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第19話 秋の風
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今年は夏が短かった気がする。
私の住んでいる地域では太陽が照りつける、夏らしい日を感じる日を殆ど覚えていない。
例年の9月なら残暑が厳しい日も有るが、今年は特にそれを感じる日が少なかった。
(……何もせずに、夏が過ぎてしまった)
私の夏は……毎日仕事に明け暮れる日々だった。
残業も多くて、それが悪い訳では無いが、心がもやもやする。
(海に行けなかった…)
(旅行も予定すら立てられなかった。家と会社を往復しただけだった!)
不思議と、そんな事を考える私がいた。
☆
ある日の休日……
家事以外、何もする気が起きなくて、部屋の中から何気なくベランダの方を見上げると、まだ17時過ぎなのに、もう空は茜色に染まりかけていた。
「いよいよ、本当に秋が来ちゃった……」
私は思わず呟いてしまう。
時折、ベランダから入って来る風が、カーテンをなびかせる。
気持ち良い風と言うより、少し肌寒い。
遠くから聞こえてくる、カラスの音と車の走り抜ける音。
私の心を、益々寂しくさせる
(今の人生このままで良いのかな…?)
仕事も大事だけど、遊びも大事だと思う。
多少無理を利かせてでも、遊ぶべきだったと後悔する。
秋の海も良いけど、絶対に夏の海には叶わない。
太陽が照りつけた後の、あの蒸し暑い夕方に見る海だからこそ、海は最高なのだ!!
けど、過ぎてしまった時は二度と戻らない……
(後悔しない人生を送るべきだ!)
そう考えた私は、引き出しから封筒と便箋を取り出す。
封筒の表には『退職願』と書く。
直ぐに辞められる職場でないが、休日が日曜以外殆ど無い今の状態では、体も心も厳しい。
壊れた場所や壊れかけた部分を直すように、壊れかけた心は直す必要が有るのだ。
何時、退職出来るか分からないが、行動しなければ何も始まらない。
退職願を書き終える頃には、日はすっかり落ちていた。
秋が好きと言う人も多いけど、私はやっぱり秋より夏が好きだ!
心の中は真冬だけど、心の真夏を取り戻そうと、私は強く思った!!
私の住んでいる地域では太陽が照りつける、夏らしい日を感じる日を殆ど覚えていない。
例年の9月なら残暑が厳しい日も有るが、今年は特にそれを感じる日が少なかった。
(……何もせずに、夏が過ぎてしまった)
私の夏は……毎日仕事に明け暮れる日々だった。
残業も多くて、それが悪い訳では無いが、心がもやもやする。
(海に行けなかった…)
(旅行も予定すら立てられなかった。家と会社を往復しただけだった!)
不思議と、そんな事を考える私がいた。
☆
ある日の休日……
家事以外、何もする気が起きなくて、部屋の中から何気なくベランダの方を見上げると、まだ17時過ぎなのに、もう空は茜色に染まりかけていた。
「いよいよ、本当に秋が来ちゃった……」
私は思わず呟いてしまう。
時折、ベランダから入って来る風が、カーテンをなびかせる。
気持ち良い風と言うより、少し肌寒い。
遠くから聞こえてくる、カラスの音と車の走り抜ける音。
私の心を、益々寂しくさせる
(今の人生このままで良いのかな…?)
仕事も大事だけど、遊びも大事だと思う。
多少無理を利かせてでも、遊ぶべきだったと後悔する。
秋の海も良いけど、絶対に夏の海には叶わない。
太陽が照りつけた後の、あの蒸し暑い夕方に見る海だからこそ、海は最高なのだ!!
けど、過ぎてしまった時は二度と戻らない……
(後悔しない人生を送るべきだ!)
そう考えた私は、引き出しから封筒と便箋を取り出す。
封筒の表には『退職願』と書く。
直ぐに辞められる職場でないが、休日が日曜以外殆ど無い今の状態では、体も心も厳しい。
壊れた場所や壊れかけた部分を直すように、壊れかけた心は直す必要が有るのだ。
何時、退職出来るか分からないが、行動しなければ何も始まらない。
退職願を書き終える頃には、日はすっかり落ちていた。
秋が好きと言う人も多いけど、私はやっぱり秋より夏が好きだ!
心の中は真冬だけど、心の真夏を取り戻そうと、私は強く思った!!
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