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第62話 転生未遂から始まる恋色開花
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引っ越し初日の夜が来た。
雫の家の帰り道の定食屋で夕食を取った。たぶんあそこには今後も通うことになるとは思うけど、コストを考えると外食ばかりに頼るわけにはいかない。
湯舟にお湯を張り、引っ越し祝いということで贅沢に温泉の元を使って入浴した。
入浴後ベランダに出て風に当たりながら風景を堪能する。
昨日とは急激に変わった環境。
今はその変化に心ときめかせているが、そのうちホームシックになったりするのかな。
割とすぐに実家に帰れる距離に居るし、ホームシックになってもすぐに帰れるか。
ガラガラ。
不意に背後から物音が鳴った。
驚き交えつつ振り返ってみると、見知った顔の女性が隣の部屋の窓を開けた音だということに気づく。
そうだ。ベランダ繋がっていたんだっけ。
「こんばんは。お隣さん♪」
「こんばんはお隣さん。ビックリした。日中居なかったから花恋さんの引っ越しはまだ先なんだと思ってた」
花恋さんはスリッパを履き僕の隣まで歩み寄る。
フワッとシャンプーの香りが漂う。花恋さんも風呂上りだということが分かった。
「実は昨日から住んでいたんですよ。でも実家に色々忘れものしちゃっていたみたいで今日はここと実家を何回か往復してました」
てへっと自分の頭を軽くたたく花恋さん。
ドジだなぁと思いつつも自分も実家に忘れ物あるんじゃないかと焦燥感に震える。
「てことは花恋さんが1日先輩か。一人暮らし、どんな感じ?」
「正直不安いっぱいでした。今までと違う部屋で寝るってだけで不安感が押し寄せる感じで昨日は中々寝付けませんでした」
そんなものなのか。今日が初日も僕も寝不足になるのかもしれないな。
「でも、ベランダに弓くんを見かけて、ついさっきまで抱えていた不安は吹っ飛びましたよ。やっぱり仲のいい方が隣に住んでいるって安心できます」
そういって頂けるだけ光栄だ。
異性に対する怖さを抱えていない様子を見ると僕のことを信用してくれているのがわかる。
僕もその信用を裏切るような真似は絶対にしてはいけないと改めて強く誓った。
「僕も隣に花恋さんが居てくれて正直ほっとしている。色々助け合いながら一人暮らし生活送っていこうね」
「はい!」
屈折のない花恋さんの笑顔を見てふと思う。
半年前の僕。
花恋さんに出会う前の僕にこの現状を教えても絶対に信じないだろう。
あの時の僕。
春から一人暮らしなんかもせず、惰性で大学に通い、趣味でたまに小説を書いて、雫以外の友達もできないのだろうと考えていたはずだ。
それがあの『純文学の神童』桜宮恋と仲良くなり、一緒の専門学校に通うことになり、隣の部屋に住まうことになるなんて……本当、人生どうなるかわからないものだ。
僕が手にしたこの関係性はずっと大事にしたいと心から思う。
「弓くんの部屋が見えます」
「あはは。荷解きが終わっていない段ボールまみれの部屋で恥ずかしい」
「私の部屋もどんどん見てください」
「花恋さんの部屋も段ボールまみれだねぇ」
「えへへ。1日先輩な分、弓くんよりは段ボール少ないですよ」
「いいなー。ずるい」
僕の部屋と左右対称の花恋さんの部屋。
ここからだとダイニングしか見えないが、僕の部屋とは違い物置化されていないみたいである。
「ていうかごめん。女性の部屋をジロジロみるものじゃないね」
慌てて視線を景色の方へ戻す。
花恋さんは首を傾げながら不思議そうな表情を浮かべていた。
「全然見てもらっていいですよ。何でしたら今から弓くんを部屋にあげたいとすら思っているのですが……」
