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【R-15】鈴音編
第106話 意外な展開 その5
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電車は富橋駅に到着する。
富橋駅からはバスに乗り換えて、波津音市に戻る。
山本さん家近くのバス停にバスは到着して、俺と鈴音さんはバスから降車する。
俺と鈴音さんは山本鞄店が今、どんな状況かを思い浮かべながら戻る。
「……」
「……」
お店の出入口はカーテンで閉じられていて、お店は営業をしていない。
まぁ、出来る訳無いけど……
俺と鈴音さんは今度、普段車が止めて有るガレージに向かう。
ガレージのシャッターは閉じられていたが、中の確認を行いたいのでシャッターを開ける。
『ガララ~~♪』
「!!!」
「……」
ガレージの中に止まっている筈のハ○エースが無い!!
俺はびっくりした表情で見るが、鈴音さんは『やはりか……』の表情で見ている。
山本さんはバイクに乗っている筈だから、仲間がハ○エースを運転したのだろうか?
「……」
鈴音さんは無言でガレージの奥に入って行くので、俺も付いて行く。
「やはり……有りませんね」
鈴音さんは静かに呟く。
「えっ!?」
「何か、其処に有ったのですか?」
「……本来は、この場所に孝明さんのバイクが置いて有りました」
「そのバイクが無いと言う事は、今起きているのは事実ですのね…」
鈴音さんは悲しむ訳でも無く、冷めた表情で言う。
鈴音さん自身でも、どうすれば良いのか解らないのだろう?
「あっ!」
「鈴ちゃんと比叡君!?」
稀子がガレージのシャッター音に気付いたのか、玄関の方向から稀子の声が聞こえてくる。
「……ただいま。……稀子さん」
鈴音さんは、バツが悪そうに言う。
「うん……。おかえり鈴ちゃん」
「比叡君も……お帰りと言うより、久しぶりかな…?」
稀子も似た様な感じで、俺達に挨拶をする。
「二人共とも疲れたでしょう~~」
「今、お茶の用意をするね!」
稀子は俺と鈴音さんを見て安心したのか、元気な声を出して家に戻っていく。
(稀子の奴。空元気かな…?)
「比叡さん…。家に寄って行って下さい」
「比叡さんも家(アパート)に戻っても、落ち着かないでしょうし……」
「では、そうさせて貰います…」
久しぶりに、山本さんの家にお邪魔する。
玄関からリビングに向かうが、室内に特に変わった様子は無いようだ。
リビングに入ると、キッチンで稀子がお茶の用意をしている。
「比叡さん…」
「ダイニングテーブルで、お茶をしましょうか?」
「はい…」
荷物をリビングの邪魔に成らない場所に置いて、定位置で有った椅子に俺は座る。
稀子がお茶を準備している間に、鈴音さんはお茶菓子を用意しているが、稀子と鈴音さん同士での会話は無い……。俺から見ても気まずい空気が漂っていた。
「……比叡君。……どうぞ」
稀子は少し強張った表情で、俺の前にミルクティーを置く。
「……ありがとう」
稀子を許しては無いけど、俺は鈴音さんと関係を深めてしまった……
(このまま稀子と、縁を切ったままだったら良かったのに…、こんな形で再会してしまうとは……)
鈴音さんはお皿にクッキー類を並べて、ダイニングテーブルに戻って来る。
「こんな物しか無いですけど……」
鈴音さんはそう言いながら、クッキー類の乗ったお皿を静かに置いて、鈴音さんも定位置に座る。
稀子も椅子に座って、食事前の挨拶もせずに、みんな無言でミルクティーを飲む。
「……」
「……」
「……」
誰が最初に、言葉を切り出すかをみんな待っている。
今の俺達の関係は、俺・鈴音さん。稀子・山本さんの敵対関係で有る。
和平交渉では無く、休戦協定でもする様な状況で有る。
ここで仲介役の山本さんのお母さんが居れば正に、絵に成る一面に違いない!
話を切り出したのは鈴音さんだった!
「稀子さんは、無事で良かったです…」
鈴音さんが稀子に問いかけると、稀子は急に涙顔に成って泣き出す!?
「うぇ~ん」
「鈴ちゃん~~。ごめんなさい~~」
「私が山本さんに“ちょっかい”を掛けなければ、こんな事に成らなかった~~」
「びえ~ん///」
「それと、比叡君もごめんなさい~///」
「私が側に付いて居なければ成らないの、見捨てちゃって~~~」
稀子は本当に、子どもの様に泣き出してしまった!!
俺は嫌でも、学童保育で指導員をしていた時代を思い出してしまう!!
(うぁ!!)
(本気泣きしている…。えっと、どうすれば良かったけ?)
(慰める…?)
(『稀子ちゃんは悪くないよ!』と声を掛ければ良い?)
(いや…、それは第三者の目線で有って、俺は当事者だ!)
(この泣き方は……、嘘泣きでは無い感じがするけど……正しい対処方法は何だっけ?)
(うぁ~~、専門的な勉強を全然していないから、対処が出来ない!!)
保育士資格取得の勉強は始めてはいるが、進捗率で言うと1%で有った。基本の基も勉強出来ていない。
稀子が泣き叫ぶ姿に動揺をしていると、鈴音先生は静かに立ち上がり、稀子の背中から優しく包み込む!!
