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第6章 個別ルート 譲羽陽葵編

第537話 隠密行動をする

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 ……

 俺が亜紀さんに振られた情報は、あっと言う間に学年中へ広がり……同時に、俺への嫌がらせや陰口は終息に向かう。
 そして一番懸念で有る、俺と陽葵先輩に関する噂話はまだ広がりを見せて無く、俺には一時の平穏が訪れている。

(けど、この平穏が何時まで、続かせることを出来るだろうか?)
(言うまで無く、陽葵先輩が卒園するまで、この平穏が続いて欲しいが…)

 俺と陽葵先輩は2週間に1回をペースに、真優美さんのお店である『撫子』で会って、関係を深めている。
 だが……俺は陽葵先輩を非常に求めているが、陽葵先輩は俺ほど異性を求めていない。

『撫子』店内で、俺は陽葵先輩と日常会話などを楽しむのだが、店内には必ず真優美さんが居るので、陽葵先輩のプライベートは聞きにくいし、陽葵先輩も俺のことを深くは聞いてこない。

 変な例えで有るが、俺と陽葵先輩はお見合いのような関係だ。
 お互いが作り笑顔をして、その時間を過ごす……
 以前と比べれば、陽葵先輩との関係は深まったが、恋人関係に発展するきざしはまだ無い。

 そして、俺と陽葵先輩の関係を外部に漏れると厄介になるので、屋外デートは出来ない。
 更に『撫子』店内では常に真優美さんが居るから、ラブラブモードに入ることも出来ない!///

 こんな状況で、俺は陽葵先輩と本当に恋人関係へ発展出来るのだろうか……
 虹心は一応。俺と陽葵先輩の進展を応援しているが、虹心の中では『また振られるだろうと……』と、感じながらの応援だろう?

 ☆

 陽葵先輩と『撫子』で密会をするように成ってから、約一ヶ月が経過する……

 その間に、俺と亜紀さんに関すことは完全に過去の物と成る。
 俺と陽葵先輩に関することも、誰かが噂をしている感じはしないし、岡谷君もあれから何も言ってこない。

 今の所、この隠密作戦は成功と言えるだろう……
 俺の周囲を探っている人物もいないし、陽葵先輩に関することを聞いてくるやからもいない。

 松田と二村も、俺が亜紀さんと別れたから嫌がらせをすることは無くなり、以前のように“どうでも良い”クラスメイトの扱いと戻る。
 後は陽葵先輩が卒園するまで、逃げ切るだけだ…!

 話しは変わるが、葉月学園の学園祭で有る、葉月祭開催時期と成る。
 だが、帰宅部の俺は、祭りを作るでは無く見る側なので、そんなに楽しみにはしていない。

 俺は例年通り…。陰キャラグループ達と葉月祭を楽しむが、例年以上に楽しめなかった。
 これが、陽葵先輩と一緒なら……楽しい葉月(学園)祭デートと成るのだが、それは出来ないし、そもそも陽葵先輩は実行委員会のボランティアをしているから、俺と遊ぶ暇は殆ど無い感じで有った。

 陽葵先輩は優秀で、更に真面目で優しい人でも有るから、ボランティアとは言えでも、それ相応の職務を持たされているし、面倒見も良いから正規の実行委員会とほぼ変わらなかった。
 こんな感じで、俺は陽葵先輩との関係を隠しながら、月日は静かに過ぎていく……

 ☆

 葉月祭も問題なく終わり、後2週間ほどで、学園の冬休みを迎えるとある日。

 この日は『撫子』で、俺は陽葵先輩と密会をする日で有るが、今回は真優美さんが『三國君。虹心ちゃんも一緒に連れて来て!』、『虹心ちゃんに話したいことが有るから♪』と、Railでメッセージを貰っているので、今回は虹心も連れて『撫子』に向かう。

 虹心はもちろん、喜んで付いて来た。
 指定された時間に、俺と虹心は『撫子』に向かう。

 ……

 この日は最初から、真優美さんを含めた四人で始まる。
 今日は虹心も一緒に居るから、陽葵先輩とのデートでは無く、普通のお茶会で有る?

 何時も通り。真優美さんがお茶とお茶菓子を用意してくれる。
 真優美さんがホットのハーブティーを一口付けてから、笑顔で俺と虹心に向けて話し始める。

「三國君。虹心ちゃん!」
「もうすぐ、冬休みが始まるね!!」

「そうですね。真優美さん!♪」

 俺が言葉を発する前に、虹心も笑顔で真優美さんに話す。
 俺への言葉を待たず、真優美さんはその表情で虹心に言葉を続けた……
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