134 / 155
完結篇
第5話 堕ちるまでに⑥
しおりを挟む
目の前に男がいた。
確か実験体を集めていたブルーノだった。その手に切られた腕を持っていた。
「最初から気になってはいたが、アレイスターの狙いはこれか」
ブルーノは銃を向けていた。ブルーノの行動を察してしまった。
殺される。
ブルーノは引き金に指をかける。
ローラ。
その時銃声が鳴った。
俺ではない。ブルーノが左肩から流れる血を抑えている。奥にいたのは、銃を構えたローラがいた。
ローラは一直線に向かいながら、指飾りで陣を描く。ローラに触れられた途端にその場から消えた。
森の中に転送したようだ。
ローラが指飾りで魔術を発動し、椅子を壊してくれた。
これで手足が自由になった。ちゃんと自分の意思で体が動く。
こんな姿に変わっても、ローラは助けてくれた。何も変わらずにまだ俺のことを。
「ろおおおヴぁああ」とローラに手を伸ばす。
ローラと言ったはずなのに、獣が吠えるような声を出した。
話せない。
「は!」
ローラが我に返ったように表情が変わっていく。
「また・・・私を・・・」
ローラは下がる。
「ろおおおヴぁああ・・・」
ローラの顔が徐々に顔色が変わっていく。おびえるように。
そんな目で見ないで。俺だ。リカルドだ。
「いや!」
ローラは銃を撃つ。
え。
ローラの行動に理解ができなかった。
俺が分からないから撃ったのか。
腹から血が流れていく。
「こんな・・・こんな怪物に惑わされたなんて・・・」
何を言っている。
「来ないで・・・来ないで!」
ローラは銃を撃つ。
「来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで!」
銃は術を刻んでいる。弾を切ることなく、『呪い』と気力が混ざった魔弾が何度も打ち続ける。何度も何度も。
体中から血が流れる。
「ヴぉあ・・・ヴぉ・・・ヴぇあ・・・・」
やめてって言いたいのに。声が言えない。
「う・・・」
銃が止まった。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああ」
ローラが頭を抱えて叫ぶ。
「やめて!私を壊さないで!」
ローラがおびえながら銃を構える。
なんで。この姿になっているからなのか。俺が分からないのか。リカルドだ。リカルドだ。
ローラが引き金に指をかける。
このままだと・・・このままだと・・・殺される。
ローラが引き金を引く。
死にたくない。
気が付いたときには、ローラの頭がなくなっていた。
口辺りが血生臭い。手に血がついている。
まさかとは思うが、ローラの頭を食べていたのか。
どうしてこうなった。食べるつもりもなかった。
俺はこんなに醜くなって。ローラに怪物と言われて。
分からない。考えるだけで頭が痛い。気持ち悪い。現実が受け止められない。
「ローラを食べたのか」
背後からアレイスターの声がした。
「ローラはおまえに惑わされたから、精神に異常を起こした」
何を言っている。アレイスターの言葉が理解できない。
「どうやら、おまえは魔族(アビス)だったようだ」
は。
「見た目が人間と変わらない。淫魔か、惑わす系の魔女の子供か。それともリリムと推測した。その証拠に魔族(アビス)化し姿が変わったことで、誘惑が解けた」
誘惑。
「ずっと惑わされ、無理やり解けたことで精神にも異常を起こした。おまえらの一族は最悪の場合、意思を壊してまで惑わす場合もあるからな。人形のように操って」
俺がずっと惑わした。ローラを惑わした。思い当たることがあった。会えば、顔を赤らめて、なんでも否定することもなかった。本心ではない。
「おまえが悪いんだ」
銃声が鳴る。
確か実験体を集めていたブルーノだった。その手に切られた腕を持っていた。
「最初から気になってはいたが、アレイスターの狙いはこれか」
ブルーノは銃を向けていた。ブルーノの行動を察してしまった。
殺される。
ブルーノは引き金に指をかける。
ローラ。
その時銃声が鳴った。
俺ではない。ブルーノが左肩から流れる血を抑えている。奥にいたのは、銃を構えたローラがいた。
ローラは一直線に向かいながら、指飾りで陣を描く。ローラに触れられた途端にその場から消えた。
