303 / 434
【R-15】鈴音編 第2章
第301話 鈴音編 エピローグ
しおりを挟む
……
…
・
あれから、数年が経過した……
俺は試行錯誤で里芋栽培を続け……栽培を始めてから3年目の冬手前で、どうにか軌道に乗せる事が出来た。
圃場の面積を広げる事は出来なかったが、里芋栽培なら今の圃場で十分に食っていける。
来年からは水稲等の作付けを止めて、里芋専業農家への転換を決意して、幸村さんに相談と了解も貰った。
稀子も俺の事を凄く褒めてくれて『鈴ちゃんに比叡君を譲ったのは失敗だったな♪』と、笑いながら言ってくれた。
稀子に彼氏までとは行かないが、男性の親友が出来た!
外郭団体や公務員同士で行われたイベントで知り合ったらしく、稀子より年下の男性だそうだ。
稀子に春が訪れそうなので、俺と鈴音さんも一安心だ!
これでやっと……鈴音さんを身軽にする事が出来る。
☆
それから、約1年後……
俺は今、病院に居る。
俺が病気に成った訳では無い。俺の体は健康だと思う。
この病院に、鈴音さんが良い意味で入院しているからだ。
俺は鈴音さんが居る病室に向かい、その扉を開く。
「あっ、比叡さん!」
「こんにちは!!」
俺の顔を見た瞬間、笑顔で声を掛けてくれる鈴音さん。
鈴音さんの横には……待ちに待った新しい家族が、小さなベッドの中で寝ている。
ちなみに性別は女の子だ。
鈴音さん似と言いたいが、まだ赤ちゃん過ぎて良くは分からなかった!?
「こんにちは!!」
「鈴音さん。今日も来たよ!!」
俺はそう言いながら、鈴音さんの元では無く、その横の小さなベッドに向かう。
「ほら~~、パパですよ♪」
「比叡さん……」
「先程、眠ったばかりですので……」
俺が赤ちゃんを“あやそう”とした所で、鈴音さんに静かな声で止められた。
残念…。親子のスキンシップを取り損ねた。
赤ちゃんの元から鈴音さんの元に戻る。
「……体調はどう?」
「鈴音さん!」
「はい。比叡さん!」
「私も赤ちゃんも元気ですよ!!」
鈴音さんが笑顔で答える。
母子共に健康で何よりだ!!
「鈴音さん。退院の予定は、明後日だったよね!」
「はい。そうですよ、比叡さん!」
「私としては、此所に居れば家事もしなくて良いですし、美味しいお食事も出ますから、まだ居たい気分ですがね♪」
鈴音さんは健康体で入院しているし、食事も特別メニューなので、まだ留まりたい気持ちも何となく分かる気がするが……
「……鈴音さんの気持ちも分かるけど、俺としては早く鈴音さんに戻って来て欲しいな!」
「1人だと、やっぱり物寂しいからね!」
「そうかも知れませんね!」
「お母様の家の時から出産で入院するまで、ずっと一緒でしたからね!!」
「比叡さんの為にも、明後日には子どもと一緒に帰りましょう!!」
笑顔で言ってくれる鈴音さん。
今の鈴音さんは、本当に幸せの表情をしている。
鈴音さんには聞いてはいないが、今ならきっと幸せ100%では無いだろうか?
