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【R-15】鈴音編 第2章
第286話 親友同士で行くキャンプ その16
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「比叡さん…」
「私を幸せにしてくれる方法を、具体的に教えてください…」
鈴音さんは冗談の顔では無く、真剣な表情で聞いてきた!
昨夜の酒の影響で、鈴音さん本当の心が開いてしまったか!?
「えっと、それは……この地域で農業の成功を収めて、鈴音さんと家庭を作る事が―――」
俺は一通り話し終えるが、鈴音さんの表情は相変わらず固かった。
「……それは、比叡さんの幸せですよね」
「私が聞いたのは、私を幸せにしてくれる事です!」
(不味いな…。鈴音さんの考えている事が良く分からない)
(俺が好きで、一緒に成ったのでは無いのか?)
(やはり本音通り、美作の家に戻りたいのだろうか…)
「鈴ちゃん! さっきから変だよ!!」
「何時もの鈴ちゃんは、そんな事言わないよ!!」
「稀子さんは……少し、静かにしてください!」
「これは私達の問題です!!」
「うっ…」
鈴音さんには珍しく、厳しい口調で稀子に言う。
稀子も鈴音さんの言葉で萎縮してしまう。
楽しいご来光を拝むから、一気に離婚の危機に再度発展してしまった!!
「比叡さん…。教えてください……。比叡さんの言葉次第では……」
鈴音さんは冗談抜きで、俺に愛想を尽かしてしまったのだろうか……
今まで、俺が幸せに成れば、鈴音さんも幸せを感じてくれると思っていた。
だからこそ、今日まで頑張って来たが……それは結局、鈴音さんの為では無く、俺の人生の為だった気がしてきた。
「……」
俺が言葉を発しないから、鈴音さんは語る様に話し出した。
「……私はこの地に来てから、比叡さんに物をねだった事は有りません!」
「新しい服も買わずに、美容院もずっと我慢して、比叡さんを支えてきました…」
「私も女性です!」
「愛や気持ちだけでは、心を維持する事は出来ません!!」
(鈴音さんの言う通りだ……)
(生活費に余裕が無いから豪華な食事は出来ないし、それに毎日が肉体労働だ)
(愛だけでは生活が出来ない事は、俺自身が一番知っているのに、何であんな事を言ってしまったのだろうか!!)
(言うまでも無く、自惚れていたのだろうな……)
(只の偶然なのに美少女(当時)と関係を深めて、更に就農まで出来てしまった)
(俺は鈴音さんの事を何処かで、軽視していたのだろう)
「鈴音さん…。では、俺からも聞きます……」
「鈴音さんは今、何をすれば幸せを感じますか?」
頭の良くない俺は、愚策とも言えるこの方法しか無かった。
鈴音さんの本当の気持ちは、鈴音さん自身しか分からない。
鈴音さんは、静かに息を吸い込んでから話し始める。
「……私の幸せは、私が幸せと感じる事です」
「……」
(それが、答えなの……)
(何かが、欲しいとかでは無いの!?)
「りっ、鈴ちゃん!」
「そんな答えでは、比叡君が困ってしまうよ!!」
稀子がそう言うが、鈴音さんの表情は変わらなかった。
「はい…」
「それで、良いのです!」
「比叡さんが自分の為だけで無く、私の事を意識していてくれれば、それで良いのです」
「別に何処かに連れて行けとか、何かが欲しい訳では有りません」
「けど、押し付けだけは困ります……」
「……」
「……」
俺は本当に言葉が出なかった。
稀子も返答に困っていた。
「さて……お日様も昇りきった様ですし、戻りましょうか!」
「何だか……お腹が空いてきました!」
鈴音さんは一気に表情を変えて、何時も通りの鈴音さんに戻る!?
「あっ……、うん!」
「戻ろう、鈴ちゃん! 私もお腹が空いた~~!!」
稀子も鈴音さんに合わす様に笑顔に成り、下山方向に足を向けて歩き出す。
鈴音さんも稀子に付いて行く前に、声を掛けてきた。
「比叡さんも、戻りましょ!」
「それとも……ずっと、此所に居ますか?」
冗談も交えつつ、普段通りの表情で、話し掛けてくれる鈴音さんだが……
「あっ、あの、その……それで良いのですか?」
「鈴音さん……」
先程までの事を全く無かった様に言うから、俺は怯えながら聞いてみる。
「?」
「幸せは、人それぞれですよ♪」
「私を幸せにしたいなら、私をもっと見てくださいね❤」
「そうしないと有る日突然、緑の紙がテーブルに置かれますよ♪」
「あっ、はい……」
満面な笑顔で言われる鈴音さんに、俺はそれしか言えなかった。
緑の紙とは離婚届のことで有る。
やはり、鈴音さんは心底、今の生活には満足していなかった。
離婚の危機は回避出来たが、これからは鈴音さんの想いも、出来る限り叶えようと俺は思った。
「私を幸せにしてくれる方法を、具体的に教えてください…」
鈴音さんは冗談の顔では無く、真剣な表情で聞いてきた!
