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ハプバー~同居開始 編

社会的死、決定

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 お一人様上等で、あらゆる場所に堂々と行けるのは当たり前なので、集団でなければ行動できない学生女子的心理とは程遠い。

「寂しくない?」と時々空気の読めないおっさんに言われるけど……。

 寂しいに決まってる!

 現在私は二十八歳で、最後に付き合っていたのは二十四歳の時だ。
 当時の彼氏は同僚だ。

 奴は当時の私の仕事ぶりと稼ぎに引け目を感じていた。
 その上、いざセックスという時になってお酒を飲みすぎて勃たず、最終的にミッションコンプリートできなかった人物である。

 私は「そんな事もあるよ」と慰めて、次回に……と思っていたのだけれど。

 奴は人一倍プライドが高かったようで、勃起できなかった事に相当傷ついたようだ。

 それなのになぜか、友人や知り合いに「あいつ、すっごいヤリマンで搾り取られたwww」と吹聴されてしまったので、私の評判はだだ下がりだ。

 私は「美人でヤリマンの折原さん」として名を馳せていく。

 一方で、元彼は小動物みたいな可愛い彼女を社外に作り、つい最近「できちゃったんで結婚しまーす」と報告していた。

 ふざけんな。

 という事で、ゴッリゴリに怒り狂った私は、親友からハプバーの話を聞いて、単身乗り込んだのだった。




 そして現在。

「隣、いいですか?」

 話しかけて来たのは、少しヒョロッとしているけれどイケメンだ。

「どうぞ」

 よし、きたきた。
 私は微笑んでカウンターにもたれ掛かる。

「どっちですか?」

 ん? 「どっち」?

 彼の言う事が分からずに目を瞬かせていると、彼はうっとりと目を細めて自分の喉元をキュッと軽く締めた。

「僕の予想ですと、お姉さんはSの人かな? と思うんですが。即興の奴隷をお求めなら、喜んでお供します」

 っああぁああああぁあ!!!

 盛大な勘違いをされ、私は内心絶叫する。

 ちがう!!
 私は!
 普通に!

 自分より強い雄にオラオラされたいの!

「ごめんなさい。あなたは私の求めているタイプじゃないみたいです」

 微笑んできっぱり告げると、彼はとても残念そうな顔をして「そうですか。仕方ありませんね」と去っていった。

 ふぅぅ……。
 なるほど。色んな性癖の人がいるな……。

 上のフロアにはSM用の吊りをやるスペースもあるみたいだし、あらゆる性癖を持つ人がここに来て、上手にマッチングしたあとの〝ハプニング〟を期待している。
 店では性癖に合わせたイベントなども頻繁に開催しているようだ。

 私は〝ハプニングバー初心者さん向け〟というイベントに参加したつもりだったんだけど……。
 すでにあれだけ仕上がっている人も初心者なのか。

 勉強になりました。





 ――と、ポンと肩を叩かれた。

 はぁ? 突然お触りするの、マナー違反じゃない?
 そう思って私はすんごい不機嫌な顔で振り向いたのだけれど――。


 っっぎゃああぁああああぁ!!!


「あ、やっぱり折原さんだった」

 目の前に立っているのは、会社の後輩だ!

 終わった!
 社会的な! 死!
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