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【R-15】鈴音編 第2章

第196話 気遣い!?

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 駅近くで昼食を取った俺は、何処か寄り道をする気が起きなかったので、その後は真理江さんの家に戻る。
 真理江さんの家に戻ると、玄関には真理江さんの履物しか無かった。
 鈴音さんと稀子はまだ大学なのかも知れない。
 俺は自室に戻る前に、居間に居る真理江さんに声を掛ける。

「ただいまです。真理江さん…」

「青柳さん。お帰りなさい…」
「……試験は、無事に出来ましたか?」

「はい……どうにか」

「……そうですか」
「合格出来ると良いですね…」

「ですね…」

 真理江さんは、話しを掘り下げようとせずに淡々と話す。
 これが稀子だったら…、根掘り葉掘りと聞きまくる筈で有る。
 鈴音さんも、真理江さんと良く似ていると感じた。

「後は、自室でゆっくりしています」

「試験、お疲れさまでした」

 俺は真理さんの言葉を聞いてから自室に戻る。
 俺は普段着に着替えて、畳みに寝転がる。

(試験結果までは普通に過ごして、結果次第でどう動くかだな…)

 今のアルバイトは、合格に成った時に備えて、退職の意思はもう伝えて有る。
 予定では今月末で、今のアルバイトは終了で有る。
 例え不合格に成っても、今のアルバイトは続ける気はもう無い。

(合格していれば御の字だが、不合格だったら……本当に真理江さんの家から出るしか無いよな)

 真理江さん周辺地区は、俺が働けそうな場所が本当に無い。
 車も無いから、自家用車通勤も出来ない。

 不合格に成った時は寮付き仕事を見付けて、其処で働く道しか無いが、そう成ってしまうと……鈴音さんとは正式に別れる事に成る筈だ。

(もし、鈴音さんと別れるなら、その直前に抱かせてくれないかな?)
(鈴音さんの秘部に、俺のを押し込みたい!)

 そう俺は、考えてしまうが……

(愛想を尽かした異性と、性行為をしたがる女性は居ないよな…)
(特に鈴音さんは生真面目だ!)
(絶対に拒絶するに決まっている!!)

 鈴音さんとは当然別れたくは無いが、俺は人生の失敗が多すぎた……
 保育士養成学校、保育士試験。そして、今回の農業職業訓練。

『仏の顔も三度まで』と良く言うが、この試験まで不合格に成ったら言葉通りだろう。
 鈴音さんは絶対に、俺を見限るに決まって居る!
『三度目の正直』に成れば良いが……

(鈴音さんと別れたからと言って、稀子が俺に付いて来る可能性も怪しいからな…)

(稀子は普段脳天気だが、真面目に考えて居る時だって有る)
(将来性の低い俺に、稀子が俺を選択する事は有りうるんだろうか??)

(やるべき事はやってしまったし、後は結果待ちだな)
(その後の事は、結果後に考えよう……)

 俺はそう…、心の中で考えを纏めた。

 ……

 時間も晩ご飯の時間に成るが、鈴音さんも稀子も、特に試験の事を聞いて来ようとはしなかった?
 俺の事を気遣っているのだろうか??

 俺は少し“もやもや”しながら晩ご飯を取って、その後は普段通りの団らんの時間を過ごすが、其処でも特に試験の話題は出て来なかった……
 いっそ、俺から話せば良いのだが、負け戦に近い試験内容を話す気には成れなかった……
 まさかと思うが……、鈴音さんや稀子もその部分を感ずいている!?

 団らんの時間も終わり、俺は自室に戻るが、鈴音さんや稀子が来る気配は無かった……

(これはいよいよ、別れの時期が近付いている証か…)

 思わずそう考えてしまうが……鈴音さんと稀子とは普通の会話はしていたし、表情も何時も通りで有った。

(気遣っているで、受け止めれば良いのだろうか?)

 俺は“もやもや”しながら、眠りに就いた……
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