昨夜の酒の影響で、鈴音さん本当の心が開いてしまったか!?
「えっと、それは……この地域で農業の成功を収めて、鈴音さんと家庭を作る事が―――」
俺は一通り話し終えるが、鈴音さんの表情は相変わらず固かった。
「……それは、比叡さんの幸せですよね」
「私が聞いたのは、私を幸せにしてくれる事です!」
(不味いな…。鈴音さんの考えている事が良く分からない)
(俺が好きで、一緒に成ったのでは無いのか?)
(やはり本音通り、美作の家に戻りたいのだろうか…)
「鈴ちゃん! さっきから変だよ!!」
「何時もの鈴ちゃんは、そんな事言わないよ!!」
「稀子さんは……少し、静かにしてください!」
「これは私達の問題です!!」
「うっ…」
鈴音さんには珍しく、厳しい口調で稀子に言う。
稀子も鈴音さんの言葉で萎縮してしまう。
楽しいご来光を拝むから、一気に離婚の危機に再度発展してしまった!!
「比叡さん…。教えてください……。比叡さんの言葉次第では……」
鈴音さんは冗談抜きで、俺に愛想を尽かしてしまったのだろうか……
今まで、俺が幸せに成れば、鈴音さんも幸せを感じてくれると思っていた。
だからこそ、今日まで頑張って来たが……それは結局、鈴音さんの為では無く、俺の人生の為だった気がしてきた。
「……」
俺が言葉を発しないから、鈴音さんは語る様に話し出した。
「……私はこの地に来てから、比叡さんに物をねだった事は有りません!」
「新しい服も買わずに、美容院もずっと我慢して、比叡さんを支えてきました…」
「私も女性です!」
「愛や気持ちだけでは、心を維持する事は出来ません!!」
(鈴音さんの言う通りだ……)
(生活費に余裕が無いから豪華な食事は出来ないし、それに毎日が肉体労働だ)
(愛だけでは生活が出来ない事は、俺自身が一番知っているのに、何であんな事を言ってしまったのだろうか!!)
(言うまでも無く、自惚れていたのだろうな……)
(只の偶然なのに美少女(当時)と関係を深めて、更に就農まで出来てしまった)
(俺は鈴音さんの事を何処かで、軽視していたのだろう)
「鈴音さん…。では、俺からも聞きます……」
「鈴音さんは今、何をすれば幸せを感じますか?」
頭の良くない俺は、愚策とも言えるこの方法しか無かった。
鈴音さんの本当の気持ちは、鈴音さん自身しか分からない。
鈴音さんは、静かに息を吸い込んでから話し始める。
「……私の幸せは、私が幸せと感じる事です」
「……」
(それが、答えなの……)
(何かが、欲しいとかでは無いの!?)
「りっ、鈴ちゃん!」
「そんな答えでは、比叡君が困ってしまうよ!!」
稀子がそう言うが、鈴音さんの表情は変わらなかった。
「はい…」
「それで、良いのです!」
「比叡さんが自分の為だけで無く、私の事を意識していてくれれば、それで良いのです」
「別に何処かに連れて行けとか、何かが欲しい訳では有りません」
「けど、押し付けだけは困ります……」
「……」
「……」
俺は本当に言葉が出なかった。
稀子も返答に困っていた。
「さて……お日様も昇りきった様ですし、戻りましょうか!」
「何だか……お腹が空いてきました!」
鈴音さんは一気に表情を変えて、何時も通りの鈴音さんに戻る!?
「あっ……、うん!」
「戻ろう、鈴ちゃん! 私もお腹が空いた~~!!」
稀子も鈴音さんに合わす様に笑顔に成り、下山方向に足を向けて歩き出す。
鈴音さんも稀子に付いて行く前に、声を掛けてきた。
「比叡さんも、戻りましょ!」
「それとも……ずっと、此所に居ますか?」
冗談も交えつつ、普段通りの表情で、話し掛けてくれる鈴音さんだが……
「あっ、あの、その……それで良いのですか?」
「鈴音さん……」
先程までの事を全く無かった様に言うから、俺は怯えながら聞いてみる。
「?」
「幸せは、人それぞれですよ♪」
「私を幸せにしたいなら、私をもっと見てくださいね❤」
「そうしないと有る日突然、緑の紙がテーブルに置かれますよ♪」
「あっ、はい……」
満面な笑顔で言われる鈴音さんに、俺はそれしか言えなかった。
緑の紙とは離婚届のことで有る。
やはり、鈴音さんは心底、今の生活には満足していなかった。
離婚の危機は回避出来たが、これからは鈴音さんの想いも、出来る限り叶えようと俺は思った。
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