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第2章 学年一の美少女を巡る戦い

第113話 亜紀の心情……

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「正直言って……彩織の三國君に対する気持ちが、私では分からない…」
「彩織から……縁は切られたけど、三國君と関係を深めるのは、私の良心が痛む…」

「三國君と私は親密な親友関係に変わったけど、そこから先は発展させるつもりは無いから……ごめんね!」

 伊藤さんは俺に寂しそうな、悲しそうな表情で言い終えると、机に広げていた教科書類を閉じて、静かにカバンへ仕舞いはじめた!?
 本当に、伊藤さんとの話し合いは終わりで有った……

 カバンに教科書類を仕舞いおえると、伊藤さんはゆっくりと席から立ち上がり、困った表情の笑顔で言い始める!

「三國君…。仮に、私と関係を深めたければ、彩織と正式に、縁を切ってからにしてね…」
「けど、そうしても……私は、三國君を異性としては見られないと思うけど…」

 伊藤さんは言い終えると、早足で自習室から出て行ってしまう!
 俺も慌てて、教科書類をカバンに仕舞って、伊藤さんの後を追い掛けるが……

「もう、居ない……」
「伊藤さんも、虹心と同じ様に運動神経は良いのだな…」

 俺は諦めた口調で呟く。
 伊藤さんは何処かの教室に隠れたのか、本当に行ってしまったかは分からないが、廊下に伊藤さんの姿は見えなかった……

「伊藤さんと付き合いたければ、二村さんと縁を切れか…」
「無事に切れたとしても、伊藤さんと付き合える保証は無い……」

 俺は思わず、一人しゃべりをしてしまう!
 現在、俺と二村さんの関係は、破局直前で有る。

 更に俺は松田に、二村さんには興味が無いと言い切ってしまった!!(汗)
 この状態で、二村さんと二人きりの時間を作り出すのは、松田達の事を考えると絶対不可能だし、二村さんも俺の誘いには乗らないだろう……
 これは本当に伊藤さんの言う通り、二村さんの出方を注視するしか無い。

(此所に居ても仕方ない……家に帰るか…)

 今晩、家での課題は特に出ていないが、虹心への報告も有るし、何処かへ寄り道をしたい気分では無かったので、俺は学園から家に帰ることにした……

 ……

 伊藤亜紀の心情……

 私は三國君との相談を終えた後、逃げるように自習室から飛び出した。
 私はクラブ活動をしていないので、校舎から出て帰路に就いている。

 私は徒歩で駅に向かっているが、考えながら歩く。
 表情も、何時もの澄まし顔では無く、小難しい顔をしているだろう……
 元は、彩織のポカから始まるのだが、私の想像が付かない事態に発展してしまった。

 私は三國君に対して強い好意は持っていないが、三國君が私に持ってしまっている!!
 彩織もそれに気付いていた……天然だけど、女の勘は天然では無かった。

 私も三國君とは仲良くなりたいが、彩織の事を考えてしまうと、これ以上の仲は深められない……
 私が三國君に余計な事を言わなかったり、三國君からの相談に乗らなかったら良かったのだけど、彩織は本当に天然すぎる時が多い……
 だからこそ、私が余計な事をしてしまった!///

 彩織と三國君が、お互い親友宣言をした時に、RailのID交換やメールアドレスの交換をきちんとしていれば、この様な事態は起こらなかっただろう。
 けど、今の状態では、私はどうする事も出来ない……

(私の予想通りに成れば、彩織は再度、三國君に意識を向けるかも知れないけど、そうで無かったら、彩織は三國君との距離を勝手に広げてしまうだろう……)
(当然……私と彩織の関係も……)

 彩織が中等部時代に苛めを一時いっとき受けていたが、彩織を苛めている女子達に、苛めを辞めるよう私が頼み込んで、彩織の苛めは無く成った。
 彩織は今でも脇が甘いし、彩織に敵対心を持っている、女子達が居る事も風の噂で聞いている。

(三國君クラスの女子達が、彩織に敵意を剥き出しにしてくれれば良いのだけど……)

 今の段階で、彩織は苛めを受けている話しは聞いていないし、彩織からも聞いていない。
 彩織も、多少成長している部分も有るけど、私が彩織の親友だと言う影響力は、まだ大きい筈だ。

 私の後ろ盾が無く成れば、必ず彩織は再び苛めを受けると……言いたいけど、三國君クラスの男子達が本当に彩織が好きならば、男子達がそれを止めてしまうかも知れない。

(出来れば……私の予想通りに成って欲しいな…)
(そうすれば、三國君と彩織は仲直りが出来るし、私も仲直りが出来るかも知れない……)

(そうで無いと……私は、彩織をもっと裏切ってしまう、行動に出てしまうかも知れない……)

 私は、三國君を異性として見ていないが、現れない片思いの人を待つのは、そろそろ限界を感じている……
 私の思い通りに、ことが運べば良いな……

 ……
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