これが鈴音さんの持つ、本来の心なのかと俺は見とれてしまった……
富橋駅からはバスに乗り換えて、波津音市に戻る。
山本さん家近くのバス停にバスは到着して、俺と鈴音さんはバスから降車する。
俺と鈴音さんは山本鞄店が今、どんな状況かを思い浮かべながら戻る。
「……」
「……」
お店の出入口はカーテンで閉じられていて、お店は営業をしていない。
まぁ、出来る訳無いけど……
俺と鈴音さんは今度、普段車が止めて有るガレージに向かう。
ガレージのシャッターは閉じられていたが、中の確認を行いたいのでシャッターを開ける。
『ガララ~~♪』
「!!!」
「……」
ガレージの中に止まっている筈のハ○エースが無い!!
俺はびっくりした表情で見るが、鈴音さんは『やはりか……』の表情で見ている。
山本さんはバイクに乗っている筈だから、仲間がハ○エースを運転したのだろうか?
「……」
鈴音さんは無言でガレージの奥に入って行くので、俺も付いて行く。
「やはり……有りませんね」
鈴音さんは静かに呟く。
「えっ!?」
「何か、其処に有ったのですか?」
「……本来は、この場所に孝明さんのバイクが置いて有りました」
「そのバイクが無いと言う事は、今起きているのは事実ですのね…」
鈴音さんは悲しむ訳でも無く、冷めた表情で言う。
鈴音さん自身でも、どうすれば良いのか解らないのだろう?
「あっ!」
「鈴ちゃんと比叡君!?」
稀子がガレージのシャッター音に気付いたのか、玄関の方向から稀子の声が聞こえてくる。
「……ただいま。……稀子さん」
鈴音さんは、バツが悪そうに言う。
「うん……。おかえり鈴ちゃん」
「比叡君も……お帰りと言うより、久しぶりかな…?」
稀子も似た様な感じで、俺達に挨拶をする。
「二人共とも疲れたでしょう~~」
「今、お茶の用意をするね!」
稀子は俺と鈴音さんを見て安心したのか、元気な声を出して家に戻っていく。
(稀子の奴。空元気かな…?)
「比叡さん…。家に寄って行って下さい」
「比叡さんも家(アパート)に戻っても、落ち着かないでしょうし……」
「では、そうさせて貰います…」
久しぶりに、山本さんの家にお邪魔する。
玄関からリビングに向かうが、室内に特に変わった様子は無いようだ。
リビングに入ると、キッチンで稀子がお茶の用意をしている。
「比叡さん…」
「ダイニングテーブルで、お茶をしましょうか?」
「はい…」
荷物をリビングの邪魔に成らない場所に置いて、定位置で有った椅子に俺は座る。
稀子がお茶を準備している間に、鈴音さんはお茶菓子を用意しているが、稀子と鈴音さん同士での会話は無い……。俺から見ても気まずい空気が漂っていた。
「……比叡君。……どうぞ」
稀子は少し強張った表情で、俺の前にミルクティーを置く。
「……ありがとう」
稀子を許しては無いけど、俺は鈴音さんと関係を深めてしまった……
(このまま稀子と、縁を切ったままだったら良かったのに…、こんな形で再会してしまうとは……)
鈴音さんはお皿にクッキー類を並べて、ダイニングテーブルに戻って来る。
「こんな物しか無いですけど……」
鈴音さんはそう言いながら、クッキー類の乗ったお皿を静かに置いて、鈴音さんも定位置に座る。
稀子も椅子に座って、食事前の挨拶もせずに、みんな無言でミルクティーを飲む。
「……」
「……」
「……」
誰が最初に、言葉を切り出すかをみんな待っている。
今の俺達の関係は、俺・鈴音さん。稀子・山本さんの敵対関係で有る。
和平交渉では無く、休戦協定でもする様な状況で有る。
ここで仲介役の山本さんのお母さんが居れば正に、絵に成る一面に違いない!
話を切り出したのは鈴音さんだった!
「稀子さんは、無事で良かったです…」
鈴音さんが稀子に問いかけると、稀子は急に涙顔に成って泣き出す!?
「うぇ~ん」
「鈴ちゃん~~。ごめんなさい~~」
「私が山本さんに“ちょっかい”を掛けなければ、こんな事に成らなかった~~」
「びえ~ん///」
「それと、比叡君もごめんなさい~///」
「私が側に付いて居なければ成らないの、見捨てちゃって~~~」
稀子は本当に、子どもの様に泣き出してしまった!!
俺は嫌でも、学童保育で指導員をしていた時代を思い出してしまう!!
(うぁ!!)
(本気泣きしている…。えっと、どうすれば良かったけ?)
(慰める…?)
(『稀子ちゃんは悪くないよ!』と声を掛ければ良い?)
(いや…、それは第三者の目線で有って、俺は当事者だ!)
(この泣き方は……、嘘泣きでは無い感じがするけど……正しい対処方法は何だっけ?)
(うぁ~~、専門的な勉強を全然していないから、対処が出来ない!!)
保育士資格取得の勉強は始めてはいるが、進捗率で言うと1%で有った。基本の基も勉強出来ていない。
稀子が泣き叫ぶ姿に動揺をしていると、鈴音先生は静かに立ち上がり、稀子の背中から優しく包み込む!!
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