明後日からは、3人での生活が始まる。
初めの内は楽しい事より、大変な事が中心に成るだろうけど、それでも俺は嬉しかった。
子どもの名前は、鈴音さんの退院後に話し合う。
その理由は、お互い事前に性別を知る事を望まなかったからで有る。
実際、検査の過程で鈴音さんは絶対性別を知ってしまうが、俺は聞かなかったし、鈴音さんも俺には言わなかった。
恐らく……鈴音さんの母親で有る凉子さんや稀子、幸村さん・楓さん達は知って居ただろう。
俺は昔ながらの、誕生してから知る楽しみを選択しただけで有る。
「所で……比叡さん」
「毎日、顔を出してくれるのは嬉しいのですが、農業の方は大丈夫ですか…?」
鈴音さんは心配そうに聞いてきた。
子どもが誕生してから、農業を疎かにしていると、鈴音さんは感じ取ったのだろう。
「その辺は、大丈夫だよ!」
「今日の作業は全て終えてから、病院に来ているから!!」
「そうですか!」
「なら、比叡さんを信じましょう♪」
鈴音さんは穏やかな表情で答えた。
鈴音さんと子どもが一番大事だが、農業も俺達家族を繋ぎ止める生命線だ。
それを両立させなければ、俺達の家族は壊れてしまうだろう……
「なら、今日も面会時間ギリギリまで、お邪魔するね!」
「はい!」
「ゆっくりして行ってくださいね!!」
「子どもの目が覚めましたら、しっかり遊んでくださいね♪」
☆
新天地での就農を成功させて、無事に家族を誕生させる事が出来た。
里芋専業農家に成ったが、恐ろしい程順調で有って、収益も就農初めの頃とは比べ物に成らない位の収益と成った。
このまま行けば、数年以内に新居も建てられるだろう!
その前に、自前の農業機械を調達しなければ成らないか。
何時までも、幸村さん達に頼りっぱなしでは駄目だ……
俺があの時、稀子に声を掛け、稀子から鈴音さんに乗り換えて、一時は死を直面する事態も起きたが、最後は大成を治める事が出来た。
鈴音さんと新しい家族を大切にして、農業の方も奮闘するべきだと俺は感じながら、鈴音さんとの会話を楽しんだ……
……
☆偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!☆
☆鈴音編 第2章☆ おわり
☆鈴音編☆ 完
☆稀子編 第2章☆へ続く……
…
・
あれから、数年が経過した……
俺は試行錯誤で里芋栽培を続け……栽培を始めてから3年目の冬手前で、どうにか軌道に乗せる事が出来た。
圃場の面積を広げる事は出来なかったが、里芋栽培なら今の圃場で十分に食っていける。
来年からは水稲等の作付けを止めて、里芋専業農家への転換を決意して、幸村さんに相談と了解も貰った。
稀子も俺の事を凄く褒めてくれて『鈴ちゃんに比叡君を譲ったのは失敗だったな♪』と、笑いながら言ってくれた。
稀子に彼氏までとは行かないが、男性の親友が出来た!
外郭団体や公務員同士で行われたイベントで知り合ったらしく、稀子より年下の男性だそうだ。
稀子に春が訪れそうなので、俺と鈴音さんも一安心だ!
これでやっと……鈴音さんを身軽にする事が出来る。
☆
それから、約1年後……
俺は今、病院に居る。
俺が病気に成った訳では無い。俺の体は健康だと思う。
この病院に、鈴音さんが良い意味で入院しているからだ。
俺は鈴音さんが居る病室に向かい、その扉を開く。
「あっ、比叡さん!」
「こんにちは!!」
俺の顔を見た瞬間、笑顔で声を掛けてくれる鈴音さん。
鈴音さんの横には……待ちに待った新しい家族が、小さなベッドの中で寝ている。
ちなみに性別は女の子だ。
鈴音さん似と言いたいが、まだ赤ちゃん過ぎて良くは分からなかった!?
「こんにちは!!」
「鈴音さん。今日も来たよ!!」
俺はそう言いながら、鈴音さんの元では無く、その横の小さなベッドに向かう。
「ほら~~、パパですよ♪」
「比叡さん……」
「先程、眠ったばかりですので……」
俺が赤ちゃんを“あやそう”とした所で、鈴音さんに静かな声で止められた。
残念…。親子のスキンシップを取り損ねた。
赤ちゃんの元から鈴音さんの元に戻る。
「……体調はどう?」
「鈴音さん!」
「はい。比叡さん!」
「私も赤ちゃんも元気ですよ!!」
鈴音さんが笑顔で答える。
母子共に健康で何よりだ!!
