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【R-15】鈴音編

第95話 お仕置き その1 

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「お仕置き?」
「何をするんだ!?」

 お仕置きと言葉を聞いて、俺は声を荒げるが……

「お前も……五月蠅いぞ!」

『パア~ン!』

 山本さんは平手打ちで、俺の背中を叩く。

「うっ…」

 音程は痛くは無いが、背中がヒリヒリする。

「商品が…、喚くんじゃ無いよ…」

「商品…?」
「何を言っているです……山本さん!?」

 山本さんは俺の言葉を無視して戸棚に向かい、戸棚から有る物を持ってくる。

「比叡君……。これは何だと思う?」

 四角形より、やや長方形の金属で出来た枠。先端には刃が付いているのか?

「まぁ、見ても分からんよな…」

「それを…、どうするのだ…?」

「まぁ、まぁ、結論を急がずに…比叡君!」
「これはな……ランドセルのかぶせ部分を切り抜く型だ」
「ロール状の牛革などを広げて、この金型で抜いて、被せの部分を牛革シートから抜き取る」

「勿論、牛革だけでは強度が足りないから、他の素材を重ねて縫合するのだがね」

「なっ、何が、言いたいのだ…?」

「君の背中の皮で、被せを抜こうと思ってね…。1枚位は取れる筈だ」
「これで、比叡皮ランドセルを作ろうと思うのだ。山本鞄店のオリジナル商品だ!」

「山本さん…。気は確かですか…?」
「人間の皮では強度が足りませんよ……」

「その辺は大丈夫だよ。他の素材と重ねるから」
「それに僕は正常だよ。おかしいのは君だろ…?」

「普通の人間なら、人の女に手は出さない者だ!」
「さぁ……始めようか!」

「あっ、その前に……この型枠は旧型で有って、もう使わない型枠だから、よい子のみんなは安心してね♪」

 この人は突然、変な事を言い出して頭が狂ったかと感じるが、被せも抜く金型(旧型)を、俺の背中の真ん中付近に静かに置く。
 さっきの言葉は、誰かに対するメッセージか!?
 背中に置かれた時に、刃の感触を感じる…。どれだけの切れ味か判らないが、全体重を掛けられたら、俺は絶対に死ぬ!

「さて……抜くか!」

 今から、仕事をする様な口ぶりで言う山本さん。

「冗談ですよね…山本さん!!」
「俺、死んじゃいますよ…」

「僕は本気だ…!」

 山本さんはそう言うと同時に!!

「ふん!!」

『バキッィ!!』

「ぎゃ~~~~!!!!」

「う~~~~~」

 ランドセルの被せのラインに沿って、俺の背中に激痛が走る。
 俺は痛みに耐えられず、作業台の上でバタバタところげ回る。転げ回ると同時に金型は地面に落ちる。

 手加減したのか、切れ味が悪いのか解らないが、深く刺され感じは無い。けど、肋骨の数本は先ほどの行為で折れた可能性が高い。
 鈴音さんも、その瞬間を見たようで声を激しく上げている!

 俺が作業台の上で転げ回っていると何処からか、数人の男性が出て来て、俺を取り押さえて、再度背中を上に向けられる。
 そして、その状態を静かに……見つめる山本さん。

「あ~~う~、うっ、う~~わぁ~、―――」

「やはり……背骨が邪魔で、全く抜けないな…。刃も一部にしか入ってない」
「刃も錆びているし全く駄目だ……。肉も付いているから剥がすのも大変だし!」
「刃を研いでから更に、背骨を取ってから抜かないと綺麗には取れないな…!」

「思いつきでやる物では無いな!」
「何でも、段取りが必要だ。うん…」

 山本さんは、そう独り言を呟いている。
 この人は俺を殺す気だ!!

「くっ、狂ってる…」
「こんなの……、人がする行為では無い!」

 俺は涙声で山本さんに訴えかけるが……
 俺の目の前に近づいて、低音口調の真顔で言い始める山本さん。

「僕を狂わせたのは…、比叡君だよ」
「君の所為で、昔の僕が現れてしまった!」

「う~~、う~~」

「たっく…、五月蠅いなあの女は……。此処が見せ所なんだぞ!!」
「おい、猿ぐつわを1度取れ!」

「はっ!」

 山本さんの族時代の舎弟なのか、1人の男性が鈴音さんの猿ぐつわを外す。
 猿ぐつわが外されると同時に、鈴音さんは大声で言う。

「ぷはぁ~~!」

「孝明さん! やり過ぎです!!」
「比叡さんが、大怪我をして居るでは無いですか!!」

 鈴音さんがそう言うと、山本さんは俺の背中を再び見始める。

「たしかに、大怪我の様だが血は噴き出して無いし、ショックで死んでは困るから、これ以上はこれをしないよ」

(此をしないと言う事は、まだ続きが有るのか!?)

「比叡君…。次のお仕置きに行こうか…?」
「簡単に死なれては困るからね……」

 山本さんが言い放つと、数人の男性が俺の体を作業台から持ち上げて、地面に置いて仰向けにされる。
 床はコンクリート製で有って、背中の傷口が地面に擦れて俺は声を上げるが、無言で男達は作業を続ける。
 それと同時に、縛られていた足の部分は解かれるが、俺も鈴音さんのように大股にされ、それぞれの太股を俺が動かせない様に男達が押さえつける。

「今度は何をするつもりだ…!!」

 俺は言葉を放つが無視をされ、舎弟の1人が山本さんに声を掛ける。

「総長、準備が出来ました!!」

「そうか…」

 山本さんは、10cm前後の四角形の鉄板2枚を、床に放り投げる。

『カララン~~♪』

「…今から、君の精巣を破壊する!」

(精巣!? まさかの睾丸潰し!!)
(話に聞いた事は有るが…、男性に取っては地獄のような痛みと、男性の生殖機能が失われる極刑!!)

(やだ!! まだ童貞なのに……快楽の仕事もしない内に、男性の役目を終えるなんて……)

 これから行われる……極悪極刑の前に、俺は全面降伏をするしか道は無い!

「止めて下さい!! 山本さん!!」
「幾ら何でもやり過ぎです!!」

「今までの事は全て謝ります! 鈴音さんにも二度と手を出しません!!」
「ですから!!」

「孝明さん! これ以上の行為は止めて下さい!!」
「比叡さんが、可哀想すぎます!!」

 鈴音さんも山本さんに説得を試みるが……

「……」

 山本さんは無言で、ポケットから俺の財布を取り出して!?

「比叡君! これ、何~~だ!」
「僕もびっくり~~~!」

「!!!!!」

 突如、陽気な声で喋る山本さんは、俺の財布の中からコンドームを取り出す!!
 俺が鈴音さんと何時でも性行為を出来るように、事前に用意して置いた物だ。
 クソ!! 財布の中身も探られていたのか!!!

「比叡君も…、鈴音の体に興味を持っていたんだね!」
「鈴音の今後を考えてゴムも用意したんだね! 流石男だよ!!」
「ゴムを付ければ、赤ちゃんは出来ないからバッチリだね♪」

「これが……人の女じゃ無かったならな!!」
「この、くずが~~~!」

 陽気な声から急に怒鳴り声に変わる!!
 鈴音さんはコンドームを見た瞬間から、顔を背けてしまった!?

「鈴音や他の女に発情しないように、僕自らが去勢して上げるよ!」
「良かったね比叡君!」
「もうこれで……鈴音を見ても発情しないし、女にも悩まなくて良いね!!」

 山本さんは俺の睾丸付近に近づいて来る!!
 俺の生殖機能は、この場で機能を失ってしまうのか!?
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