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番外編

第32話 旅も終わり!? その1

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 広場に戻り、家族は車に乗り込んで出発の準備をしていると、母さんが俺に話し掛けてくる。

「お父さん♪」
「もう、後は帰るのだよね♪」

「そのつもりだけど?」

「ねぇ?」
「このまま帰るのも良いけど、何処か日帰り温泉施設に寄ってから、帰りましょうよ♪」
「折角、此処まで来たんだし♪」

 母さんは、日帰り温泉を希望してきた。
 たしかに、外で入るお風呂(温泉)は、非日常感を感じられて楽しい。
 しかし、俺の独断では決められないので、宮子に話を振る。

「宮子」
「母さんが、温泉に入りたいと言っている。どうする?」

「んっ…。なら調べる……」

 宮子はスマートフォンで、付近の日帰り温泉を調べ出す。
 レンタカーにもナビは付いているが、今回は1度も使ってないので、使い方がイマイチ理解出来てなかった……。 ナビの地図画面は現在位置が表示されているが、それだけで有った。

 ちなみに俺の車にはナビが付いてない。盗難事件も恐いし、普段の生活で俺はナビに世話には成らないからだ。
 母さんの車にはナビが付いているが、メーカーが違うため、母さんも上手には操作は出来ないだろう。
 ナビもメーカーによって操作が微妙に違うので、慣れるまでには時間が掛かるが、今回はレンタカーだから、慣れる前に旅行が終わってしまう……
 それに今の時代は、スマートフォンの地図アプリがかなり優秀に成って来たので、慣れたスマートフォンの方が簡単に操作出来る。

 宮子が場所を調べている間は、出発は待機で有る。何処に行くかが、分からないからで有る。
 風呂に入るだけなら、昨日泊まった宿泊施設も日帰り温泉に対応しているから、そこでも良いけど、同じ所に3回入るのもな…。付近に日帰り温泉は有るのだろうか?

「……本当の日帰り温泉施設は、近くにはないね…」
「近くのホテルや旅館なら、日帰り入浴対応の所は有るけど?」

「宮子!」
「別に近くで無くても良いよ♪」
「道中に有る所で寄れば!」

 母さんの話し方からして温泉に入りたい訳で無く、日帰り温泉施設の温泉に入りたい様で有る。
 ホテルや旅館の日帰り温泉対応は、ホテル側にとっては温泉だけだから、余り嬉しくないお客さんだし、宿泊客を優先するために、15時位を目安に日帰り温泉対応を終了する所も有る。

 日帰り温泉施設なら、開店から閉店30分前までなら必ず温泉に入れるし、時刻も21時位まで営業している施設も多い。
 温泉がメインだから色々な浴槽も有るし、景観の良い露天風呂も有る所も有る。
 母さんはその辺の事を含めて、日帰り温泉施設を希望しているのだろう……

 咲子はお腹が空いたのか、昨日食べ損なったスナック菓子の袋を開けて食べていた。
 母さんも、咲子が持っている袋から、それを時々摘まんで食べていた。
 真央は…、スマートフォンを触っている。先ほど撮った写真を見たり、SNSに投稿している感じだった……。車内の時計を見ると時刻は、15時半近くで有った。

(今から、日帰り温泉に寄って、場合によっては其処で晩ご飯を食べるのかな?)
(『穂並』から高速道路を使っても、3時間以上は掛かるはずだから……結構、夜遅くに成りそうだな…)

 この付近の道路は、激しい渋滞が起きない地域で有る。
 起きても渋滞数キロぐらいの地域で有るし、まだ連休の中日なかびだ!
 経済的余裕が有る家庭なら、連泊を楽しんでいる家庭も多いだろう?

「ねぇ……」

 真ん中の座席に座っている宮子が、俺の体を突いてくる。

「見付かった?」
「宮子?」

「お母さんの希望通りの場所かは分からないけど、此処から30km位、穂並方面に向かった所に日帰り温泉が有る」

 宮子はそう言いながら、俺にスマートフォンを見せてくる。

「今、走っている国道沿いか……」
「此処なら、本当に通り道だし、此処で良いのではない?」

「なら、そうする?」

「その前に、一番の希望者で有る、母さんにも確認取ろうか?」

「それも、そうだね…」

 宮子は俺に見せた画面を母さんにも見せる。
 宮子が先ほど見せてくれた日帰り温泉施設は、海沿いに有って、更に道の駅に併設されている場所だった。
 道の駅に併設されているから、迷わず行けるし、駐車場が狭い等のアクシデントも無いはずだ。

「お母さんは、ここで良いわよ♪」

 画面を見た母さんは、直ぐに返事をする。

「決まりだそうです…」

 宮子はそう言うが…、俺の中では『お父さん』と言葉の前に付けて欲しいと感じる。
 家族が居る手前で言うのは、恥ずかしいのだろう……

 日帰り温泉の場所も決まったので、広場から出発をする。
 今から入る日帰り温泉が、今回の旅行の締めくくりに成りそうだった!
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