「鈴音さん。退院の予定は、明後日だったよね!」
「はい。そうですよ、比叡さん!」
「私としては、此所に居れば家事もしなくて良いですし、美味しいお食事も出ますから、まだ居たい気分ですがね♪」
鈴音さんは健康体で入院しているし、食事も特別メニューなので、まだ留まりたい気持ちも何となく分かる気がするが……
「……鈴音さんの気持ちも分かるけど、俺としては早く鈴音さんに戻って来て欲しいな!」
「1人だと、やっぱり物寂しいからね!」
「そうかも知れませんね!」
「お母様の家の時から出産で入院するまで、ずっと一緒でしたからね!!」
「比叡さんの為にも、明後日には子どもと一緒に帰りましょう!!」
笑顔で言ってくれる鈴音さん。
今の鈴音さんは、本当に幸せの表情をしている。
鈴音さんには聞いてはいないが、今ならきっと幸せ100%では無いだろうか?
明後日からは、3人での生活が始まる。
初めの内は楽しい事より、大変な事が中心に成るだろうけど、それでも俺は嬉しかった。
子どもの名前は、鈴音さんの退院後に話し合う。
その理由は、お互い事前に性別を知る事を望まなかったからで有る。
実際、検査の過程で鈴音さんは絶対性別を知ってしまうが、俺は聞かなかったし、鈴音さんも俺には言わなかった。
恐らく……鈴音さんの母親で有る凉子さんや稀子、幸村さん・楓さん達は知って居ただろう。
俺は昔ながらの、誕生してから知る楽しみを選択しただけで有る。
「所で……比叡さん」
「毎日、顔を出してくれるのは嬉しいのですが、農業の方は大丈夫ですか…?」
鈴音さんは心配そうに聞いてきた。
子どもが誕生してから、農業を疎かにしていると、鈴音さんは感じ取ったのだろう。
「その辺は、大丈夫だよ!」
「今日の作業は全て終えてから、病院に来ているから!!」
「そうですか!」
「なら、比叡さんを信じましょう♪」
鈴音さんは穏やかな表情で答えた。
鈴音さんと子どもが一番大事だが、農業も俺達家族を繋ぎ止める生命線だ。
それを両立させなければ、俺達の家族は壊れてしまうだろう……
「なら、今日も面会時間ギリギリまで、お邪魔するね!」
「はい!」
「ゆっくりして行ってくださいね!!」
「子どもの目が覚めましたら、しっかり遊んでくださいね♪」
☆
新天地での就農を成功させて、無事に家族を誕生させる事が出来た。
里芋専業農家に成ったが、恐ろしい程順調で有って、収益も就農初めの頃とは比べ物に成らない位の収益と成った。
このまま行けば、数年以内に新居も建てられるだろう!
その前に、自前の農業機械を調達しなければ成らないか。
何時までも、幸村さん達に頼りっぱなしでは駄目だ……
俺があの時、稀子に声を掛け、稀子から鈴音さんに乗り換えて、一時は死を直面する事態も起きたが、最後は大成を治める事が出来た。
鈴音さんと新しい家族を大切にして、農業の方も奮闘するべきだと俺は感じながら、鈴音さんとの会話を楽しんだ……
……
☆偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!☆
☆鈴音編 第2章☆ おわり
☆鈴音編☆ 完
☆稀子編 第2章☆へ続く……
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
大嫌いな幼馴染の皇太子殿下と婚姻させられたので、白い結婚をお願いいたしました
柴野
恋愛
「これは白い結婚ということにいたしましょう」
結婚初夜、そうお願いしたジェシカに、夫となる人は眉を顰めて答えた。
「……ああ、お前の好きにしろ」
婚約者だった隣国の王弟に別れを切り出され嫁ぎ先を失った公爵令嬢ジェシカ・スタンナードは、幼馴染でありながら、たいへん仲の悪かった皇太子ヒューパートと王命で婚姻させられた。
ヒューパート皇太子には陰ながら想っていた令嬢がいたのに、彼女は第二王子の婚約者になってしまったので長年婚約者を作っていなかったという噂がある。それだというのに王命で大嫌いなジェシカを娶ることになったのだ。
いくら政略結婚とはいえ、ヒューパートに抱かれるのは嫌だ。子供ができないという理由があれば離縁できると考えたジェシカは白い結婚を望み、ヒューパートもそれを受け入れた。
そのはず、だったのだが……?
