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自滅編

その1 責任は取りたくない

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☆自滅編は出会い編で、稀子に声かけなかった場合のルートです。
 結果は章のタイトル通りです……
 比叡の選択までは『出会い編 第3話 突然舞い降りた出来事!?』と内容は同じです。
 この編は支線に成りますが盲腸線です。


 ☆自滅編……☆

 理不尽な理由で仕事先をクビ成った俺(青柳比叡)は、気に成る転職先も見付からず、天気も良かった事から、気分転換に電車に乗って出掛けたが、終着点の駅には何も無くて、詰まらない海景色を見ただけで、自分の住んでいる町に戻ってくる。

 俺は喉が丁度渇いていたので、駅のコンコースを直ぐ出た所に有る、自動販売機で温かい缶コーヒーを買って、缶コーヒーを飲みながら黄昏れていると……

『さむぃよ~』

(綺麗な夕方だな……。失敗はつきものだが―――)

『こまったな~~』

(どこからか、声が聞こえる?)
(声の感じからして、女の子見たいだが迷子?)

 弱々しい声が聞こえてくるが、下手に声を掛けると今の時代。色々、面倒な事に巻き込まれやすい。
 俺は気にせず、空を見上げながら缶コーヒーを飲む。

『うぅ…』

 2~3分位で缶コーヒーを飲み終わり、缶を捨て行こうとした時、偶然と言うほどではないが、その声の主を見つけてしまった。
 駅のコンコースの端にちょこんと体操座りをしている女の子。見た感じ中学生? いや小学生かも知れない!?
 その女の子は、困った顔して外の景色を見ている。家出少女……?

「でもな、りんちゃんが、いけないんだよ……」

 時々、小声で1人しゃべりをしている。もしかして頭の弱い子!?
 何だか可哀想に見えてきたので、俺はその子に声を掛けようか真剣に考える。
 俺はゆっくりと、女の子に近づく……

 顔はちょっと、うずくまって居るから分かりにくいが、セミロングヘアーで可愛い顔立ちだ。
 その子の横には、少し大きめのナイロン製のバッグが置かれている。学園のだろうか?
 学園の指定で有ろう青色系のコートを着ていて、コートの端をおしりに敷いているからは冷たくは無いだろうが、こんな可愛い子がずっとこんな所に居たら、絶対変な事をされるに決まって居る。

(やっぱり声かけた方が良いよな……)
(でも、美人局つつもたせの可能性も捨てきれないよな)
(声かけてしばらくしたら、いきなりDQNがやってきて)

『おう、おう、おっさん! 何、俺の女に手を出しているんだ―――』
 と、威嚇しながらやって来て、そしてDQNが『おまえ、何かされなかったか…?』と問いかけて……

『私、座って居ただけなのに、体触られた!』

(とか言われたら、たまったもんじゃない!)

 頭の中で、色々とシミュレーションをしてみるが、明確な答えは浮かばなかった。
 俺の取った行動は……

 ……

 だけど…俺は声を掛けない事にした。
 彼女の直ぐ近くまで来たが…、その子は気づいて無いし、無職の俺が声を掛けて問題ごとが発生したら絶対、今住んでいる部屋を追い出される!!

(これ以上の不幸ごとは無用だ!)

 子どもでも特に女子は危険だ。世間の奴らは、女子の言い分を阿呆みたいに信用する。たとえ、女子が嘘を付いて居たとしてもだ!
 社会的地位が無い俺の言葉なんかは、絶対に信用しないし相手もされない。
 世間の中では俺は完全の負け組だからだ!

 俺はそう思い、直ぐにその子から離れ帰路に着いた。
 その子は俺がかなり近づいたのに、気づかないのか、気付かない振りをしたのかが判らないが、俺も面倒くさい事に巻き込まれなくて良かったと思う。

 その後は家に戻り、晩ご飯の準備をするが、冷蔵庫にろくな物しか無いので、カップメンと冷凍してある白米で食事を取って、後はテレビを見たり、動画サイトを見たりの何時も通りの生活を過ごす。

 俺に取って……今日の1日は、無意味な1日で有った……
 こんな事なら無理して出掛けて、貴重なお金を使わずに1日家に居れば良かったと感じた。

 ……

 海の旅から数日後……

 俺のやる気は相変らず出ない。まだ前の職場に未練が有るからだろうか?
 俺のや○気スイッチは馬鹿(壊れている)に成っているようで有って、ONにしても回路に信号は流れない……。その前にONに成っているかも怪しい。

 俺には悩みを相談できる親友も居ないし、もちろん女友達や彼女も居ない。
 自分で自分の首を絞めている状態だ。

(今の貯金額では、半年が限度だよな……)

 パートタイマーの時は、ほぼフルタイム働けていたので、まずまずの収入があったが、今はそれが途絶えてしまっている。貯金だけが俺の生命線だ。

(自分に興味が無い仕事でも遣るしか無い!)

 と何時も心の中ではそう思うが、その先が動かない。
 完全に怠け癖が付いてしまった様だ。
 その日も何もせずに過ぎていった……

 更に1ヶ月後……

(やばい。やばい!!)

 やる気どころか、怠け癖が悪化してしまって、更に酷い状態に為ってしまった!
 部屋は汚れ放題……ゴミは出さない。近所付き合いももちろん無い!

 食事も少し出来た自炊も辞め、コンビニ弁当やスーパーの惣菜ばかりになっていた。
 大切な貯金も…、欲しい物や気になった物は通販で“どんどん”買っていたので、物は増えたがお金は減りまくった。

「もう、こうなっては仕方ない!」
「明日からは、本気を出す!!」

 俺はネットのを言うが、何も根拠も準備もしていないのに言葉だけは出す。典型的な口先パターンだ。
 俺自身でも、この生活から抜け出す方法が判らなかった。
 誰かに助けを求めるべきだが、助けて貰える人も居ないし、俺には“そもそも”人望が無かった……
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