森の中に転送したようだ。
ローラが指飾りで魔術を発動し、椅子を壊してくれた。
これで手足が自由になった。ちゃんと自分の意思で体が動く。
こんな姿に変わっても、ローラは助けてくれた。何も変わらずにまだ俺のことを。
「ろおおおヴぁああ」とローラに手を伸ばす。
ローラと言ったはずなのに、獣が吠えるような声を出した。
話せない。
「は!」
ローラが我に返ったように表情が変わっていく。
「また・・・私を・・・」
ローラは下がる。
「ろおおおヴぁああ・・・」
ローラの顔が徐々に顔色が変わっていく。おびえるように。
そんな目で見ないで。俺だ。リカルドだ。
「いや!」
ローラは銃を撃つ。
え。
ローラの行動に理解ができなかった。
俺が分からないから撃ったのか。
腹から血が流れていく。
「こんな・・・こんな怪物に惑わされたなんて・・・」
何を言っている。
「来ないで・・・来ないで!」
ローラは銃を撃つ。
「来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで!」
銃は術を刻んでいる。弾を切ることなく、『呪い』と気力が混ざった魔弾が何度も打ち続ける。何度も何度も。
体中から血が流れる。
「ヴぉあ・・・ヴぉ・・・ヴぇあ・・・・」
やめてって言いたいのに。声が言えない。
「う・・・」
銃が止まった。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああ」
ローラが頭を抱えて叫ぶ。
「やめて!私を壊さないで!」
ローラがおびえながら銃を構える。
なんで。この姿になっているからなのか。俺が分からないのか。リカルドだ。リカルドだ。
ローラが引き金に指をかける。
このままだと・・・このままだと・・・殺される。
ローラが引き金を引く。
死にたくない。
気が付いたときには、ローラの頭がなくなっていた。
口辺りが血生臭い。手に血がついている。
まさかとは思うが、ローラの頭を食べていたのか。
どうしてこうなった。食べるつもりもなかった。
俺はこんなに醜くなって。ローラに怪物と言われて。
分からない。考えるだけで頭が痛い。気持ち悪い。現実が受け止められない。
「ローラを食べたのか」
背後からアレイスターの声がした。
「ローラはおまえに惑わされたから、精神に異常を起こした」
何を言っている。アレイスターの言葉が理解できない。
「どうやら、おまえは魔族(アビス)だったようだ」
は。
「見た目が人間と変わらない。淫魔か、惑わす系の魔女の子供か。それともリリムと推測した。その証拠に魔族(アビス)化し姿が変わったことで、誘惑が解けた」
誘惑。
「ずっと惑わされ、無理やり解けたことで精神にも異常を起こした。おまえらの一族は最悪の場合、意思を壊してまで惑わす場合もあるからな。人形のように操って」
俺がずっと惑わした。ローラを惑わした。思い当たることがあった。会えば、顔を赤らめて、なんでも否定することもなかった。本心ではない。
「おまえが悪いんだ」
銃声が鳴る。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
公爵閣下に嫁いだら、「お前を愛することはない。その代わり好きにしろ」と言われたので好き勝手にさせていただきます
柴野
恋愛
伯爵令嬢エメリィ・フォンストは、親に売られるようにして公爵閣下に嫁いだ。
社交界では悪女と名高かったものの、それは全て妹の仕業で実はいわゆるドアマットヒロインなエメリィ。これでようやく幸せになると思っていたのに、彼女は夫となる人に「お前を愛することはない。代わりに好きにしろ」と言われたので、言われた通り好き勝手にすることにした――。
※本編&後日談ともに完結済み。ハッピーエンドです。
※主人公がめちゃくちゃ腹黒になりますので要注意!
※小説家になろう、カクヨムにも重複投稿しています。
魔法のせいだからって許せるわけがない
ユウユウ
ファンタジー
私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。
すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる