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第68話 我が家の長女 その10
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先手と言うべきか、最初に言葉を発したのは宮子からだ。
「私は別に、あなたの事は嫌いでは無いわ!」
「私を毛嫌いしなかったし、苛めるような行為も無かった。だけど、あなたをお父さんとは呼べない!」
「まあ、そうだよな……。俺は宮子の本当の父親では無いからな…」
「私がこの年に成るまで、育てくれたのは一応感謝している。でも、それだけ!」
「私はあなたとは今まで通り、一定の距離を置いて生活する。文句は言わせない!」
「……宮子は本当にそれで良いのか?」
「寂しくは無いのか?」
「言いも悪いも無いわよ!」
「寂しく無いと言えば嘘に成るけど、私にはお母さんと咲子が居た。私はあなたで無く本当のお父さんが好きだった!」
「あなたをお父さん代わりにするのは、私の心が許さなかった!」
「咲子はあなたに凄く懐いたけど、私は敢えて距離は縮め無かった。それだけだよ!」
相変わらず語気の強い宮子だ。
折角、宮子と2人で話をしているのに平行線のままだ。
宮子は俺との関係改善を望まない……。今更、咲子見たいに懐かれても。それはそれで困るのだが。
俺としても宮子とは、少しでも距離を縮めたかったが、本人が嫌がっているならどうしようも無い。
「……分かった。宮子の意見を尊重しよう」
「俺は宮子に聞きたい事が有るが良いか?」
「……聞きたい事? 何よ!?」
俺がその言葉を言うと、宮子は一気に警戒する。
「宮子……。俺が本当の父親で無い事を咲子に話したか?」
「……」
宮子はしばらくの間、沈黙を続けるが……
「……話したわよ! 実の姉妹だから!!」
宮子は力強く言った。
「そうか……。咲子の口ぶりから、そうでは無いかと思っていたが…」
俺はため息をつきながら日本酒を飲む。
俺は今気づいたが、宮子のコップは空に成っていた。知らない間に宮子は酒を飲みきっていた。
「宮子。まだ、有るぞ…」
俺はそう言いながら日本酒の5合瓶を宮子に見せる。
「……頂戴」
「分かった…」
宮子は初めて俺に頼った気がする。
家族全員で食事をしている時、俺の近くに調味料が有っても、宮子は俺には声を掛けずに一生懸命手を伸ばして取るか、近くに座って居る人に、態々頼んで取って貰っていた。
俺は静かに宮子のコップに日本酒を注ぐ。
「はい。どうぞ…」
「……ありがと」
宮子はそう言って日本酒に口づけた。
「あなたに、初めて頼った気がするわ…」
「そうかもな…」
宮子は静かにコップを置くと聞いてくる。
「私と咲子が、養子縁組をしていないのは当然知っているよね」
「あなたは咲子をどうするつもり?」
「宮子も母さんと同じ事を聞くのだな……?」
「やはり親子だからか?」
「茶化さないで!」
「咲子が何故、あなたの所に向かったのが、最初は理解出来なかった。私の中ではあり得ない行動だからだ!」
「でも、今日。咲子はあなたを思いやる言葉を聞いて、咲子はあなたに対して、かなりの好意を持っている事に勘付いて仕舞った!」
「寝る時も一緒の布団に寝ているらしいね……この変態が!!」
「ちょっと待て、宮子!」
「あれは咲子が自発的に行った行動で有って、俺が自ら起こした行動では無い!」
「そんなの知っているわよ!」
「でも、あなたが本当に嫌なら幾らでも言えるじゃ無い!!」
「あなたがそれを容認している事は、あなたも咲子を心の中で求めて居るからでしょ!!」
宮子は強い口調でそう言う。
母さんは其処まできつい言葉は言わなかったが、似たような言葉は言われた……
俺は咲子を本当にどうしたいのだろうか?
「私は別に、あなたの事は嫌いでは無いわ!」
「私を毛嫌いしなかったし、苛めるような行為も無かった。だけど、あなたをお父さんとは呼べない!」
「まあ、そうだよな……。俺は宮子の本当の父親では無いからな…」
「私がこの年に成るまで、育てくれたのは一応感謝している。でも、それだけ!」
「私はあなたとは今まで通り、一定の距離を置いて生活する。文句は言わせない!」
「……宮子は本当にそれで良いのか?」
「寂しくは無いのか?」
「言いも悪いも無いわよ!」
「寂しく無いと言えば嘘に成るけど、私にはお母さんと咲子が居た。私はあなたで無く本当のお父さんが好きだった!」
「あなたをお父さん代わりにするのは、私の心が許さなかった!」
「咲子はあなたに凄く懐いたけど、私は敢えて距離は縮め無かった。それだけだよ!」
相変わらず語気の強い宮子だ。
折角、宮子と2人で話をしているのに平行線のままだ。
宮子は俺との関係改善を望まない……。今更、咲子見たいに懐かれても。それはそれで困るのだが。
俺としても宮子とは、少しでも距離を縮めたかったが、本人が嫌がっているならどうしようも無い。
「……分かった。宮子の意見を尊重しよう」
「俺は宮子に聞きたい事が有るが良いか?」
「……聞きたい事? 何よ!?」
俺がその言葉を言うと、宮子は一気に警戒する。
「宮子……。俺が本当の父親で無い事を咲子に話したか?」
「……」
宮子はしばらくの間、沈黙を続けるが……
「……話したわよ! 実の姉妹だから!!」
宮子は力強く言った。
「そうか……。咲子の口ぶりから、そうでは無いかと思っていたが…」
俺はため息をつきながら日本酒を飲む。
俺は今気づいたが、宮子のコップは空に成っていた。知らない間に宮子は酒を飲みきっていた。
「宮子。まだ、有るぞ…」
俺はそう言いながら日本酒の5合瓶を宮子に見せる。
「……頂戴」
「分かった…」
宮子は初めて俺に頼った気がする。
家族全員で食事をしている時、俺の近くに調味料が有っても、宮子は俺には声を掛けずに一生懸命手を伸ばして取るか、近くに座って居る人に、態々頼んで取って貰っていた。
俺は静かに宮子のコップに日本酒を注ぐ。
「はい。どうぞ…」
「……ありがと」
宮子はそう言って日本酒に口づけた。
「あなたに、初めて頼った気がするわ…」
「そうかもな…」
宮子は静かにコップを置くと聞いてくる。
「私と咲子が、養子縁組をしていないのは当然知っているよね」
「あなたは咲子をどうするつもり?」
「宮子も母さんと同じ事を聞くのだな……?」
「やはり親子だからか?」
「茶化さないで!」
「咲子が何故、あなたの所に向かったのが、最初は理解出来なかった。私の中ではあり得ない行動だからだ!」
「でも、今日。咲子はあなたを思いやる言葉を聞いて、咲子はあなたに対して、かなりの好意を持っている事に勘付いて仕舞った!」
「寝る時も一緒の布団に寝ているらしいね……この変態が!!」
「ちょっと待て、宮子!」
「あれは咲子が自発的に行った行動で有って、俺が自ら起こした行動では無い!」
「そんなの知っているわよ!」
「でも、あなたが本当に嫌なら幾らでも言えるじゃ無い!!」
「あなたがそれを容認している事は、あなたも咲子を心の中で求めて居るからでしょ!!」
宮子は強い口調でそう言う。
母さんは其処まできつい言葉は言わなかったが、似たような言葉は言われた……
俺は咲子を本当にどうしたいのだろうか?
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