上 下
81 / 434
【R-15】鈴音編

第79話 大丈夫か……

しおりを挟む
 俺は鈴音さんと、今後起きそうな問題を話し合う。
 新しい仕事(アルバイト)の事。住処の事。そして保育士の道と……

「このアパートの大家さんが、山本さんの親友ですと、たしかに厳しいですわ!」

「ですので……、このアパートからは退去するしか無いと思うのです」

「分かりました…。住処に関しては、山本さんのお母様と相談します」
「後……これを、山本さんのお母様から預かってきました!」

 鈴音さんはそう言って、A4サイズの封筒を渡してくる。

「これは…?」

「まずは、中身を見て下さい」

「あっ、はい…」

 封筒の中身を確認すると、通信講座の案内がプリントされた物が入っていた。

『通信講座 保育士講座』

「通信講座?」
「保育士講座……」

「比叡さん!」
「通信講座でも道のりは大変ですが、保育士資格は取得出来ます」
「筆記試験や実技試験対策に関しては、私や山本さんのお母様も協力します!」

「まさか……通信講座何て有ったとは、全然気付かなかった!」

「通信講座ですので、保育士養成学校で資格を取得するのと比べれば、難しいのは確かです!」
「でも、私達がサポートしますので、比叡さんなら出来るはずです!」

 鈴音さんは強気の口調で言う。
 本当に俺の事を心配してくれている。

「あれ?」
「まだ、何か有る…?」

 A4封筒用紙の中には、まだ何かが入っている。
 ひっくり返して見ると……更に長方形封筒が入っていた。

(何だろう…?)

 俺は長方形封筒の中身を確認すると……

「!!!」

 封筒の中には現金が入っていた。
 それも数万円では無い!?

「山本さんのお母様からです」
「返すのは、出世払いで良いそうです!!」

 俺は思わず目頭が熱くなる。
 遂1時間前には、山本(孝明)さんに見限られて、稀子に縁を切られて、地獄に突き落とされたのに、今では地上に戻って来られて、天に導く道までが見えて来ている!!

 すると……鈴音さんが立ち上がって、側に来てくれる。

「人間……苦しい時やつらい時は、当然有ります!」
「だからこそ、人は助け合わなければ成りません…」

 鈴音さんは俺を優しく抱いてくれる。
 この感じは、稀子を抱いた時の感触では無く、お母さんが子どもを優しく抱きしめる感じだった……

「鈴音さん……」

「はい…」

「好きです…」

「はい!」

 俺のその言葉で鈴音さんに振り向き、鈴音さんと目が合う。

「んっ…」

 遂に俺は…、鈴音さんに手を出してしまった!!
 でも、鈴音さんも嫌がっては居ない?
 お互いが求めているのだろうか…?

 鈴音さんとのキスの味は……美味しかった。
 稀子は食べ物の味が多かったが、鈴音さんのキスは、ずっとしていたい位だった。
 俺と鈴音さんはしばらく抱き合いながら、キスの時間を楽しんだ……

 ……

「晩ご飯も、私が届けに来ますから大丈夫ですよ!」
「じゃあ、お休みなさい! 比叡さん!!」

「おやすみ~~。鈴音さん!!」

 これ以上、遅くなると流石に不味いので、今日はこれでお開きにする。
 晩ご飯も今まで通り用意はしてくれるみたいだが、稀子が料理当番の時は出来ないため、その時は自分で用意して欲しいとの事だ。

 保育士講座に関しては、明日にでも申し込みを行おう。
 アルバイトは……この町では無理だから、周辺の町に働きに行く事に成るな……

 ……
 …
 ・

「あっ、あっ、そろそろだ……」
「うっ……鈴音~~」

「!!~~~~」

 俺は先ほどの…、鈴音さんの体の感触と、キスの味を思い出しながら自慰を行う。
 絶頂時に先端から吹き出した白濁液は、ティッシュ数枚重ねたのにそれでも足りずに、脈を打ちながら溢れ出していた……

「まさか……鈴音さんを想って、自慰行為をしてしまうとは!」

 稀子を意識して自慰は何回もしたが、こんなに出たのは久しぶりだったし、快楽も全然違った……

「俺の体が、本当に鈴音さんを求めているんだ…」

 1回出したのに鈴音さんを意識すると、また膨張を始める……

(まだ……鈴音さんは、山本さんと関係が切れてないのに…)

 心ではそう思うが、体は完全に求めている。
 本当に鈴音さんと関係を、この先深められるのだろうか?
 山本さんにバレた時は絶対に私刑にされるし、でも、その状態で有った……

 それでも、俺は鈴音さんを意識して、再度絶頂に向かい始めた……
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

大嫌いな幼馴染の皇太子殿下と婚姻させられたので、白い結婚をお願いいたしました

柴野
恋愛
「これは白い結婚ということにいたしましょう」  結婚初夜、そうお願いしたジェシカに、夫となる人は眉を顰めて答えた。 「……ああ、お前の好きにしろ」  婚約者だった隣国の王弟に別れを切り出され嫁ぎ先を失った公爵令嬢ジェシカ・スタンナードは、幼馴染でありながら、たいへん仲の悪かった皇太子ヒューパートと王命で婚姻させられた。  ヒューパート皇太子には陰ながら想っていた令嬢がいたのに、彼女は第二王子の婚約者になってしまったので長年婚約者を作っていなかったという噂がある。それだというのに王命で大嫌いなジェシカを娶ることになったのだ。  いくら政略結婚とはいえ、ヒューパートに抱かれるのは嫌だ。子供ができないという理由があれば離縁できると考えたジェシカは白い結婚を望み、ヒューパートもそれを受け入れた。  そのはず、だったのだが……?  離縁を望みながらも徐々に絆されていく公爵令嬢と、実は彼女のことが大好きで仕方ないツンデレ皇太子によるじれじれラブストーリー。 ※こちらの作品は小説家になろうにも重複投稿しています。

