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第6章 個別ルート 譲羽陽葵編

第572話 『撫子』ランチ その3

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(亜紀が俺の事を、まだ意識しているかは分からないが、俺だって亜紀には未練が有る……)
(けど、陽葵先輩から亜紀へ意識を再度向けるのは、常識を疑われるよな!///)

 俺が頭の中で思っていると、真優美さんは和やかな表情で、俺と亜紀に向けて話し始める。

「じゃあ、席に向かいましょうか!」
「武蔵君に亜紀ちゃん!!」

「あっ……はい」

「はい!」

 俺は“まごつきながら”返事をするが、亜紀は素直に返事をする。
 どうやら、俺一人だけが困惑していたようだ///

 亜紀は、竹を割ったような性格で有るから、俺を親友目線に完全移行した意識で見ているのだろう。
 そうすると、未練がましいのは俺だけか!///

 ……

 俺にとってはランチ。真優美さん達にはまかないと成る食事が始まる。
 さっき亜紀が言っていたようにランチは親子丼で有り、合わせ味噌の味噌汁と黄色い大根の漬物もちゃんと付いている。

 ちなみに、味噌汁の具材は油揚げとで有った。
 言うまでも無いが、この味噌汁は日替わりランチ(鮭の塩焼き定食)の残り物で有ろう。

 俺の場所と成るテーブルには、他の3人と見比べて大盛り仕様の親子丼が置かれている。
 ご飯だけで無く、親子丼のも大盛り仕様で有る。

 この辺の配慮も流石、真優美さんで有る。

「いただきます!」

 みんなで食事前の挨拶をして、食事が始まる。
 1つのテーブルに、4人が座って食事をしている。

 これで、俺だけカウンター席で有ったら、本当ギャグの世界で有る!?///

「もぐ、もぐ、―――」

(うん!)
(虹心のより甘めの味付けだが、これはこれで行けるな!♪)

(とろとろタイプの親子丼では無く、スタンダードの親子丼で有るが、こっちの方が喫茶店らしいな!)
(虹心はその時の気分で、とろとろタイプも作るが、俺はスタンダード親子丼の方が好きだな!!)

 俺は心の中で感じながら、真優美さんが作った親子丼を食べている。
 初めの内は、みんな静かに食事を摂っていたが、途中からは談笑を交えながらに変わる。

 その中で真優美さんが、和やかな表情で俺に質問をしてくる。

「武蔵君は、この夏休みはどうするの?」
「まだ、そんなにお金は貯まっていないはずだから、アルバイト漬けの日々を送る予定?♪」

「俺の夏休みですか。真優美さん……」

 俺は箸を置き。頭を上に上げながら、真優美さんからの質問に答える。
 夏と言えば海や山。花火大会や夏祭り。肝試しなど(!?)、楽しいことが目白押しだ。

「その辺は、陽葵先輩と相談して決めて行きたいですね!///」

 俺は少し頬を染めた、嬉し恥ずかしい表情で真優美さんに答える。
 俺と陽葵先輩は大学生で有るから当然、夏期休暇(夏休み)は有るし、学園生の時と比べれば期間も長い。

 けど、真優美さんは顔をにやつかせながら、俺に話し始める。

「ふうん…。まだ、決めていないんだ」
「まぁ、陽葵も何も私に言って来なかったしね!」

「私からのアドバイスだけど陽葵は基本。人混みの所は余り好まないよ!」
「武蔵君はきっと陽葵の水着姿とか、浴衣姿を想像するけど、その辺を考えて陽葵と夏を楽しんでね!!」

「~~~///」

 真優美さんの言葉で、陽葵先輩は少し頬を染めた困った笑顔をしている。
 言われてみればは変だが、俺が陽葵先輩とデートをした場所は、人混みの場所とは言いにくい所ばかりだ。

 美術館や博物館も混む場所で有るが、何処かの遊園地みたいに何時も混んでいる訳では無い。
 美術館や博物館が凄く混む時は、世間が興味を持つ特別展の時だけだ。

 そして、陽葵先輩はインドアで有るから、海遊びや山遊びには興味は無く、またスポーツ観戦にも興味が無いから、海水浴にはまだ行っていないし、野球やサッカーなどのスポーツ観戦もしたことが無い。

 遊園地などのアトラクション施設も、陽葵先輩はどちらかと言うと苦手と言った!
 絶叫系マシンも好んでは、乗りたく無いと言う始末で有る。

 俺はねずみが居る夢の国や、キが付く名前の猫キャラクターが居るアトラクション施設なら、陽葵先輩は絶対興味を示すだろうと提案して見たが、陽葵先輩は全く興味を示さなかった……
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