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「ではこのバルコニーで。」

昨日は薄暗くてわからなかったけれど、すごくキレイなバルコニー。
高さ的に、3階?いや、めっちゃ天井たかかったから2階?手すりは金ピカだし下は緑と花がすごくキレイ

「あと7本…いや、今吸うから6本…」

口に出したら悲しくなったけどこれはいいチャンスだ。禁煙がんばれ。そもそもこれはこの世界では売っていない!

「あと6本でやめられるかな」
「予備などは?」
「職場のロッカーにいれてあるんだよね。だからあのキャリーケースには入ってない。」

新しいのあけたばっかりだと思っていたけれど、イライラしながら荷造りしたからそのときにバカバカ吸ってしまったんだろう


「増やせる者はいますが…」
「え?これを?」
「えぇ。家政魔術のひとつで、使える者は限られますが増やすことはできます」
「なにそれすごーい!ジョエルもノアもできるの?」
「いいえ、私達にはできません。ある家の者しか使えない魔術ですから…」

じゃあその人に言えばいいじゃん!禁煙はするつもりだけど、例えば化粧品とか化粧品とか化粧品。あとはミントタブレットかな?同じものが売ってるとは考えにくいから、そんな便利なこと出来る人がいるなら是非紹介してもらいたい

「ちなみにその人ってあたしでも会えるような人?王様とか?」
「いいえ、執事長一家の人間ですよ」
「うっわー…」

昨日いたアレだ、ネイビーヘアのとんでも美形

「ノアって国で一番の魔術師なんでしょ?ノアが教えてもらえば…」
「魔術にも相性があるんですよ。ましてやあの術は門外不出。ベルトルッチ家の者にしか使えません」
「ちなみにあたしの持ってる化粧品とかにも使えたり」
「しますよ。消耗品なら基本的にはなんでも。普段はあまり使いませんがね。秘術ですし、商売をしている人間からしてみたら迷惑この上ない術ですから」

確かにそうだ。詰め替えとか買わなくても毎回増やされちゃ商売上がったりどころの騒ぎではない。
しかしそんな便利な術が…キャリーケースを破壊されて下着を並べられた怒りはまだおさまらないが、その術は非常に魅力的である

「いいなー…あの王子様についていた方じゃなくてお父さんの方は?」
「彼の父は執事長です。この城で働く執事や侍従、下働きなどすべてを束ねていると言っても過言ではないので正直難しいかと」
「だよねー。異世界からきたやべぇ女の化粧品増やせとか頼みづらいわ」

煙を吸い込んでまた吐き出す。あーもう短い。名残惜しいけど仕方ない。携帯灰皿にいれてしまう。たかが1本だけど、少しずつ向こうのものが減っていくのはなかなかクるものがある

「ジョエル、抱っこして」
「抱き締める、でいいですか?それとも持ち上げます?」
「抱き締めて」

細いけれど逞しいジョエル。心臓の音が聞こえる。ジョエルもドキドキするんだ

「色んなことがありすぎてわかんなくなってきちゃった」
「当たり前ですよ。いきなり異世界から来たなんて普通ではありえません」
「ヒナってすごいね。あたしより全然若い時にこの世界に来て学校まで通って…」
「彼女も色々悩んでいましたよ」
「ジョエルはヒナのことわかるの?」
「父が後見人になりましたからね。彼女は召喚ではなく、なにかの衝撃でこちらに落ちてきましたから」

あたしよりヒナのほうがヤバそうだった。あの手紙に書いてあるかな?また読んでみよう

「ジョエルは本当にあたしと結婚してもよかったの?」
「どうして?」
「だって顔もいいし優しいし、身分?も高いんでしょ?お仕事もちゃんとしてるし」
「私がミズキに一目惚れしたと言ったのを信じられない?」
「うーん、ちがうって言いたいけどそうかな?」

抱き締められていた腕に益々力が入った。やばい、怒らせちゃった?

