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ハプバー~同居開始 編
セックスって凄いです
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「どーすんのよ、それ」
私の目の前で、友人の文香が呆れきった顔をしている。
半眼を通り越して白目になりかけている。
いや、もう白い目で見てくれていい。
私はそれだけの恥ずかしい事をしてしまった。
ハプバーに行ったのが土曜日で、今日は日曜日だ。
街はこれからハロウィンを迎えようとしていて、紫とオレンジに染まっている。
私たちは女性に人気のある個室カフェに来て、ハロウィン限定のパフェをつついていた訳だけれど……。
「っていうか、偶然後輩に会ってシた挙げ句、ろくに話さず帰っちゃったって、やり逃げでね?」
「……デスヨネ……」
もう、何も言い訳できない。
彼だって楽しみに来たのに、あんな帰り方をされては、自分がまずい事をしたと不安になっただろう。
性的な事があった場合、男性は冤罪になりやすい。
ろくに説明もできず逃げるように、被害者のように去ってしまい、もしかしたら彼をとんでもなく不安にさせてしまったかもしれない。
「会社で彼に会ったら、こっそり謝っといたら?」
「……デスヨネ……。ソウシマス……」
「あんたってホント、バリキャリみたいな顔しといて、中身は抜けてるよね。そういうところが私は気に入ってるけど、二十八なんだからもうちょっとホントにあの……、頑張れよ?」
文香は投資家、兼、美容インフルエンサーをしている。
ハプバーには、社会経験のために彼氏と一緒に行ってみたらしい。
会員になった上で紹介が必要なので、私は彼女に紹介してもらったのだけれど……。
「……見た目はS女でも、中身は高校生の私が、ハプバーに行こうとしたのが間違いでした……」
「反省もいいけど、ヤッちゃって好きになった?」
艶のある綺麗なロングヘアに睫毛バシバシの文香は、まごう事なき美女だ。
私も第三者からそういうタイプに見られているらしいので、周囲からは〝似た者同士の親友〟と言われている。
といっても、文香が中身も堂々としているのに対し、私は半ば見かけ倒し。
文香は知的好奇心を満たすために何でも体験するし、頭が良くてとても要領がいい。
彼女はお嬢様育ちで、私と同じ大学出身だ。
家業の会社に勤める気はなく、美容医療系で働いていたけれど、学生の頃から続けていた投資額が大台に乗ったのもあり、FIREして投資家となった。
現在は幼馴染みの彼氏と結婚前提で付き合っていて、経済的な余裕がある。
美容やコスメが好きなのもあって、趣味で化粧品の使用感などをSNSで発信していたら、今ではインフルエンサーだ。
だから美容やお金情報に関してはとてもお世話になっている。
彼女の彼氏は商社勤めのエリートで、結婚秒読みだ。
それなのにハプバーに行っていいのかという話だけれど、彼女の場合は取材目的で、彼氏も同行した上での事だ。
私のように本気で挑んでいなかったのである。
「……セックスって凄いです」
深く溜め息をつきながら降参すると、文香が手を伸ばして「よしよし」と私の頭を撫でてきた。
「ホントにあんたは拗らせてるよね……。浜崎だっけ? ろくでもない奴にヤリマンなんて噂を流されたから、ムキになって筋肉に走っちゃって……」
「筋肉は裏切らない」
「いや、そうだけどさ。現実を見なよ」
何かあるとすぐ筋肉に訴えようとするのは、私の悪い癖だ。
昨日も家に帰ったあと、何も考えずにプロテインを作って思いきりシェイクし、ゴッゴッと飲んだあとに腹筋背筋スクワット、マウンテンクライマーに、ありとあらゆる室内向けのメニューに励んだ。
そのあとはお風呂に入って寝た! ……のだけれど。
翌日になって文香に報告する予定になっていたので、予約していたこのカフェでランチを取り、デザートをつついている流れになる。
「しかし、会社の後輩はちょっとやらかした感じでない? 口止めとかは大丈夫なの?」
「多分。向こうから積極的に誘ってきた感じだったし、お互い言いふらされるとまずいのは分かっていただろうし」
