恵那のどたばた日記

小春かぜね

文字の大きさ
上 下
18 / 53

第17話 私の悩み……

しおりを挟む
 徳○港からフェリーに乗った私達。島に着くには40分位掛かるみたい。
 船内から外の景色を眺めていると、私は急にデッキに出て見たいと感じた。

「ねえ、お姉ちゃん!」
「私、外の景色見て来るね!!」

 私の隣に座って、本を読んで居るお姉ちゃんに声を掛ける。
 お姉ちゃんは“こくん”と頷き、再び本に目を戻した。
 私はデッキに出ると……潮風が鼻をくすぐる。
 黒い雨雲の有った空には、少しずつだが青空が見えてきた……

「お天気になるかな……」

 ぼそっと、私は呟く。
 そして……何となく、お姉ちゃん事を考え始める……

(私は……お姉ちゃんの事を、あまり好きではない)
(家事は殆ど私にやらすし、私中心だし、料理も殆ど作れないし!!)

 考え始めると…、お姉ちゃんの嫌な所がいっぱい出てくる!!
 けど……お姉ちゃんが、私を気に掛けてくれて居るのは知っている。

 今回の旅行のお金だって、全部お姉ちゃんのアルバイト代から出ている。
 高速道路の料金や、旅館の宿代は決して安い金額で無い事位、私だって知っている。

(お姉ちゃんは、お姉ちゃんなりに、私の気を引こうとしているのかな?)

 私はそう思った……
 私だって、お姉ちゃんの事を好きになりたい。仲の良い姉妹に成りたい!!

 しかし、お互いの気持ちが繋がる事は少ない。
 小学生と大学生では、生活リズム・考え方全然違う。
 朝ご飯だって何気なく一緒に食べているけど、その後の時間は別々だ。
 私が、朝ご飯の後片付けをしているのに、お姉ちゃんがソファーで寛いで居る時は、“イラッ”ときた時が何回も有った。

(私が小学校に出かけた後、お姉ちゃんが洗濯物を干しているのだけど…)

 良い事よりも、悪い事の方が記憶に残りやすい。
 別に朝ご飯だって、生活リズムが違うから一緒に食べる必要性は無い。
 けど……お姉ちゃんは私との会話を意識して、時間を合わせているのだとしたら、すごく嬉しい!

「私がもうちょっと、お姉ちゃんを頼った方が良いのかな…?」

 デッキの柵に体を預けて、私はお姉ちゃんの事を色々考えた……

 ……

 島……

 島に着いた私達。

「今日は雲が有るから、そう暑くならないかもね!」

 お姉ちゃんは、私に話し掛けてくる。

「そうだね」
「それで、今からどこに行くの?」

 私はまだ。これから行く場所を聞いていない。
 ちなみにここの移動手段は徒歩で有り、バスとかは無い。

「恵那!」
「それわね……着いてからのお楽しみ!!」

 無邪気の笑顔で答えるお姉ちゃん。
 何か……ムカつく……

「……楽しみにしてる」

 お姉ちゃんとしばらく海岸沿いを歩いてから、今度は急に山道を歩き出した。それにしても急な坂だ……

「ねえ、お姉ちゃん…。結構きついね、この坂!」

「うん。そうだね、恵那」
「……でも、あと少しだよ。きっと…」

 脈絡の無い言葉を聞きながら、山道を登り切ると、立派な門が出てきた!?

(えっ!?)
(山の中から建物が出て来た!!)

「ふぅ~、やっと着いた!」

 お姉ちゃんは息をつきながら言う。

「お姉ちゃん。ここ?」

「そう、恵那。ここ」

 着いた場所には平屋建ての建物が有って、その右側には黒い塊が展示して有る。

「お姉ちゃん。何かの博物館?」

「そうだよ。博物館!」

 お姉ちゃんはそう言いながら、建物の方に“どんどん”歩き出す。

(何の博物館だろうか?)
(それにしても、あまり楽しそうな場所では無いなあ~~)

 私はそんな事を考えながら、私も建物に向かって歩いて行った……
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

短い怖い話 (怖い話、ホラー、短編集)

本野汐梨 Honno Siori
ホラー
 あなたの身近にも訪れるかもしれない恐怖を集めました。 全て一話完結ですのでどこから読んでもらっても構いません。 短くて詳しい概要がよくわからないと思われるかもしれません。しかし、その分、なぜ本文の様な恐怖の事象が起こったのか、あなた自身で考えてみてください。 たくさんの短いお話の中から、是非お気に入りの恐怖を見つけてください。

猫のモモタ

緒方宗谷
児童書・童話
モモタの出会う動物たちのお話。 毎月15日の更新です。 長編『モモタとママと虹の架け橋』が一番下にあります。完結済みです。

転職してOLになった僕。

大衆娯楽
転職した会社で無理矢理女装させられてる男の子の話しです。 強制女装、恥辱、女性からの責めが好きな方にオススメです!

彼の愛は不透明◆◆若頭からの愛は深く、底が見えない…沼愛◆◆ 【完結】

まぁ
恋愛
【1分先の未来を生きる言葉を口にしろ】 天野玖未(あまのくみ)飲食店勤務 玖の字が表す‘黒色の美しい石’の通りの容姿ではあるが、未来を見据えてはいない。言葉足らずで少々諦め癖のある23歳 須藤悠仁(すどうゆうじん) 東日本最大極道 須藤組若頭 暗闇にも光る黒い宝を見つけ、垂涎三尺…狙い始める 心に深い傷を持つ彼女が、信じられるものを手に入れるまでの……波乱の軌跡 そこには彼の底なしの愛があった… 作中の人名団体名等、全て架空のフィクションです また本作は違法行為等を推奨するものではありません

妖精さん達と暮らそう 改訂版

東郷 珠
児童書・童話
私にしか見えない妖精さん。 色んな妖精さんが、女の子を助けます。 女の子は、妖精さんと毎日楽しく生活します。 妖精さんと暮らす女の子の日常。 温かく優しいひと時を描く、ほのぼのストーリーをお楽しみ下さい。

家賃一万円、庭付き、駐車場付き、付喪神付き?!

雪那 由多
ライト文芸
 恋人に振られて独立を決心!  尊敬する先輩から紹介された家は庭付き駐車場付きで家賃一万円!  庭は畑仕事もできるくらいに広くみかんや柿、林檎のなる果実園もある。  さらに言えばリフォームしたての古民家は新築同然のピッカピカ!  そんな至れり尽くせりの家の家賃が一万円なわけがない!  古めかしい残置物からの熱い視線、夜な夜なさざめく話し声。  見えてしまう特異体質の瞳で見たこの家の住人達に納得のこのお値段!  見知らぬ土地で友人も居ない新天地の家に置いて行かれた道具から生まれた付喪神達との共同生活が今スタート! **************************************************************** 第6回ほっこり・じんわり大賞で読者賞を頂きました! 沢山の方に読んでいただき、そして投票を頂きまして本当にありがとうございました! ****************************************************************

家に帰ると夫が不倫していたので、両家の家族を呼んで大復讐をしたいと思います。

春木ハル
恋愛
私は夫と共働きで生活している人間なのですが、出張から帰ると夫が不倫の痕跡を残したまま寝ていました。 それに腹が立った私は法律で定められている罰なんかじゃ物足りず、自分自身でも復讐をすることにしました。その結果、思っていた通りの修羅場に…。その時のお話を聞いてください。 にちゃんねる風創作小説をお楽しみください。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

処理中です...