「私はミズキを愛しているんです。偽りではなく本当に。どうしたら信じてもらえますか?」
「だってまだそんなに時間も経ってないのに…」
「私は愛に時間は関係ないと」

顎を指で上げられたと思ったら綺麗な顔が目の前にきた。目を閉じてキスだ、と期待したけれど唇がつかない

「愛していると、ミズキも言ってくれたら口付けしてさしあげますよ」
「いじわる」
「えぇ、ミズキが愛おしいからこうやりたくなるんですよ」
「まだわかんない、愛してるかは…好きなことは好きなんだけど愛してるはまだわかんない…」

申し訳ないけれど本音だ。愛してるって感情はまだいまいちわからない。好きは好き、むしろ大好き。でも愛してるってなんだろう?まだわからない

「まだ、ですよね。少なくとも好意があるなら今はそれでいいですよ」
「うん、好き。大好きなの。でも愛はまだわかんない」
「私とノアールは貴女を愛していますから」

顎に添えられた手はそのままでキスしてくれた。舌入ってきたけどここ外、しかもガラス張りのこのバルコニーの扉の外には近衛と侍従。まぁさっきも人前で散々イチャイチャしてたし気にする必要ないや、と目を閉じた。
顎に添えられていた手は離されておっぱいを服の上から揉まれるし今度はスカートたくしあげられて太股やらおしりを撫で回されてる。パンツの中に指いれないで!

「んんーっ!」

抗議したくても深いキスの最中だから喋れない。口の端から唾液が溢れるし気持ちよくてもう立ってられない。イくんじゃないかって思ったけど脚に力入らない

「おっと、大丈夫ですか?」

おっぱいを揉んでた手で支えられて座り込まずに済んだ。

「大丈夫にみえる?」
「でも気持ちよかったでしょ?指こんなになるくらい濡れてましたよ」

膣内にはいってた指をこれ見よがしに舐められた。

「恥ずかしいから、やめてよー」
「その顔が見たいからやめられませんよ。次はミズキが私の指を舐めてくださいね」


ガサガサッ

「えっやだ!下から音するじゃん!見られてた!?」
「さぁ?ウサギかなにかではありませんか?誰もいないじゃありませんか」
「それならいいけど…」

ウサギとかって大きさの音じゃないと思うんだけど、この国のウサギの大きさもわからないから本当かもしれない

「そろそろ戻ってお昼を食べて午後の用事に備えましょうか」
「この状態で放置なの?」
「メゾンの人間が帰ったら寝室行きましょうね。あともう数時間ですから、我慢してください」
「いじわる…」
「この場でしてしまってもいいんですけど、私にとっては初めてミズキを抱けるんですから外よりはベッドで可愛がってあげたいんですよ。だからあと少し我慢してくださいね」
「もー!あっ!そういえばノアの詰所って?あれ?庭より奥の立派な建物?」

気持ちよくて忘れかけていたけれど、このバルコニーからはノアの職場?の詰所が見れるからと連れてきてもらったのだ

「そうですよ。あれが魔術師団の詰所です。詰所と言っても研究職の傍ら所属している人間も多いのでたいして詰所に人はいませんが」
「呼んだら出てくるかな?」
「いえ、ノアールはもう部屋へ戻っているそうですよ」
「なんでわかるの!?」
「念話がきましたからね」
「ねんわ?」

また聞き覚えのない単語。ねんわ???電話?

「魔力を使って離れた相手に直接伝える、と言えばわかりますかね?」
「テレパシー!!!!あたしも使える!?」
「どうでしょうね…魔力が使えるようになれば使えると思いますが、正直私達がいれば必要ではないですからね」
「えー、やってみたかったー」
「似たようなものが出来るようにノアールに頼んでいますよ。ミズキに似合うような…耳に穴空いてますからピアスですかね。3人で同じ物をつければ離れていても連絡を取り合えるようにしましょうね」

やばい!秘密道具じゃん!感激

「私かノアールのどちらかは必ずミズキと一緒にいるようにしますが、女性用のレストルームや女性専用の所まではついていけませんから」
「え?そんなときになんか起きるの?」
「女性のやっかみとは恐ろしいものですからね…普通であれば異世界の花嫁であるミズキになにかをするなんて考えられませんが…なにが起こるかわかりませんから」
「こわっ!異世界こわっ!」

あれでしょ?どうせなんであんたみたいな女がとかでしょ?ノアに手出すなとかジョエルに色目使ったとか色々言われるんだろうな。日本にいたとき掲示板で叩かれたりしたけど、面と向かって言われるのは高校以来?おそろしー

「ミズキを傷付けるような者がいれば私が直々に一族ごと処刑しますよ」
「えっやだ、ジョエルのほうがこわい」
「ノアールはもっと恐ろしいことをするでしょうね。ミズキには言わないで、ね」
「ふたりともこわい」

あたしをいじめようとしている人たち、やめたほうが身のためですよ。ほんとうに


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