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第5章 個別ルート 伊藤亜紀編

第495話 しばらくの時は過ぎて……

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 ……

 俺が篤志の襲われた翌日の放課後。
 俺は特別授業が終わった亜紀と会って、改めて昨夜のことを亜紀に話した。

 亜紀は『私の彼氏は武蔵君だし、篤志君も今の所は私に近付いて来る気配は無いわ』と、澄ました表情で俺に話した。
 亜紀は篤志にキャリアメールやRailのIDは教えていないし、篤志もそれは知らない。

 篤志が亜紀へ唯一取れる連絡手段は、亜紀自宅の固定電話で有る。
 だが、亜紀自宅の固定電話はナンバーディスプレイで有る上、亜紀の母親が亜紀への取り次ぎをしないことを昨夜、亜紀自身が母親に言った為、固定電話での亜紀と篤志との繋がりは理論上ではシャットアウト出来ている。

 その時に亜紀は、俺と付き合っていることを亜紀母親に報告したらしい。
 亜紀はまだ、俺と亜紀の関係を亜紀両親に報告をしたくなかったそうだが、篤志との関係を切る関係上で、どうしても報告しなければ成らなかった。

 亜紀両親の中では、亜紀は黒崎篤志を意識していることを知っているから、その篤志との関係を切るには、俺と恋人関係で有ることを亜紀両親に報告しないと辻褄が合わないからで有る。

 亜紀の母親は、俺が亜紀と付き合っていることを知った時。『あぁ……。虹心さんの後ろに居た男性ね…』と、亜紀は母親から澄ました表情で言われたそうだ。
 亜紀のクールな態度は母親からの遺伝だと、俺は改めて気付いた。

 亜紀の母親は俺のことを認めた訳では無く、また反対している訳でも無いが、亜紀母親からの期待度は低いようだ。
 その為。俺の母親のように一度会ってみたいなどの言葉は出なくて『進学に影響が出ない程度の付き合いで、留めておきなさい』と、亜紀は母親から困った表情で言われたそうだ。

 ☆

 しばらくの時が過ぎて……

 篤志は本当に川本キッドを恐れたらしく、俺を襲った以降……俺の前には姿を一切見せなく成った!
 川本の力及び影響力は、本気マジで半端では無かった!!

 俺は川本君に改めてお礼を言ったが、川本君からは『気にするな!』の一言だけで有った。
 川本君はDQNで有るのは変わりないが、それでも正義側のDQN(?)で有るんだなと俺は感じた。

 亜紀の方も、亜紀自宅の固定電話に篤志から電話が架かってきたり、篤志が亜紀の前に姿を見せることも無く、俺は川本のお陰で亜紀を、篤志から奪われることは無く成った!

 ……これは風の噂で有るが、篤志はこの騒動の所為か、父親が単身赴任している東京に引っ越したなどの情報を、亜紀は人伝から聞いたらしい。
 情報の信憑性は無いが実際、篤志は俺と亜紀の前には姿を見せないし、あの後も数回プリンモールに亜紀と訪れているが、篤志とは鉢合わせをしない。

 篤志が、亜紀の事を完全に諦めて東京に行ったのか、それとも別の事情で篤志が東京へ行ったのかは定かでは無いが、出来れば二度と篤志とは逢いたく無かった。

 ☆

 季節も4月に入り、俺と亜紀は世間で言う高校(学園)三年生と成り、虹心も中等部から高等部へ進学してくる。

『高等部に進学しても、制服は今までと変わらないから新鮮味が薄いね///』と、虹心は困った微笑み表情で俺に話していた。
 今までは中等部・高等部と、俺と虹心は別校舎で有ったが、4月からは同じ校舎に通う兄妹と成る。

『これで、兄ちゃんと一緒に毎日登校が出来るね♪』と、虹心は笑顔で言っていた。
 高等部でも虹心は演劇部の活動を続けるらしいが、今年一年は幽霊部員を続けると虹心は言っていた。

 言うまでも無く、俺の為で有る。
 俺は家事が出来ないから、虹心は俺を意識してそうする。

 本来なら、恋人で有る亜紀に頼る手も俺には有るが、亜紀いわく『私は虹心ちゃんほど家事はしないし、料理に関しては全く駄目だから期待しない方が良いよ!』と、澄ました表情で言われてしまう!

 今の時代は、女性に家事を押し付ける時代では無く、共同で家事をする時代で有るから、俺も虹心や亜紀に頼るのでは無く、下手くそなりでも自分で家事をするのが今の時代だろう。

 だが、三國家の台所は母親と虹心のテリトリーで有るし、二人共凄くこだわりが有るから、調味料の定位置が少し違うだけでも、直ぐに文句を言う二人で有る!
 俺の本格的な家事デビューは俺が自立をしてからか、亜紀と暮らし初めてからに成るだろう……(遠い目)

 俺と亜紀の関係、妹で有る虹心との関係は共に良好で有り、やっと落ち着いたと言えば良いだろうか。
 此処まで来るのに……様々な出来事が本当に有ったが、俺はドラマやラノベ主人公のように切り抜けることが出来た。

 篤志との騒動の所為で、亜紀との身体的進展がストップしていたが、篤志の問題も完全に解決したから、これで問題なく亜紀と身体的進展が望めるだろう!?
 それを何処でするかはまだ決めていないが、三國家では虹心が興味津々だろうし(!?)、亜紀の家も桃香ちゃんが居るから、身体のスキンシップは先ず出来ないだろう。

 それに、亜紀は性に関しては俺ほど強く興味を持っていない為、先ずは亜紀をその気にさせないといけない!!
 俺は学園を卒園するまでに、亜紀と一緒に大人の階段を上れるだろうか??

 俺はそんなことを感じながら、平穏に時が過ぎている。
 この平穏生活が……ずっと続くと良いな!
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