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第37話 トランプゲーム

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 すると、咲子が早速提案してくる。

「私、トランプ持って来ているんだ!」
「みんなで、トランプしようよ!」

「トランプか…」
「父さんは良いけど、母さんと真央は?」

「私(母さん)はそれで良いわよ♪」

 俺も母さんも、すんなり受け入れるが、真央は咲子に尋ねる様に訊く。

「咲子お姉ちゃん」
「トランプは良いけど、何をするの?」
「私、あんまりトランプで遊んだこと無いから……」

「真央はトランプゲーム、何を知っている?」

「ババ抜きと七並べかな…」

「なら、真央も出来るババ抜きをしましょうか♪」
「みんなも良いわね♪」

 母さんの一声で、トランプゲームはババ抜きに決まる。そして、咲子はトランプを持ってくる。
 咲子は手際良く、トランプをシャッフルして、みんなにトランプを配る。
 配られたトランプを揃える時、今回はババ抜きなので揃った札(トランプ)が有ったら、捨て場になる場所に揃った札を捨ててゆく……

(俺の手持ちのトランプ(札)は6枚か……)
(ジョーカーは俺の所に入っていなかったが、誰の所に入ったのだろう?)

 準備が出来た俺は、周りを見渡す。
 真央位だと、直ぐに顔に出そうだが普通の顔をしている。

(うん。やはり簡単には分からないか…)

 みんな準備が出来たようなので、じゃんけんをして勝った人を時計回りの基準にして、ババ抜きを始める。じゃんけんに勝ったのは母さんだった。
 母さんが座って居る場所から時計回りに成ると、母さん→真央→俺(父さん)→咲子の順でゲームが進む。
 ババ抜きの開始である。

「さて、じゃあ始めるね♪」
「まずは、これかな?」

 母さんはそう言いながら、真央からトランプを1枚取る。

「よし、よし♪」
「最初から調子が良いわ♪」


 札(トランプ)が揃ったらしく、母さんは揃った札を、捨て場に成る場所に捨てる。

「じゃあ、今度は私(真央)の番だね!」
「……」

 そう言って、俺からトランプを取る。
 真央が俺から取ったトランプでは、組は揃わなかった見たいだ。

「じゃあ、俺の番だな」

 俺はそう言って、咲子からトランプを取る。

(おっ、揃った!)

 俺も揃った札を捨て場に捨てる。

「やっと私(咲子)の番か……」
「う~ん…」

 咲子は少々険しい顔をしながら、母さんのトランプを取る。
 もしかしたら、ジョーカーを持っているのは咲子かも知れない……

「うん!」

 咲子も同じように揃った札を捨て場に捨てる。
 こうしてゲームは進んでいく……

 ……

 ゲームは進んで行き、俺がトランプを取る順番がやってくる。
 俺の手持ちの枚数も後2枚。母さんも真央も同じように2枚残っている。
 ここで札が揃えば勝利は目前で有る。1位に成れるチャンスで有る!
 そして、咲子の枚数は3枚で有る。咲子が持っている3枚のトランプを慎重に選びながらトランプを取る……

(わっ…)

 あと少しの所なのに、俺はここでジョーカーを引いてしまった。
 咲子の方を見ると声は出してないが『やった! やっと取ってくれた!!』の表情が顔に出ていた!!

 俺の次は咲子の番なので、咲子は母さんのトランプを取る。
 すると、咲子は組が揃ったらしく、揃った札を捨て場に捨てる。咲子の残り枚数は1枚。咲子の勝利が確定した瞬間で有る。

 その後、母さんも組を揃え残り1枚に成り、真央は揃わなかったがジョーカーは取ってくれず、俺の番がやってくる。

「ほら、お父さん早く取って!」


 咲子はニコニコ顔で言い、トランプの札を持っている手を、俺の方に突き出してくる。
 なんだか、少しむかつく……

「今、取るよ…」

 選びようも無いトランプを咲子から取る。
 
「はい!」
「上がり~~! 1位だ!!」

 咲子は嬉しそうな声で言う。
 俺が咲子から取ったトランプでは揃わず、俺の持ち札はジョーカーを含めて3枚で有る。咲子が上がって(ゴール)しまったため、今度は母さんの番に成る。

「あら、お母さんも上がりだわ♪」

 和やか声で言いながら、揃った札を捨て場に捨てる。
 咲子も母さんも上がったため、俺と真央との一騎打ちに成る。真央は2枚。俺はジョーカー含めて3枚……。圧倒的に不利で有る。

「ジョーカーだけは気をつけなきゃ!」

 そんな事を言いながら、真央は俺からトランプを取ろうとする。

「これで揃えば、私(真央)も上がれるからな~~」
「慎重に選ばなければ…」

 真央はじっと、俺の持っている3枚のトランプを品定めしている。

「真央。そんなにじっくり、選ばなくても良いから…」

「う~ん。もうちょっとだけ…」

「……」

「……」

 母さんと咲子は、真央の行方を静かに見守っている。

「これに、しようかな…」

 1分位、時間が経った頃……。ようやく真央は取りたいトランプを決めたようだ。
 意地悪で俺のトランプをシャッフルしようかと一瞬考えたが、大切な物を失うような気がしたので、心の中でブレーキーを掛ける。

「えい!!」

 真央はそう言って、俺からトランプを取る。

「やった! そろった~~」

 真央は、揃った札を捨て場に捨てる。
 真央の残り札は1枚。俺は2枚……。そして、次は俺の番。ビリ確定の瞬間で有る。

 俺は真央からトランプを取り、真央の札は無くなる。
 真央から取ったトランプは当然揃うが、ジョーカーだけが手元に残る。
 1位は咲子。2位は母さん。3位は真央。4位(ビリ)は俺に成ってしまった。

「お父さん、相変わらず弱いね~~」

 そんな事を言う咲子。

「あっ、あれは、ウォーミングアップだよ」
「父さんが本気を出せば、次は1位だよ!」

「うゆ。トランプで本気になられても……困るんだけど~~♪」

 母さんは少々困った顔をしながら言う。

「なら、今度もババ抜きだね!」と咲子は言う。

「今度こそ父さんが絶対1位に成る!!」

 ☆

 そんな感じで洗濯物が乾くほぼ午前中。家族でトランプゲームを楽しんだ。
 あの後、ババ抜きを4回行ったが、俺は1回も1位には成れなかった……。2位が1回、3位が2回、4位が2回で有る。相変わらずゲームは弱いみたいだ。
 ババ抜きで一番勝ったのは、母さんと咲子で有る。供に2回1位に成っている。真央も1回だが1位に成れた。
 ババ抜きの後は、真央が知っている“七並べ”を2回ほどやって、みんなトランプに飽きて来たようなのでトランプは終了と成った。

 夏の日差しのおかげと薄着の衣類を中心に干したため、洗濯物は無事乾き、洗濯物を取り込みつつ2回目の洗濯物を干す。
 洗濯物の処理も終わり、これでお出かけが出来る。
 出かける場所は特に決めてなかったが、咲子が『あっ、そういえば、観光案内して貰ってない!!』と言ってくれたため、折角だし、母さん達を観光案内する事に決まった。
 天気も良く日差しは強いが、夕立とかの雨の予報は無いため、丁度良いかと思った。
 母さん達の準備も終わり、今から俺が主導する観光案内で有る。
 見所の多い街では無いが、楽しんで貰えるような行程にしようと俺は考えた……
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