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ハプバー~同居開始 編

どうしてハプバーにいたの?

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「いいじゃん、優美。この子、いい子っぽいよ?」
「でも……」

 私が言うなって話だけど、体から始まった関係というのが……。

『これから会って話せませんか? 今どこです?』

 それはちょっと……と思っていたら、文香が「あのねー」とスラスラと私たちがいるカフェの場所と店名を答えてしまった。コノヤロウ。

『じゃあ、これからすぐ行きます! 折原さん、逃げないでくださいね!』

 プツッと電話が切れ、私は呆気にとられたままホーム画面に戻るスマホを凝視する。

「ふっ……文香さんっ」

 物凄い顔で親友を見たが、彼女はケロリとしたままだ。

「あーあ、パフェ溶けてきちゃった。優美も早く食べなよ」

「う、うん」

 しばらく私たちが黙ってパフェを掬い、やがて完食する。

「ここまで来たなら腹くくりなよ」

「文香が勝手に電話に出たんじゃん」

「そうだけどさ。ここまでしないとあんた動けないでしょ」

「返す言葉もない……」

「文香、いてくれるよね?」

「そりゃあ、私が招いた事だから、いま帰るなんてしないけど。でも途中で席を外すから、あとは二人でゆっくり話してみな? それでスッキリして、明日からバリバリ働けるようにね」

「……分かった」

 私一人なら、落ち込んでジメジメして終わりだった。
 明日から出勤しても、岬くんを避けまくって終わりだろう。

 その意味で、きちんと彼と話し合えるのはありがたい。





 緊張しながら文香と話していると、私のスマホが鳴り『着きました』と岬くんからメッセージが入った。
 なぜ連絡先を知っているかというと、一度一緒に飲んだ事があるからだ。

「あ、来た? 私ちょっと迎えに行くね」

 文香はそう言って個室を出て、すぐに岬くんを連れて戻って来た。

 う……っ!

 相変わらず眩しいぐらいのイケメンで、私は目を合わせられずそっぽを向く。
 ソフトツーブロックの髪に、黒いロングTシャツにジーンズ、グレーのジャケット。
 シンプルな格好なのに、モデルのように格好いい。

「ホットコーヒーをお願いします」

 向かいに座った岬くんは店員さんにコーヒーを頼んだ。
 彼が何か言う前に、私はテーブルに額をつけるほど頭を下げて謝った。

「っごめんなさい!」

「あのー、どっちかと言うと俺が折原さんをキズモノにしたのであって、謝ってもらう理由が分からないんですが」

 岬くんは困ったように言い、苦笑いして私を見る。

「私、途中で帰っちゃったし……」

「我に返ったんだなーっていうのは、察しました」

 その通りである。

「俺も、気持ち良くなってオラオラ攻めてすみません。ああいう感じでするのが好きなので、ちょうど需要と供給が合ったみたいなんです」

 私は無言で赤面する。

 友達のいる前で、プレイの内容を仄めかすような事を言うのはやめてほしい。
 まぁ、親友の文香とは、隠し事などないのだけれど。

「岬くんはどうしてハプバーにいたの?」

「あ、それは言えません」

 文香の質問に、岬くんはサラッと爽やかに言う。

「特殊性癖があるとか? 優美と付き合いたいって言うなら、変な男と付き合わせたくないから、素直に言ってほしいんだけど」

「大体の事には対応できますが、基本ノーマルです」

 うう……。こういう幅広いタイプが一番信用できない。

「複数とか好きだったりする? 見られて興奮するタチ?」

 微笑んで質問する文香に、岬くんはニコニコ笑って何も答えない。
 ああああああっ! 怖い!

「詳細は優美と相談してもらうけど、複数が好きなら優美との付き合いは私は認めたくないかな。女って、自分一人を見てもらいたいもんだから」

「問題ありません。俺は一人の女性しか追いかけたくありませんから」

「ならいいんだけど」

 その時、コーヒーが運ばれてきて、岬くんはブラックのまま飲む。
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