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第5章 個別ルート 伊藤亜紀編

第441話 三人での演劇鑑賞 その2

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「今年の演劇は、私も過去に演劇をした白雪姫だからね!♪」
「もう、今から楽しみ!!♪」
「あの頃を思い出すわ!!♪」

 真優美さんは嬉しそうな表情で、俺と亜紀に話す。
 そう。今年の演劇部が公演する演劇は、白雪姫で有る。

 掻い摘まんで言えば、魔女に変装したきさきが主人公兼ヒロインで有る、白雪姫に毒リンゴを食べさせての暗殺を企てるが、暗殺は未遂に終わり、白雪姫はその影響からか昏睡状態に入る。
 そして、道に迷って偶然現れた王子様は白雪姫の状態を観察し、白雪姫にキスを試み目覚めさせようとする。

 その行為で、白雪姫は見事に目を覚まし……ハッピーエンドを迎えると言う、劇定番の劇で有る?

(もし、虹心が幽霊部員では無く、普通の部員で有ったら役が貰えているだろうから、黒子役や……魔女役にでも成っているだろうか!?)

 演劇部は、高等部・中等部の合同部で有るが、主役やヒロインなど良い役は絶対、高等部が持って行く。
 中等部は殆ど黒子役らしいが、有能な人は経験のために(?)、悪役を配役させられるらしい。

 逆を言えば、中等部で悪役の役が貰えると言うのは、将来有望な人材で有る証だそうだ。←これは虹心からの情報
 まぁ、虹心の場合は幽霊部員だから、黒子役すら貰えないが……

 虹心が演劇部幽霊部員で有る本音は、役でも悪役はやりたくないのかも知れない?
 真優美さんの言葉の後。俺は茶化すように真優美さんに話し始める。

「そうすると真優美さんの役は、悪い妃役ですか?♪」
「意外に似合いそうですね!♪」

「三國君……どうして、私が悪役をしないと行けないのよ…!///」

 俺の言葉で、不満そうな表情と口調で言う真優美さん。
 真優美さんは『やれやれ』の表情で、俺に話し始める。

「三國君…。私は今でも美人だけど、学園生の時はもっと美しい少女で有ったわ!」
「そんな美少女が、悪役になる妃役を演じると思う…?」
「三國君…!」

(真優美さんは確かに美しい女性だけど、自分で美少女と言い切るとはな…)

 真優美さんは言うまでも無く、白雪姫の主役兼ヒロイン役で有る、白雪姫で有ったのだろう。
 俺は理解した振りを見せながら、真優美さんに言い始める。

「では…、真優美さんが当時演じた時は、白雪姫役だったんですね」

「……当時の言葉は余分…!」
「三國君……」

 俺の言葉で『ジト目』表情で言う真優美さん。
 真優美さんは心が大きい人だから、こんな事ぐらいでは怒らない?

 だが、真優美さんは、過去を思い出す表情で急に話し始める?

「でもね……私も美少女だったけど、当時の演劇部の中ではヒロインを張れる人が、私以外にもう一人居たのよ…」
吟子ぎんこちゃんと言うのだけど、その子とは何時もヒロイン争いをしていたわ」

(真優美さんが急に語り出したぞ!?)
(俺は演劇が始まる前に、トイレに行きたいのに!///)

「……」

 俺は心の中で感じるが、真優美さんは急に語り始めるし、亜紀はそれを真剣な眼差しで聞いている。

 余計なことを言わなければ良かった。
 真優美さんは、俺と亜紀に向けて語りを続ける……

「私の、学園生活最後と成る演劇が白雪姫でね、実は言うと、それまでずっと吟子ちゃんにヒロイン役は取られていたんだ!///」

(えっ、あの気丈そうな真優美さんが!?///)
(信じられないな…///)

「私は、みんなの前では元気を振る舞うけど、吟子ちゃんほどメンタルが強くなかった」
「演劇自体の才能も、私より吟子ちゃんの方が上で有ったし美しさも有った…」
「(演劇部)部長も、私の性格や吟子ちゃんを理解しているから、適材適所の配役を常にしていた」

「だからこそ、演劇部最後の演劇で有る白雪姫の、私は白雪姫役を演じたかった!」
「『2位じゃダメなんでしょうか?』の言葉が良く有るけど、私はサブヒロインで演劇部の活動を終えたくなかった…」

「……そうしたら、真っ向に吟子ちゃんと張り合っちゃってね///」
「吟子ちゃんも、部活最後の演劇は絶対白雪姫をるで、大変なことに成っちゃったのよ!///」

「これを重く見た部長や顧問は、白雪姫役を部の投票で決めることに成った」
「……僅差で、私は白雪姫役を勝ち取ることが出来たけど、あの時の凄く悔しそうな吟子ちゃん姿を、未だに忘れられない……」

 ……

 真優美さんは俺と亜紀に語り終えると、亜紀が真面目な表情で、真優美さんに話し始めた。
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