「それならいいんだけど……」
頷いて、文香はパフェの上に乗っているパンプキンクッキーを囓る。
私の目の前で、友人の文香が呆れきった顔をしている。
半眼を通り越して白目になりかけている。
いや、もう白い目で見てくれていい。
私はそれだけの恥ずかしい事をしてしまった。
ハプバーに行ったのが土曜日で、今日は日曜日だ。
街はこれからハロウィンを迎えようとしていて、紫とオレンジに染まっている。
私たちは女性に人気のある個室カフェに来て、ハロウィン限定のパフェをつついていた訳だけれど……。
「っていうか、偶然後輩に会ってシた挙げ句、ろくに話さず帰っちゃったって、やり逃げでね?」
「……デスヨネ……」
もう、何も言い訳できない。
彼だって楽しみに来たのに、あんな帰り方をされては、自分がまずい事をしたと不安になっただろう。
性的な事があった場合、男性は冤罪になりやすい。
ろくに説明もできず逃げるように、被害者のように去ってしまい、もしかしたら彼をとんでもなく不安にさせてしまったかもしれない。
「会社で彼に会ったら、こっそり謝っといたら?」
「……デスヨネ……。ソウシマス……」
「あんたってホント、バリキャリみたいな顔しといて、中身は抜けてるよね。そういうところが私は気に入ってるけど、二十八なんだからもうちょっとホントにあの……、頑張れよ?」
文香は投資家、兼、美容インフルエンサーをしている。
ハプバーには、社会経験のために彼氏と一緒に行ってみたらしい。
会員になった上で紹介が必要なので、私は彼女に紹介してもらったのだけれど……。
「……見た目はS女でも、中身は高校生の私が、ハプバーに行こうとしたのが間違いでした……」
「反省もいいけど、ヤッちゃって好きになった?」
艶のある綺麗なロングヘアに睫毛バシバシの文香は、まごう事なき美女だ。
私も第三者からそういうタイプに見られているらしいので、周囲からは〝似た者同士の親友〟と言われている。
といっても、文香が中身も堂々としているのに対し、私は半ば見かけ倒し。
文香は知的好奇心を満たすために何でも体験するし、頭が良くてとても要領がいい。
彼女はお嬢様育ちで、私と同じ大学出身だ。
家業の会社に勤める気はなく、美容医療系で働いていたけれど、学生の頃から続けていた投資額が大台に乗ったのもあり、FIREして投資家となった。
現在は幼馴染みの彼氏と結婚前提で付き合っていて、経済的な余裕がある。
美容やコスメが好きなのもあって、趣味で化粧品の使用感などをSNSで発信していたら、今ではインフルエンサーだ。
だから美容やお金情報に関してはとてもお世話になっている。
彼女の彼氏は商社勤めのエリートで、結婚秒読みだ。
それなのにハプバーに行っていいのかという話だけれど、彼女の場合は取材目的で、彼氏も同行した上での事だ。
私のように本気で挑んでいなかったのである。
「……セックスって凄いです」
深く溜め息をつきながら降参すると、文香が手を伸ばして「よしよし」と私の頭を撫でてきた。
「ホントにあんたは拗らせてるよね……。浜崎だっけ? ろくでもない奴にヤリマンなんて噂を流されたから、ムキになって筋肉に走っちゃって……」
「筋肉は裏切らない」
「いや、そうだけどさ。現実を見なよ」
何かあるとすぐ筋肉に訴えようとするのは、私の悪い癖だ。
昨日も家に帰ったあと、何も考えずにプロテインを作って思いきりシェイクし、ゴッゴッと飲んだあとに腹筋背筋スクワット、マウンテンクライマーに、ありとあらゆる室内向けのメニューに励んだ。
そのあとはお風呂に入って寝た! ……のだけれど。
翌日になって文香に報告する予定になっていたので、予約していたこのカフェでランチを取り、デザートをつついている流れになる。
「しかし、会社の後輩はちょっとやらかした感じでない? 口止めとかは大丈夫なの?」
「多分。向こうから積極的に誘ってきた感じだったし、お互い言いふらされるとまずいのは分かっていただろうし」
「それならいいんだけど……」
頷いて、文香はパフェの上に乗っているパンプキンクッキーを囓る。
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