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第1章 妹の幼なじみ

第44話 プリンモール その1

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「無理して相手を喜ばせろとは言わないけど、もう少し、相手の気持ちを考えて行動しないと女の子は喜ばないよ。兄ちゃん…」
「ねぇ! 小鞠ちゃん!!」

「そうですね~~。虹心ちゃんの言う通りです!」
「露骨な態度を示されたら、好意が有る人でも好意を失います…」

 虹心は俺に向けてたしなめる口調で言い終えると、小鞠ちゃんに話を振って、小鞠ちゃんも少し眉をひそめながら言う!

「良かったね、兄ちゃん!」
「1つ賢くなれて!♪」

 虹心は最後、どや顔で言いやがった!!
 俺は心の中で、かなり苛ついてはいたが、正論なので反論しようがない。
 もしかしたら、俺が女子たちに声掛けをしていた時でも、そう言ったよこしまな部分が出ていたのかも知れない……

「さぁ、兄ちゃん!」
「さっきのことは忘れて上げるから、お昼を食べに行こう♪」

 虹心は笑顔に表情を変えて、俺に言う。
 虹心は口が悪いが俺のためを思って、そう言っているのかも知れない。

「けど……兄ちゃん!」
「さっきのお詫びとして、たこ焼きぐらいはおごってね♪」
「今回はそれでチャラにして上げる。良かったね、理解の有る妹で!!」

 虹心は『してやったり』表情で言う!!
 さっきのは訂正だ。虹心は自分勝手だ!!

(でも……たこ焼き1パックで、虹心たちの機嫌が直るなら安いもんか?)

「小鞠ちゃん行こう!」
「兄ちゃんが、たこ焼きをおごってくれるよ!!」

 虹心が小鞠ちゃんに笑顔で話し掛けると、小鞠ちゃんは顔を上に向けて言い始める。

「虹心ちゃんがおごられるなら、私もおごって貰っても良いのか?」

「!」

「そりゃあそうだよ。小鞠ちゃんだって、おごられる権利が有るよ!!」
「小鞠ちゃんだって、兄ちゃんの態度、不快と感じたでしょ!!」

「はい……私の場合は、唐揚げで許せそうです!」

 虹心と小鞠ちゃんで勝手に話しを進めていく。
 でも、二人の表情は和やかで有るから仕方ないか!?

(たこ焼きだけで済むかと思ったら、小鞠ちゃんは唐揚げを求めたか!)
(初めの頃は不釣り合いの親友だと思っていたが、今では完全に、虹心と馬が合っているな!!)

「だって、兄ちゃん!」
「小鞠ちゃんは唐揚げだって!!」

 虹心は笑顔で、俺に向けて言う。

「分かった…」
「虹心はたこ焼きで、小鞠ちゃんは唐揚げね…」
「二人を不機嫌にさせた、お詫びでおごるよ…!」

 俺は『仕方ない』の表情で言う。
 これが本当のデートで有ったら、俺のミスで絶対失敗に終わるからだ。
 この辺りは、虹心と小鞠ちゃんに感謝をしなければ成らない。

「やりぃ~~。流石、兄ちゃん!!」

「ごちそうさまです。兄さん!///」

 虹心は喜びの声を上げ、小鞠ちゃんは頬を染めて、微笑みながら言う。
 これ位、乗りが良い子と付き合えるのが、一番理想の人かなと俺は感じた……
 俺たち三人は、昼食と先ほどの品を買う為にフードコートへ向かった。

 色々なお店が入るフードコートで、みんなが好きな食べ物をそれぞれ頼んで、俺は約束通り虹心にはたこ焼き。小鞠ちゃんには唐揚げ(大)をおごる。
 唐揚げを“大”にしたのは、みんなで共有出来るようにと、小鞠ちゃんが“大”を求めたからで有る。

「これを食べ終わって少し休憩したら、ウィンドウショッピングをして、その後はカラオケだね♪」

 虹心は、俺たちに向けて笑顔で言いながら、たこ焼きを食べている。

「虹心ちゃん!」
「ウィンドウショッピングですから、本当に見るだけですか?」

 小鞠ちゃんはウィンドウショッピングの意味を理解しているらしく、疑問を感じた表情で聞いている。
 それに対し、虹心は和やかな表情で答える。

「いんや、気に入った物が有れば、もちろん買うよ!」
「今日は兄ちゃんと言う、立派な荷物持ちが居るし!!」

「!」

 俺は虹心の言葉を聞いて、心の中でびっくりする。
 今日本来の目的は、俺を注目させるのが目的で有って、荷物持ちでは無いからだ!!
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