上 下
160 / 653
第3章 身近すぎる異性との関係

第160話 妹と昼食 その3

しおりを挟む
 俺は昼食を食べ始めたばかりで有るが、虹心の場合は俺より先に、昼食を食べ始めているので半分以上は食べ進んでいる。
 俺は食べるのを夢中に成り掛けるが、虹心の場合は食事を再開させずに、穏やかな表情で俺に話し掛けてくる。

「それで、兄ちゃん!」
「どうして、伊藤さんとは駄目に成ってしまったの…?」

 俺が失恋したと言うのに、虹心は悲しそう素振りを全く見せずに聞いてくる!?
 普通は深刻な表情などをして、聞く者では無いか。虹心!?

 俺はそう感じ取るが……過ぎてしまったことを、何時まで悔やんでも仕方ないか。
 俺は虹心の問いかけに一度フォークをパスタ皿に置いてから、澄ました表情で話し始める。

「まぁ、伊藤さんはやっぱり……片思いの人が忘れられないのと、今は学業に専念したいとの理由で、俺は振られた……」

「……そっかぁ。まぁ、そう成るよね!///(汗)」
「兄ちゃんが超イケメンや、学年一の秀才君だったら、話しはまた別だろうけど、兄ちゃんの学年立ち位置では、伊藤さんも色々な意味で厳しいと判断したのだろうね…」

 虹心は何かを考える、素振りの表情で言う!
 其処まで冷静に分析しなくても良いよ。虹心!(汗)

「けど、これで兄ちゃんの恋人作り作戦は、小鞠ちゃん以外に選択肢が無くなったね♪」

 思いっきり、嬉しそうな表情で言う虹心!!
 虹心の言う通り。俺には小鞠ちゃん以外に選択肢は無いが、現段階では絶交中で有る!!

 小鞠ちゃんと仲を深める前に、先ずは仲直りをしなければ成らない。
 俺は先ほど言い損ねたことを、困った表情をして虹心に聞く。

「……虹心!」
「実はその事なんだが……俺、小鞠ちゃんと喧嘩をしてしまってな…///」

「えっ…!?」
「小鞠ちゃん…。私にそんな事、一言も言っていないよ!!///」

 俺の言葉で、虹心は当然驚きながら言う。
 俺が小鞠ちゃんと喧嘩をしたことを、虹心が問い詰めて来ないから、言っていないのは分かり切っていたが、本当に言っていないとは……

「てっ、言うか、兄ちゃん!?」
「何時、小鞠ちゃんを呼び出していたの!?」
「私、全然聞いていないよ!!(怒)」

 驚いた表情で言う虹心だが、最後の言葉に成ると何故か、怒りを含ませた表情で言う!?
 虹心の中では、俺が”二兎を追った”と感じているだろう。
 俺は虹心には話していない、伊藤さんとのランタイムデートのことを話し始める。

「虹心……///」
「まぁ……これには理由が有ってな…。それを今から話すのだけど……先々週辺り、伊藤さんと中等部にある花壇で、一緒に昼食を摂ったんだ…///」
「小鞠ちゃんが所属している、園芸クラブの花壇で……」

「へっ…!?///」
「何勝手に急展開しているの。兄ちゃん!?///」

 俺の言葉で、間抜けな言葉を出す虹心!
 その後の言葉は、呆れ返った表情で言う。

「虹心……早とちりするな!」
「これは伊藤さんとの昼食デートでは無く、俺の素性すじょう知る為に、伊藤さんが態々わざわざ仕組んだんだよ…」

「伊藤さんが仕組んだ??」

 虹心は顔を見上げながら言う。
 情報が多すぎて、頭の回転が良い虹心でも処理が仕切れないのだろう。
 俺は澄ました表情で言葉を続ける。

「俺は、伊藤さんに興味が有るから色々と調べてしまうが、伊藤さんと俺との接点はプリンモールからだろ!」
「当時の伊藤さんは俺のことを殆ど知らなかったし、伊藤さんも二村さんと俺を結ばせるのが目的で有ったから、俺への積極的意識は持っていなかったらしい…」

「二村さんが俺を見限って、伊藤さんとの縁もあの人は切ってしまった…///」
「俺は当然、伊藤さんを更に意識してしまうし、伊藤さんも昔からの親友を失った影響で、俺を意識し始めた」

「だけど、伊藤さんは俺を親友目線でしか見ていなかったので、俺のことを深くは知らない」
「だから、二人での昼食を兼ねて、伊藤さんは俺のことを改めて調べた……」

「ふうん~~」
「伊藤さんも、しっかりした人だね!!」
態々わざわざ、兄ちゃんを中等部の校舎まで呼び出して、其処で昼食を食べるとは……」

 虹心は穏やかな表情で言う。
『敵ながら、あっぱれ!』とでも、虹心は思っているのだろうか!?
 俺は先ほどの続きを、澄ました表情で虹心に話し続ける……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた

楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。 この作品はハーメルン様でも掲載しています。

学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった

白藍まこと
恋愛
 主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。  クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。  明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。  しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。  そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。  三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。 ※他サイトでも掲載中です。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた

久野真一
青春
 最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、  幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。  堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。  猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。  百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。    そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。  男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。  とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。  そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から 「修二は私と恋人になりたい?」  なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。  百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。 「なれたらいいと思ってる」    少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。  食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。  恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。  そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。  夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと  新婚生活も満喫中。  これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、  新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

教え子に手を出した塾講師の話

神谷 愛
恋愛
バイトしている塾に通い始めた女生徒の担任になった私は授業をし、その中で一線を越えてしまう話

処理中です...