3 / 4
一九二三年八月三十一日(3)
しおりを挟む
帰り道で彼岸花を見つけた。
今年になって初めてだ。
お父さんが亡くなってから、もう一年が経つ。
死んでいなくなるというのは、不思議な感じで、未だに何だか慣れない。
これからもそうかもしれない。
ただ、一つ分かった事があった。
これまで私は、死ぬ、というのは、随分と遠くの世界の事に思われて、改まって意識をする事も無かった。
でもそれは違った。
死は、普段の生活のすぐ隣に存在している。
まるで影の様に、いつもぴったりと貼り付いていていて、ある時、急にぬっと顔を出すのだ。
今はそんな風に考えている。
今度のお彼岸には、おはぎを持って行ってあげようと思う。
甘い物が好きだったお父さんが、特に好んで食べていたお菓子だ。
料理が苦手な私にとっては、美味しいと、人から褒めて貰えた思い出の食べ物でもある。
今、考えると、お父さんは、私を傷つけまいと、ちょっと無理をしていたのかもしれないなあ、と思う。
本当に優しい人だったのだ。
お父さんの様に優しい人に、私もなりたいと思う。
お父さん、もうすぐ私は二十歳になるけれど、まだまだ子供のままの様です。
精進が足りないのかもしれません。
一日一日を、精一杯生きたい。
そう思った。
明日は何をしようか。
今年になって初めてだ。
お父さんが亡くなってから、もう一年が経つ。
死んでいなくなるというのは、不思議な感じで、未だに何だか慣れない。
これからもそうかもしれない。
ただ、一つ分かった事があった。
これまで私は、死ぬ、というのは、随分と遠くの世界の事に思われて、改まって意識をする事も無かった。
でもそれは違った。
死は、普段の生活のすぐ隣に存在している。
まるで影の様に、いつもぴったりと貼り付いていていて、ある時、急にぬっと顔を出すのだ。
今はそんな風に考えている。
今度のお彼岸には、おはぎを持って行ってあげようと思う。
甘い物が好きだったお父さんが、特に好んで食べていたお菓子だ。
料理が苦手な私にとっては、美味しいと、人から褒めて貰えた思い出の食べ物でもある。
今、考えると、お父さんは、私を傷つけまいと、ちょっと無理をしていたのかもしれないなあ、と思う。
本当に優しい人だったのだ。
お父さんの様に優しい人に、私もなりたいと思う。
お父さん、もうすぐ私は二十歳になるけれど、まだまだ子供のままの様です。
精進が足りないのかもしれません。
一日一日を、精一杯生きたい。
そう思った。
明日は何をしようか。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
生まれ変わったら、あなたと
若山ゆう
恋愛
時は昭和初期の日本。幼くして両親を失った鷹華は、7歳で一条財閥の使用人として引き取られる。そこには3人の息子たちがおり、聡明で見目麗しい上の2人と違い、病弱な三男の遥巳は自室に閉じこもった生活を送っていた。
12歳になり、偶然遥巳と出会った鷹華は、華麗なる一族で独り疎外感を持つ遥巳と徐々に心を通わせていく。しかし時代は流れ、第二次世界大戦が始まると、兄たちは戦争へと駆り出され……。
それぞれに居場所を求める若い二人の、切ないラブ・ストーリー。
※虚構少女-E.G.O-キャラクターシナリオ原案小説コンテスト用作品です※
※コンテストでの評価に影響しますので、気に入って下さった方は、積極的にお気に入り登録をして下さると大変嬉しいです※
以下、当該ゲームに関する前知識としてご参照ください(コンテストHPより引用)(前知識がなくても、独立した作品として楽しめます)↓
■世界観
舞台は動植物が絶滅し、資源が枯渇し、海も枯れた世界。
荒廃した世界で娯楽を求めた人類は五感を「錯覚」させる装置『E.G.O』を開発した。
ある日、突如『E.G.O』が機能を停止した。
その原因を探るべく、兵器データと、かつて実在した人間の少女人格データを融合させた『仮想兵器』とともに立ち上がる!
■仮想兵器とは
『兵器のデータ』と『かつて実在した人間の少女のデータ』を融合し作り出された兵器。自我を持ち、迫り来る敵と戦う。
兵器との融合の際に、人間であったときの記憶の大半を失っているが、一部をおぼろげながら覚えている。
そのため、サイボーグなどとは異なり、口調、振る舞い、性格に個性がある。
ゲーム中に登場するキーアイテムを使用することで、
人間であったときの記憶を垣間見ることができる。
原案小説募集キャラクター「鷹華」が人間であった時のストーリーを募集します。
鷹華のキャラクターボイスはHPで視聴できます。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
鳥籠の中のラオイン
寿司
ファンタジー
女と男の欲望が渦巻く『鳥籠』と呼ばれる花街で育った鷹華(ようか)は外の世界への興味を捨てきれず、男に自分を売る『金糸雀(かなりあ)』としても染まれない自分の存在意義について悩んでいた。そしてある日、鷹華は孤児だった自分を育ててくれた蓮華(れんげ)の日記を読んでしまう。そこで彼女は自分に秘められた秘密を知ることになる。//虚構少女シナリオコンテストに参加しています。よろしくお願いします。
鷹華の日記(公開版)
Yuzki
恋愛
私、高橋陽花(たかはしようか)は、花も恥じらう女子高生である。
……あッ、ごめんなさい自分で言うことじゃないですね石投げないで下さいッ!
ごほん、訂正しますね。
私、高橋陽花はちょっと公には出来ない秘密を抱えた女子高生である。
そう、秘密を抱えているのです。
言いたい、でも言えない。
ストレス社会に生きる私の思いの丈を、ここに綴っていきたいと思っています。
それで、もしよければ、アナタにもちょっと覗いていってほしいかなって。
それと、もし何か私に伝えたいことがあれば、是非とも『感想欄?』に書いて下さい。
それと、『お気に入り?』だか『ブックマーク?』にも入れておいて貰えるとありがたいですね。
私が何かを綴ったら、それがすぐにわかるので便利ですし、是非是非。
あぁ、一つ言い忘れてました。
鷹、華と書いて『ヨウカ』と読みます。これはペンネームでもあるのですが……。
食堂物語 ~胃ブクロを異セカイで満たせ!~
ガトー
ファンタジー
「虚構少女-EGO-」キャラクターシナリオ原案小説コンテスト 大賞作品です。
>>>
母さんがケガで入院?!
家業を手伝うことになった主人公は、食材の仕入れを任されることに……
とある田舎町の駅前。大盛りとリーズナブルな値段。素朴だが何度でも食べたくなる味が自慢の大衆食堂〝まりも亭〟。
この、一見何の変哲もない食堂には秘密があった……店主も知らない秘密が。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる