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第47話 母さんとの出会い その4

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 俺は気を落ち着かせるために、アイスコーヒーを飲むが、コーヒーミルクとガムシロップを入れずに、そのまま飲んでしまったため、苦みが口内を走る。

(うっ、にが…!!)
(そして、人生も苦い?!)

 先ほどから動揺しまくっている俺だが、コーヒーミルクとガムシロップを入れて、アイスコーヒーを飲み直す。
 コーヒーはやはりミルクと砂糖入りが美味しい。すると小春は、何かを決意したような表情で俺に話し掛けてきた。

「それでね……筑摩さん」
「宮子がさっき言った通り、この子達が私の子どもなの」
「びっくりしたでしょ……。いきなり大きな子どもが出てきたから……、誰もがびっくりするよね///」

 俺は大きい子どもの基準が良く判らないが、宮子位の年齢に成ってくると、誰もが見ても、俺を小春家族の新しい一員としては、受け入れてくれないだろう。
 咲子位の年齢だと、ギリギリか少し手遅れの状態だと感じた。

「それでね……私達の今後の事を話し合いたいの!」
「このまま、お付き合いするか、それとも……」

 小春は真面目な顔で話す……

「今後の事……」
「俺が宮子ちゃんと咲子ちゃんを受け入れて、解決する問題では無いよね……」
「いきなり『今日から、お父さんで~す』と言ったら、普通に鈍器どんきで殴られるよね!」

 俺がそう言うと、また宮子が絡んできた。

「そんな下らん冗談良いから!」
「真田さんは、お母さんの事嫌いなの?」
「私と咲子を見たら、逃げ出す人なの!?」

「うっ…」

「真田さんが、こんなお母さんの何処にれかは知らないけど、真田さんがお母さんの好きな気持ちは本当じゃ無かったの!?」

「みっ、宮子!」
「いい加減にしなさい!」
「そんな事言ったら筑摩さんが困るでしょう!」

 しかし、宮子はそれをさえぎるように話し続ける。

「私(宮子)は、真田さんの本気度が知りたいんだよ!」
「お母さんの感じからして、親友関係をとっくの昔に超えているし、もし真田さんとお母さんが結婚すると成った時に、怖じ気おじけついて逃げられても困るし!」
「そうなったら、余計お母さんが可哀想だから!」

 宮子はまだ小学生のはずなのに、大人顔負けな事を言う。
 宮子の気持ちはどうなんだろう……。俺を父親として、見てくれるのだろうか?

「宮子ちゃん……。俺いや僕は、お母さんを、小春の事を大切にしたいと思っているし、宮子ちゃんや咲子ちゃんも大切にしたいと感じている…」

「もし、僕がお母さんと結婚した時は、僕の事をお父さんと呼んでくれるの?」

「……私(宮子)は、あなたの事を“お父さん”と呼ぶつもりは最初から無いし、お母さんとの結婚も反対だ!」
「でも、真田さんと知り合ってからのお母さんは、今までの、仕事に疲れ切ったお母さんでは無くて、お父さんが居た時見たいな、お母さんに成っていたの!!」

「だから……お母さんを幸せに出来る人なら、結婚だけは許してやろうかなと…」
「でも、私(宮子)は、あなたをお父さんとは認めない!」

「宮子ちゃん…」

 宮子はお母さん思いの人だ……。俺が今後、小春と交際を続けると決めた時は、小春だけで無く宮子、咲子を含めた、小春家族で付き合って行かなくては成らない。
 咲子の方はプリンを食べ終わったらしく、暇そうにソフトドリンクのコップに入っているストローで遊んでいた。

 俺は小春の事はもちろん好きだし、いきなりお父さんに成っても、これだけ心を開いてくれている宮子なら、険悪な家庭には恐らく成らないだろう……。しかし、その前に、小春の前夫ぜんぷの離婚理由を聞かなくて成らない。

「小春……。前夫の事を聞きたいのだけど…」

 そうすると小春は、しんみりした表情で話し出す。

「前の人はね、仕事中に亡くなったの……労働災害って言うのかな?」
「咲子が夫の顔を覚えない内に亡くなったの…」
「クレーンで吊っていた荷が突然崩れて、付近にいた夫が、崩れた荷物の下敷きに成ってしまったの……」

「労働災害だから、会社や行政機関から、かなりのお金は色々貰えたわ……」
「でも、私は殆ど、そのお金は受け取らなかった……。いえ、受け取ったけど、夫の義理両親に全て取られてしまった……」

「夫の義理両親は元々、私と夫の結婚に前向きで無かった…」
「しかし、宮子が出来てしまったから、義理両親は結婚を渋々認めてくれた……」

「夫の初七日が終わった直後、突然、息子のお墓と仏壇は、義理両親が管理すると言い出したの!」
「義理両親の母親から『あなたはまだ若いのだし、今後の事を考えて、仏壇を持たない方が良い。私達に任せなさい』と言って来たけど、本当の目的は、労働災害で貰えたお金目当てだったの!?」

「私の両親は常識が有る人だけど、争い事だけは極端に嫌がる人だった。それに私が、夫のお墓や仏壇を持つのを両親は快く思って居なかったらしく、却ってそうしなさいと言って来た」

「義理両親の所は、夫が次男で有って長男が居るの。だから、お墓や仏壇に関しては問題ないって……」
「長男が事業で失敗したらしく、結構な借金が有ったらしいの……更に、私の子ども達がみんな女の子だから、義理両親にも全く歓迎されて無くて、交流もとぼしかったし、夫も義理両親を毛嫌いしていた…」

「義理両親は、お墓や仏壇の費用、法事等のお布施ふせ名目で、度々私にお金を請求してきたの。あなたが殺したような者と難癖付けてきてね」
「余程、弁護士さんに相談しようかと考えたけど、時間が長引くのは知っていたし、私もスーパーの正社員で、働き始めていたから時間の融通が難しかった」
「私の両親も、大事にしない方が良い言ったため、素直に言われた金額を義理両親に渡していた」

「でもね、不思議なの」
「初七日以来……1度も、夫のお仏壇に手を合わせられないし、お墓の場所も教えてくれない!」
「もちろん節目、節目に義理両親の実家に行くのだけど、もちろん家に上がらせて貰えない」
「息子の供養は私達がやるから、あなたはお布施だけを出せば良いと!」
「なんか変だよね………。その辺からやっと、おかしいと感じたけど後の祭りだった…」

 ここで小春はため息をつく。

「まぁ、それが実話なら、何かの戯言ざれごとや、なんたらちゃんの世界そのまんまだね」

 あの世界はフィクションの世界だと、ずっと思っていたけど現実的だった!?
 俺は唖然としながら聞いていたが、気を取り直すためにアイスコーヒーを飲む。氷が大分溶けて、かなりアメリカンなアイスコーヒーだ!

 小春もドリンクを一口付けて、先ほどの続きを語り出した。
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