【完結】双子の伯爵令嬢とその許婚たちの物語

ひかり芽衣
恋愛
伯爵令嬢のリリカとキャサリンは二卵性双生児。生まれつき病弱でどんどん母似の美女へ成長するキャサリンを母は溺愛し、そんな母に父は何も言えない……。そんな家庭で育った父似のリリカは、とにかく自分に自信がない。幼い頃からの許婚である伯爵家長男ウィリアムが心の支えだ。しかしある日、ウィリアムに許婚の話をなかったことにして欲しいと言われ…… リリカとキャサリン、ウィリアム、キャサリンの許婚である公爵家次男のスターリン……彼らの物語を一緒に見守って下さると嬉しいです。 ⭐︎2023.4.24完結⭐︎ ※2024.2.8~追加・修正作業のため、2話以降を一旦非公開にしていました。  →2024.3.4再投稿。大幅に追加&修正をしたので、もしよければ読んでみて下さい(^^)

えっと、幼馴染が私の婚約者と朝チュンしました。ドン引きなんですけど……

百谷シカ
恋愛
カメロン侯爵家で開かれた舞踏会。 楽しい夜が明けて、うららかな朝、幼馴染モイラの部屋を訪ねたら…… 「えっ!?」 「え?」 「あ」 モイラのベッドに、私の婚約者レニー・ストックウィンが寝ていた。 ふたりとも裸で、衣服が散乱している酷い状態。 「どういう事なの!?」 楽しかった舞踏会も台無し。 しかも、モイラの部屋で泣き喚く私を、モイラとレニーが宥める始末。 「触らないで! 気持ち悪い!!」 その瞬間、私は幼馴染と婚約者を失ったのだと気づいた。 愛していたはずのふたりは、裏切り者だ。 私は部屋を飛び出した。 そして、少し頭を冷やそうと散歩に出て、美しい橋でたそがれていた時。 「待て待て待てぇッ!!」 人生を悲観し絶望のあまり人生の幕を引こうとしている……と勘違いされたらしい。 髪を振り乱し突進してくるのは、恋多き貴公子と噂の麗しいアスター伯爵だった。 「早まるな! オリヴィア・レンフィールド!!」 「!?」 私は、とりあえず猛ダッシュで逃げた。 だって、失恋したばかりの私には、刺激が強すぎる人だったから…… ♡内気な傷心令嬢とフェロモン伯爵の優しいラブストーリー♡

王宮医務室にお休みはありません。~休日出勤に疲れていたら、結婚前提のお付き合いを希望していたらしい騎士さまとデートをすることになりました。~

石河 翠
恋愛
王宮の医務室に勤める主人公。彼女は、連続する遅番と休日出勤に疲れはてていた。そんなある日、彼女はひそかに片思いをしていた騎士ウィリアムから夕食に誘われる。 食事に向かう途中、彼女は憧れていたお菓子「マリトッツォ」をウィリアムと美味しく食べるのだった。 そして休日出勤の当日。なぜか、彼女は怒り心頭の男になぐりこまれる。なんと、彼女に仕事を押しつけている先輩は、父親には自分が仕事を押しつけられていると話していたらしい。 しかし、そんな先輩にも実は誰にも相談できない事情があったのだ。ピンチに陥る彼女を救ったのは、やはりウィリアム。ふたりの距離は急速に近づいて……。 何事にも真面目で一生懸命な主人公と、誠実な騎士との恋物語。 扉絵は管澤捻さまに描いていただきました。 小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。

冷血弁護士と契約結婚したら、極上の溺愛を注がれています

朱音ゆうひ
恋愛
恋人に浮気された果絵は、弁護士・颯斗に契約結婚を持ちかけられる。 颯斗は美男子で超ハイスペックだが、冷血弁護士と呼ばれている。 結婚してみると超一方的な溺愛が始まり…… 「俺は君のことを愛すが、愛されなくても構わない」 冷血サイコパス弁護士x健気ワーキング大人女子が契約結婚を元に両片想いになり、最終的に両想いになるストーリーです。 別サイトにも投稿しています(https://www.berrys-cafe.jp/book/n1726839)

【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。

文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。 父王に一番愛される姫。 ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。 優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。 しかし、彼は居なくなった。 聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。 そして、二年後。 レティシアナは、大国の王の妻となっていた。 ※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。 小説家になろうにも投稿しています。 エールありがとうございます!

婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました

Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。 順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。 特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。 そんなアメリアに対し、オスカーは… とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。

【完結】俺のセフレが幼なじみなんですが?

おもち
恋愛
アプリで知り合った女の子。初対面の彼女は予想より断然可愛かった。事前に取り決めていたとおり、2人は恋愛NGの都合の良い関係(セフレ)になる。何回か関係を続け、ある日、彼女の家まで送ると……、その家は、見覚えのある家だった。 『え、ここ、幼馴染の家なんだけど……?』 ※他サイトでも投稿しています。2サイト計60万PV作品です。

処理中です...