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【R-15】鈴音編
第76話 最悪の展開 その2
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「もしもし…」
「比叡さんですか?」
「鈴音です…」
「はい。比叡です」
「……どうでしたか?」
「……」
「やはり駄目でしたか?」
「……はい」
「2人で、話は出来たのですよね?」
「夕方……工場に行きまして、孝明さんと話し合いました」
「山本さん曰く『今更……君と話し合いをする気は無い!』と言われました」
「何故、山本さんは其処までの事をするんだ?」
「判りません……。でも、一言言える事は、稀子さんが絡んで居るのは間違いないです」
「鈴音さんは…、稀子が山本さんとの橋渡し役をしていると、山本さんには言ったのですか?」
「……それは言っていません」
「でも、やはりと思いましたが、稀子さんは私の伝言を伝えて無かったです」
「もし、伝えている様でしたら、あんな事は言いません……」
「稀子を“とっちめる”か?」
俺は稀子に対して怒りを持つ。
幾ら好きな人だからと言って、親友を犠牲にしてまでやる行為か?
「良いんです!」
「稀子さんを責めないで下さい!!」
「私も迂闊だったのです。稀子さんも孝明さんが好きなのを知っているのに、軽い気持ちで頼んで仕舞いましたから」
「しかしと言っても……俺も人の事は言えんか…」
「…ここで聞いては行けないと思いますけど、敢えて聞きます」
「山本さん言え、孝明さんと鈴音さんは関係を解消したのですか?」
もし、ここで関係が解消されていれば、俺は鈴音さんに好意を伝える気でいた。
何時までも、鈴音さんの悲しい表情等見たくは無かったし、稀子なんか所詮、親友関係だから、稀子なんか山本さんにくれてやる!
稀子もそれを望んでいる様だし好都合だ!
「……孝明さんの口からは、別れようとは言いませんでした」
「それでは、まだ関係は続いてると…」
「そう成りますね…」
「きっと孝明さんは、私に仕事を手伝って欲しくないのです」
「私が普通に進学して、山本さんの家業に関わらないと言えば、直ぐに許してくれるはずです」
「でも……それでは、鈴音さんは嫌ですよね?」
「はい。嫌です!!」
「私が孝明さんと関係を持った理由は、孝明さん自身も好きですが、山本鞄店をもっと盛り上げたい気持ちが有ったからです!」
「普通の会社員や公務員をしてしまったら、私は今と同じ補助的なお手伝いしか出来ませんし、山本鞄店に対する愛着も薄れてしまいます!」
「鈴音さん……」
「稀子さんがどの様に孝明さんに言っているかは判りませんが、私はしばらく様子を見る事にします」
「稀子は直ぐにボロを出す子です。孝明さんがそれに気づけば、私に接点を求めて来る筈です」
鈴音さんは、山本さんより山本鞄店に対する愛着が強い。
当たり前だが、鈴音さんが小学生の時は、山本鞄店製のランドセルを6年間背負ったのだろう……
俺の口言葉や気持ちだけで、鈴音さんを俺の方に振り向かせるのは、まず無理だと感じてしまった……
「すいません……私ばかりが喋ってしまって///」
「いえ、大丈夫です」
「鈴音さんの、山本鞄店に対する気持ちが非常に理解出来ました」
「山本さんのお母さんは、何か言ってくれないのですか?」
「お母様も、色々言ってくれて居るようですが、やはりと言うか、私が学園生の間は一切関わらせないと、頑なに言っている様でして…」
「普通の学園生でも、コンビニやファミレスで働いているのに、山本さんと来たら…」
「それだけ、私の事を大事にしてくれていると、今は思っています」
「もうしばらくしたら、また元の関係に戻れるはずです」
「それまでは、比叡さんも重苦しい中での生活に成ると思いますが…」
「俺の方は大丈夫です」
「しかし、稀子には本当にお灸を据えたいですね!」
「それだけ、稀子さんは諦めきれないのでしょう…」
「それに……比叡さんも稀子さんの事が本当に好きなら、比叡さんが稀子さんを窘めて居る筈ですが…?」
「!!!」
「そっ、それは……俺からも言っているのですが。稀子が『比叡君とは親友!』と言い切りまして……」
「本当の親友なら……言う事を聞くはずです!」
「私達……稀子さんに遊ばれていますね♪」
何故か、鈴音さんはここで嬉しそうに言う。
鈴音さんも俺に本当に気が有るのか!
「では、比叡さん…。長くなってしまいましたが、これで終わらせて貰います」
「お休みなさい…」
「あっ、お休み。鈴音さん!」
『プッ、ツー、ツー』
俺がその言葉を言った直後に、通話は切られてしまった。
「稀子に遊ばれているか…」
たしかに稀子が俺に、本当の好意を持っていれば、親友でも言う事は聞くはずだ。
俺も稀子が好きなのだから、平手打ちをしてまで止めさせ無ければ成らないのに、軽く言っただけで終えてしまっている。
俺の心の中では、稀子から鈴音さんに完全、好意の対象が移っていたのだ!
(これはもう……時間が解決させるしか無いな)
俺が今、前面に出て稀子に強く言ったり、山本さんに一言申したら全面戦争に成るだろう。
元々、2人の問題に……俺が鈴音さんを引き留めて、稀子はこれをチャンスだと思って山本さんに接近した。本当の原因は俺だからだ!!