離縁を望みながらも徐々に絆されていく公爵令嬢と、実は彼女のことが大好きで仕方ないツンデレ皇太子によるじれじれラブストーリー。
※こちらの作品は小説家になろうにも重複投稿しています。
【完結】双子の伯爵令嬢とその許婚たちの物語
ひかり芽衣
恋愛
伯爵令嬢のリリカとキャサリンは二卵性双生児。生まれつき病弱でどんどん母似の美女へ成長するキャサリンを母は溺愛し、そんな母に父は何も言えない……。そんな家庭で育った父似のリリカは、とにかく自分に自信がない。幼い頃からの許婚である伯爵家長男ウィリアムが心の支えだ。しかしある日、ウィリアムに許婚の話をなかったことにして欲しいと言われ……
リリカとキャサリン、ウィリアム、キャサリンの許婚である公爵家次男のスターリン……彼らの物語を一緒に見守って下さると嬉しいです。
⭐︎2023.4.24完結⭐︎
※2024.2.8~追加・修正作業のため、2話以降を一旦非公開にしていました。
→2024.3.4再投稿。大幅に追加&修正をしたので、もしよければ読んでみて下さい(^^)
王宮医務室にお休みはありません。~休日出勤に疲れていたら、結婚前提のお付き合いを希望していたらしい騎士さまとデートをすることになりました。~
石河 翠
恋愛
王宮の医務室に勤める主人公。彼女は、連続する遅番と休日出勤に疲れはてていた。そんなある日、彼女はひそかに片思いをしていた騎士ウィリアムから夕食に誘われる。
食事に向かう途中、彼女は憧れていたお菓子「マリトッツォ」をウィリアムと美味しく食べるのだった。
そして休日出勤の当日。なぜか、彼女は怒り心頭の男になぐりこまれる。なんと、彼女に仕事を押しつけている先輩は、父親には自分が仕事を押しつけられていると話していたらしい。
しかし、そんな先輩にも実は誰にも相談できない事情があったのだ。ピンチに陥る彼女を救ったのは、やはりウィリアム。ふたりの距離は急速に近づいて……。
何事にも真面目で一生懸命な主人公と、誠実な騎士との恋物語。
扉絵は管澤捻さまに描いていただきました。
小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。
冷血弁護士と契約結婚したら、極上の溺愛を注がれています
朱音ゆうひ
恋愛
恋人に浮気された果絵は、弁護士・颯斗に契約結婚を持ちかけられる。
颯斗は美男子で超ハイスペックだが、冷血弁護士と呼ばれている。
結婚してみると超一方的な溺愛が始まり……
「俺は君のことを愛すが、愛されなくても構わない」
冷血サイコパス弁護士x健気ワーキング大人女子が契約結婚を元に両片想いになり、最終的に両想いになるストーリーです。
別サイトにも投稿しています(https://www.berrys-cafe.jp/book/n1726839)
【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。
文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。
父王に一番愛される姫。
ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。
優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。
しかし、彼は居なくなった。
聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。
そして、二年後。
レティシアナは、大国の王の妻となっていた。
※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。
小説家になろうにも投稿しています。
エールありがとうございます!
婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。
【完結】俺のセフレが幼なじみなんですが?
おもち
恋愛
アプリで知り合った女の子。初対面の彼女は予想より断然可愛かった。事前に取り決めていたとおり、2人は恋愛NGの都合の良い関係(セフレ)になる。何回か関係を続け、ある日、彼女の家まで送ると……、その家は、見覚えのある家だった。
『え、ここ、幼馴染の家なんだけど……?』
※他サイトでも投稿しています。2サイト計60万PV作品です。
完)嫁いだつもりでしたがメイドに間違われています
オリハルコン陸
恋愛
嫁いだはずなのに、格好のせいか本気でメイドと勘違いされた貧乏令嬢。そのままうっかりメイドとして馴染んで、その生活を楽しみ始めてしまいます。
◇◇◇◇◇◇◇
「オマケのようでオマケじゃない〜」では、本編の小話や後日談というかたちでまだ語られてない部分を補完しています。
14回恋愛大賞奨励賞受賞しました!
これも読んでくださったり投票してくださった皆様のおかげです。
ありがとうございました!
ざっくりと見直し終わりました。完璧じゃないけど、とりあえずこれで。
この後本格的に手直し予定。(多分時間がかかります)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる