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稀子編
第66話 最後の望み その1
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家に戻った俺は、早速スマートフォンを使って、保育士の通信講座を検索して調べてみる……
※保育士通信講座に関する文章及び保育士試験内容はフィクションです。
この文章を絶対に鵜呑みしないで下さい!
興味を感じた方は、自主的に調べて下さるようお願いします。
「成る程……。通信講座なら、養成学校に通うよりも、遙かに金額は安くは抑えられるのか…」
俺は保育士講座の紹介内容を見ている。
「筆記試験に合格しないと実技試験が受験出来ない…」
「筆記試験も8教科9科目有って、各正解率が60%以上か…」
「筆記試験はマークシート方式だから、最悪は山勘も使えるけど…」
筆記試験はテキスト等が有るから出来ない事は無いが、通信講座で保育士の資格取得はかなり厳しい感じだ。
「仮に筆記試験が合格しても、実技の壁が高すぎる……」
保育士試験の実技試験は3つ有って、その内の2つを任意に選択出来る。
音楽に関する技術。造形に関する技術。言語に関する技術。
保育士養成学校なら、上記の課題を練習をする場所が有るので問題が無いが、通信講座だとその場所が無い。
「う~ん」
「通信講座なら今すぐ申し込めば、今から勉強は出来るが、それを山本さん達が許してくれるか?」
通信講座は、自分の意思で勉強をしなくては成らない。
学校なら時間に行って、時間に成ったら終わりだけど、通信講座は何時でも勉強出来る代わりに、自分自身の戦いに成る。
先生も居ないから、分からない事はネットを使えば良いけど、全ての問題が解決できるわけでは無い。
更に通信講座を受講しているからと言って、身分が『学生』に変わる訳では無く、俺の場合だとアルバイトの扱いに成る。
保育士試験も年に2回しか無いし、受験料も1万円以上掛かる。
軽く調べた感じでは、俺が1回の試験で筆記・実技試験に合格する確率は0%だろう……。1発合格等、絶対に出来ない事が分かってしまう……
「稀子が本当に児童福祉系の大学や専門学校に行けば、まだ道は有るが、それでも必ず合格出来る訳で無い…」
「筆記はどうにか成るとしても、実技試験がどうしようも出来ない……」
俺は音痴だし、手先は不器用だし、表現力も弱い……
独学で、実技試験の対応は絶対に出来ない。
「このまま……この町を去るしか無いのか…?」
わずかな希望は見つけ出したが、本当にわずかな希望のため途方に暮れる。
その時、玄関のインターホーンが鳴るのでびっくりする!
「!!!」
「山本さん……もう、晩ご飯代の返金に来たか?」
俺は玄関の覗き窓から、誰かを見てみる。
すると、インターホーンを鳴らしたのは稀子だった。玄関の鍵を開けてドアを開く……
「比叡君が心配で、来ちゃった……」
稀子は、はにかんだ笑顔で言う。
「入って…」
俺は稀子を部屋に招き入れる。稀子がこちらに来るまでの間に、俺は押し入れから座布団を取り出して、俺の向かい置く。稀子は部屋に入り、その座布団に座る。
「比叡君の家に来るのは2回目だね」
「こんな雰囲気で、来たくなかったけど…」
「…心配してくれてありがとう」
「いえ、いえ」
「……比叡君。本当に帰るの?」
稀子の表情が急に変わる。
「帰りたくは無いよ…」
「稀子ちゃんと離れたくは無いよ」
「私も比叡君とは離れたくは無いけど、山本さんが引き離しそう…」
稀子は悲しそうな表情で言う。
「俺も何とか出来ないか調べてみたら、通信講座の方法を見つけたんだ」
「通信講座?」
「学童保育の道は諦めて、何かを勉強するの?」
「あっ、通信講座でも保育士に成る勉強は出来るんだ」
俺はそう言って、先ほどまで見ていた、保育士通信講座のサイトを稀子に見せる。
同時に、さっき見た事を稀子に説明する。
……
…
・
「うん!」
「良いじゃん! 比叡君!!」
「これで行こうよ!!」
稀子は一気に笑顔に成って、話し掛けてくる。
「でも……保育士養成学校と比べれば、かなり非現実的なんだ…」
「そんな事言ったって、やるしか無いよ。比叡君!」
「通信講座でも、資格が取得出来れば同じなんだから!!」
「はい! 比叡君。ここでクイズです!!」
「山本さんのお店は、何屋さんでしょう?」
稀子は『鈴ちゃんクイズ』見たいに、またクイズを出してくる。
「何屋さんって、屋号は鞄屋だけど、実際はランドセル屋でしょ…」
「ピンポン、ピンポン♪」
「大正解~~」
「じゃあ、次のクイズ!」
「ランドセルを背負う子は?」
「稀子。馬鹿にしているの! 小学生だよ!!」
俺は苛立ちながら答える。
しかし、稀子は擬音を出さない。
「比叡君…。小学生に上がる前の子達は何て言う?」
「幼稚園児か保育園児だろ!」
「……?」
「……!!」
「気づいた比叡君?」
稀子は満面の笑顔をする。
「稀子ちゃん。そう言う事か!!」
「そうだよ! 比叡君!!」
「山本さんのお店に来るお客さんは、幼稚園児や保育園児の親御さんだよ!」
「山本さんが子ども関連に顔が広いかは分からないけど、きっと比叡君を手助けしてくれる人は居るはずだよ!」
言われてみれば盲点だった……
ランドセルを初めて背負う子。ランドセルを買いに来る親子連れ。その子どもの姿を……何で、俺は其処に気づかなかったのだろう?
「この町にランドセルを販売しているお店は、ショッピングモールを除けば山本鞄店しか無いからね!」
「地道な努力をすれば、きっと叶うはずだよ!」
「……一か八かやってみるか!」
俺がそう決意をした時、俺のスマートフォンに着信音が流れる。
着信名を見ると鈴音さんからだった。俺は鈴音さんの電話に出る……
※保育士通信講座に関する文章及び保育士試験内容はフィクションです。
この文章を絶対に鵜呑みしないで下さい!
興味を感じた方は、自主的に調べて下さるようお願いします。
「成る程……。通信講座なら、養成学校に通うよりも、遙かに金額は安くは抑えられるのか…」
俺は保育士講座の紹介内容を見ている。
「筆記試験に合格しないと実技試験が受験出来ない…」
「筆記試験も8教科9科目有って、各正解率が60%以上か…」
「筆記試験はマークシート方式だから、最悪は山勘も使えるけど…」
筆記試験はテキスト等が有るから出来ない事は無いが、通信講座で保育士の資格取得はかなり厳しい感じだ。
「仮に筆記試験が合格しても、実技の壁が高すぎる……」
保育士試験の実技試験は3つ有って、その内の2つを任意に選択出来る。
音楽に関する技術。造形に関する技術。言語に関する技術。
保育士養成学校なら、上記の課題を練習をする場所が有るので問題が無いが、通信講座だとその場所が無い。
「う~ん」
「通信講座なら今すぐ申し込めば、今から勉強は出来るが、それを山本さん達が許してくれるか?」
通信講座は、自分の意思で勉強をしなくては成らない。
学校なら時間に行って、時間に成ったら終わりだけど、通信講座は何時でも勉強出来る代わりに、自分自身の戦いに成る。
先生も居ないから、分からない事はネットを使えば良いけど、全ての問題が解決できるわけでは無い。
更に通信講座を受講しているからと言って、身分が『学生』に変わる訳では無く、俺の場合だとアルバイトの扱いに成る。
保育士試験も年に2回しか無いし、受験料も1万円以上掛かる。
軽く調べた感じでは、俺が1回の試験で筆記・実技試験に合格する確率は0%だろう……。1発合格等、絶対に出来ない事が分かってしまう……
「稀子が本当に児童福祉系の大学や専門学校に行けば、まだ道は有るが、それでも必ず合格出来る訳で無い…」
「筆記はどうにか成るとしても、実技試験がどうしようも出来ない……」
俺は音痴だし、手先は不器用だし、表現力も弱い……
独学で、実技試験の対応は絶対に出来ない。
「このまま……この町を去るしか無いのか…?」
わずかな希望は見つけ出したが、本当にわずかな希望のため途方に暮れる。
その時、玄関のインターホーンが鳴るのでびっくりする!
「!!!」
「山本さん……もう、晩ご飯代の返金に来たか?」
俺は玄関の覗き窓から、誰かを見てみる。
すると、インターホーンを鳴らしたのは稀子だった。玄関の鍵を開けてドアを開く……
「比叡君が心配で、来ちゃった……」
稀子は、はにかんだ笑顔で言う。
「入って…」
俺は稀子を部屋に招き入れる。稀子がこちらに来るまでの間に、俺は押し入れから座布団を取り出して、俺の向かい置く。稀子は部屋に入り、その座布団に座る。
「比叡君の家に来るのは2回目だね」
「こんな雰囲気で、来たくなかったけど…」
「…心配してくれてありがとう」
「いえ、いえ」
「……比叡君。本当に帰るの?」
稀子の表情が急に変わる。
「帰りたくは無いよ…」
「稀子ちゃんと離れたくは無いよ」
「私も比叡君とは離れたくは無いけど、山本さんが引き離しそう…」
稀子は悲しそうな表情で言う。
「俺も何とか出来ないか調べてみたら、通信講座の方法を見つけたんだ」
「通信講座?」
「学童保育の道は諦めて、何かを勉強するの?」
「あっ、通信講座でも保育士に成る勉強は出来るんだ」
俺はそう言って、先ほどまで見ていた、保育士通信講座のサイトを稀子に見せる。
同時に、さっき見た事を稀子に説明する。
……
…
・
「うん!」
「良いじゃん! 比叡君!!」
「これで行こうよ!!」
稀子は一気に笑顔に成って、話し掛けてくる。
「でも……保育士養成学校と比べれば、かなり非現実的なんだ…」
「そんな事言ったって、やるしか無いよ。比叡君!」
「通信講座でも、資格が取得出来れば同じなんだから!!」
「はい! 比叡君。ここでクイズです!!」
「山本さんのお店は、何屋さんでしょう?」
稀子は『鈴ちゃんクイズ』見たいに、またクイズを出してくる。
「何屋さんって、屋号は鞄屋だけど、実際はランドセル屋でしょ…」
「ピンポン、ピンポン♪」
「大正解~~」
「じゃあ、次のクイズ!」
「ランドセルを背負う子は?」
「稀子。馬鹿にしているの! 小学生だよ!!」
俺は苛立ちながら答える。
しかし、稀子は擬音を出さない。
「比叡君…。小学生に上がる前の子達は何て言う?」
「幼稚園児か保育園児だろ!」
「……?」
「……!!」
「気づいた比叡君?」
稀子は満面の笑顔をする。
「稀子ちゃん。そう言う事か!!」
「そうだよ! 比叡君!!」
「山本さんのお店に来るお客さんは、幼稚園児や保育園児の親御さんだよ!」
「山本さんが子ども関連に顔が広いかは分からないけど、きっと比叡君を手助けしてくれる人は居るはずだよ!」
言われてみれば盲点だった……
ランドセルを初めて背負う子。ランドセルを買いに来る親子連れ。その子どもの姿を……何で、俺は其処に気づかなかったのだろう?
「この町にランドセルを販売しているお店は、ショッピングモールを除けば山本鞄店しか無いからね!」
「地道な努力をすれば、きっと叶うはずだよ!」
「……一か八かやってみるか!」
俺がそう決意をした時、俺のスマートフォンに着信音が流れる。
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