(鈴音さんも状況を理解しているし、後は稀子がボロを出すまで待つしか無い…)
今日も寝付けない夜に成りそうだ……
「比叡さんですか?」
「鈴音です…」
「はい。比叡です」
「……どうでしたか?」
「……」
「やはり駄目でしたか?」
「……はい」
「2人で、話は出来たのですよね?」
「夕方……工場に行きまして、孝明さんと話し合いました」
「山本さん曰く『今更……君と話し合いをする気は無い!』と言われました」
「何故、山本さんは其処までの事をするんだ?」
「判りません……。でも、一言言える事は、稀子さんが絡んで居るのは間違いないです」
「鈴音さんは…、稀子が山本さんとの橋渡し役をしていると、山本さんには言ったのですか?」
「……それは言っていません」
「でも、やはりと思いましたが、稀子さんは私の伝言を伝えて無かったです」
「もし、伝えている様でしたら、あんな事は言いません……」
「稀子を“とっちめる”か?」
俺は稀子に対して怒りを持つ。
幾ら好きな人だからと言って、親友を犠牲にしてまでやる行為か?
「良いんです!」
「稀子さんを責めないで下さい!!」
「私も迂闊だったのです。稀子さんも孝明さんが好きなのを知っているのに、軽い気持ちで頼んで仕舞いましたから」
「しかしと言っても……俺も人の事は言えんか…」
「…ここで聞いては行けないと思いますけど、敢えて聞きます」
「山本さん言え、孝明さんと鈴音さんは関係を解消したのですか?」
もし、ここで関係が解消されていれば、俺は鈴音さんに好意を伝える気でいた。
何時までも、鈴音さんの悲しい表情等見たくは無かったし、稀子なんか所詮、親友関係だから、稀子なんか山本さんにくれてやる!
稀子もそれを望んでいる様だし好都合だ!
「……孝明さんの口からは、別れようとは言いませんでした」
「それでは、まだ関係は続いてると…」
「そう成りますね…」
「きっと孝明さんは、私に仕事を手伝って欲しくないのです」
「私が普通に進学して、山本さんの家業に関わらないと言えば、直ぐに許してくれるはずです」
「でも……それでは、鈴音さんは嫌ですよね?」
「はい。嫌です!!」
「私が孝明さんと関係を持った理由は、孝明さん自身も好きですが、山本鞄店をもっと盛り上げたい気持ちが有ったからです!」
「普通の会社員や公務員をしてしまったら、私は今と同じ補助的なお手伝いしか出来ませんし、山本鞄店に対する愛着も薄れてしまいます!」
「鈴音さん……」
「稀子さんがどの様に孝明さんに言っているかは判りませんが、私はしばらく様子を見る事にします」
「稀子は直ぐにボロを出す子です。孝明さんがそれに気づけば、私に接点を求めて来る筈です」
鈴音さんは、山本さんより山本鞄店に対する愛着が強い。
当たり前だが、鈴音さんが小学生の時は、山本鞄店製のランドセルを6年間背負ったのだろう……
俺の口言葉や気持ちだけで、鈴音さんを俺の方に振り向かせるのは、まず無理だと感じてしまった……
「すいません……私ばかりが喋ってしまって///」
「いえ、大丈夫です」
「鈴音さんの、山本鞄店に対する気持ちが非常に理解出来ました」
「山本さんのお母さんは、何か言ってくれないのですか?」
「お母様も、色々言ってくれて居るようですが、やはりと言うか、私が学園生の間は一切関わらせないと、頑なに言っている様でして…」
「普通の学園生でも、コンビニやファミレスで働いているのに、山本さんと来たら…」
「それだけ、私の事を大事にしてくれていると、今は思っています」
「もうしばらくしたら、また元の関係に戻れるはずです」
「それまでは、比叡さんも重苦しい中での生活に成ると思いますが…」
「俺の方は大丈夫です」
「しかし、稀子には本当にお灸を据えたいですね!」
「それだけ、稀子さんは諦めきれないのでしょう…」
「それに……比叡さんも稀子さんの事が本当に好きなら、比叡さんが稀子さんを窘めて居る筈ですが…?」
「!!!」
「そっ、それは……俺からも言っているのですが。稀子が『比叡君とは親友!』と言い切りまして……」
「本当の親友なら……言う事を聞くはずです!」
「私達……稀子さんに遊ばれていますね♪」
何故か、鈴音さんはここで嬉しそうに言う。
鈴音さんも俺に本当に気が有るのか!
「では、比叡さん…。長くなってしまいましたが、これで終わらせて貰います」
「お休みなさい…」
「あっ、お休み。鈴音さん!」
『プッ、ツー、ツー』
俺がその言葉を言った直後に、通話は切られてしまった。
「稀子に遊ばれているか…」
たしかに稀子が俺に、本当の好意を持っていれば、親友でも言う事は聞くはずだ。
俺も稀子が好きなのだから、平手打ちをしてまで止めさせ無ければ成らないのに、軽く言っただけで終えてしまっている。
俺の心の中では、稀子から鈴音さんに完全、好意の対象が移っていたのだ!
(これはもう……時間が解決させるしか無いな)
俺が今、前面に出て稀子に強く言ったり、山本さんに一言申したら全面戦争に成るだろう。
元々、2人の問題に……俺が鈴音さんを引き留めて、稀子はこれをチャンスだと思って山本さんに接近した。本当の原因は俺だからだ!!
(鈴音さんも状況を理解しているし、後は稀子がボロを出すまで待つしか無い…)
今日も寝付けない夜に成りそうだ……
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