星だ。
けれど、こうして彼らの事を深く知ると、別の感情が生まれるので、一概に〝同じ〟とは言えない。
「それに、浜崎ってパッとしない、それでいてクズと付き合ってたんでしょ?」
凄く思いきり良く言うな。
「あー……、そう、ですね。自分としては黒歴史ですが」
「だね。黒歴史だと思うよ。慎也から聞かされて僕も思ってた」
小さく笑ったあと、正樹は「トリートメント馴染むまで、お風呂浸かってな」と私を立たせた。
髪の毛を纏めるのに、ブランド物のロゴがついたヘアクリップを渡された。
そんな高価な物をお風呂で使うのは恐れ多いけれど、トリートメントのついた髪をお湯につける訳にいかないので使わせてもらう。
正樹は手早く自分の髪と体を洗い始めた。
それを見ている訳にいかず、私は彼に背中を向けてお湯に浸かる。
月曜の朝なのに、会社を休んでこんな事をしてるなんて罪悪感が半端ない。
やがて正樹がバスタブに入ってきた。
「さっきは凄く怒ってたけど、ちょっとは見方を変えてくれた?」
「……確かに、ただの遊び人でない事は分かりました。家庭環境を理由に、愛されないと思い込むトラウマ、ストレス、それを何とかしたいと思う兄弟愛からの慎也の行動も理解しました」
「ありがと」
正樹は濡れた手で前髪を掻き上げ、にっこり笑う。
私は溜め息をつき、自分の吐息でできた波紋を何とはなしに見る。
「結局、お二人は私に何を求めていますか?」
「んー、そうだね。慎也はまじめに優美ちゃんの事が好きだから、本気で付き合ってほしいんだと思う。僕はそれを応援したい」
慎也の望みについては理解した。
彼からはもともと会社で熱い視線をもらっていて、さらにハプバーでなし崩しに致してしまった。
そのあとに告白されたので「責任を取るため?」と思ったし、正直どこまで本気なのか分からなかった。
けれど正樹から説明をしてもらい、慎也の気持ちの本気具合は理解した。
「……あなたは?」
お互い全裸なので、彼の顔だけを見る。
すると正樹は穏やかな、けれどどこか達観して諦めた表情で笑う。
「僕は、僕の歪みを理解してくれた人でないと、付き合えないかな。もし優美ちゃんが僕の歪みを受け入れてくれるっていうなら、本気で君を好きになりそう……だけど」
静かな微笑みの奥に、微かな狂気が見える。
彼の事情を分かっているからこそ、私は何とも言えず曖昧に微笑む。
「慎也と付き合うつもりはある?」
「……彼が真剣に私を好きなら、付き合いたいと思います」
「そこに僕が混じるのをどう思う?」
思わず、溜め息をつく。
「じゃあ、シンプルに聞こう。もう二度と三人でしたくない? してもいい?」
イエスかノーかを問われ、私は赤面しつつ答える。
「……気持ち良かったです。びっくりして羞恥が二倍以上で、精神的にキツかったですけど、背徳感もあって悦んでいる自分がいました」
彼の顔を見ないで答える私を、正樹は目を細めて見つめていた。
心の底から愉悦を得た彼の表情を知っていたら、私はこのあとに迫る未来を回避できただろうか。
「……嫌ではないんです。でも、非常識だと思う自分もいて、いけない事だと思うと、恥ずかしさとか怖さとかも感じます」
「うん、分かるよ」
バスタブの底についていた手を、正樹が握ってくる。
「正樹さんの事は素敵だと思います。第一印象では、とても格好いい人だと思いました。社会的地位も申し分ないと思います」
「ありがと」
褒め言葉自体は興味ないけれど、一応お礼を言うという体で彼は頷いた。
「だから、正樹さん本人に対しても生理的な嫌悪はありません。今も話しやすい人だと思っていますし、〝もしも〟慎也がいなければ惹かれていたかもしれません」
「素直な感想をありがとう。あと〝さん〟はいらないからね」
「はい」
「できれば、慎也にしているみたいに接してほしいな」
「いや……、それはまだちょっとハードルが高いです」
「そっか。なら少しずつ」
「はい、努力します」
しばし、私は黙ったまま正樹に手を握られていた。
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