「そ、それは、その、遠慮すべきだと思う。こんな時間だし」
「夜間とか関係あるんですかね? ベランダから行き来すれば5秒で帰れるのに」
「いや、その、貞操的な意味で。僕が野獣化して花恋さんを襲うかもしれないじゃん」
「どんとこいです!」
「待ち構えないで!?」
僕に女の子を襲う度胸なんてないと踏んでいるのか花恋さんはおどける様に応対した。
「とにかく今日は止めていこう。明日日中に引っ越しの挨拶ついでに軽くお邪魔するね」
「はい。ではそれまでに段ボール片づけておきますね」
そこで会話は途切れ、春の冷たい夜風を浴びながら僕たちは並んで夜の景色に視線を移す。
絶景――とまではいかないが、住宅街の奥に見えるノヴァアカデミー敷地内の木々が美しく見えた。
「私達4月からあの学校に通うのですね」
「うん。楽しみだって感じるのは花恋さんや雫たちと一緒だからなんだろうな」
「はい。私一人だったら絶対にあそこに通おうだなんて考えもつかなかったのだと思います」
志を共にする同士が傍にいるってこんなにも人生を豊かにするのかと改めて思う。
早く4月になれ、とすら感じる。早くあそこでノベル知識を学びたかった。
「そういえば弓くん、新作の執筆の進捗はどんな感じですか?」
「ああ。2作ともプロットは順調に進んでいるよ。1ヶ月後くらいにはアップできるかな」
「じっくりプロット作りこんでいるのですね。えへへ、入学以外にも楽しみが出来ちゃいました」
「ガッカリさせない結果になるよう頑張って勤め上げるよ」
高校時代から花恋さんは『異世ペン』の進捗についてよく訪ねてきていた。
細かい描写まで見てくれているのは彼女がくれる感想からよくわかった。
本当に楽しみにしてくれて、そして作品を待っていてくれているのだとわかり、とても励みになっていた。
花恋さんにまた楽しんでもらえるよう新作は異世ペン以上のものに仕上げたいな。
「どんな内容なのかちらっとだけでも教えてくれませんか?」
「それはまだ秘密ということで」
「弓くんが意地悪です~」
「僕のプロットってコロコロ変わっちゃうのが特徴なんだ。だから今教えても全く違う内容のものが上がる可能性があるんだよね。書き進めながらプロット無視しちゃうクセも直さないとなぁ」
「物書きってそういうものだと思いますよ」
やっぱりそうなのか。
プロット通りに書き続けられる瑠璃川さんみたいな人の方がもしかしたら希少なのかもしれない。
「タイトルとかは決まっているのですか?」
「ああ。それだったら教えられるよ」
いくら僕でも一度決めたタイトルを変えたりはしないだろう。たぶん。
「教えてください!」
花恋さんが目を輝かせながら期待を寄せてくる。
2作品ともタイトルに込めた想いもある。
そこだけはブラさずに執筆を進めていきたい。
そんな誓いを銘ずる意味も込めて、僕は花恋さんに2つの作品に名付けたタイトルを高らかに通達した。
「『クリエイト彼女は僕の小説に恋をする』と『絶望Re:Creation』だ」
「どちらにも【クリエイト】という単語が入っているんですね」
「うん。あえてそうしているんだ。でも中身は対照的かもしれない」
前者は雫に絵を付けてもらう予定の小説家とイラストレーターの作品。
後者は僕一人で進めている作品である。
「どちらも内容気になります! 特に『絶望Re:Creation』の方が……」
「えっ? そっちが気になる?」
「はい。弓野ゆき先生の小説に『絶望』なんてネガティブな単語がタイトルに付くことって初めてじゃないですか。すごく気になります」
言われてみれば確かにそうだな。
『だろぉ』ではネガティブ内容は諸刃の剣だということは重々承知である。
それでもこの作品には『絶望』という言葉をタイトルに飾りたかった。
きっとPV伸びは悪いだろうなぁ。それも承知だけど。
「そういえば月見里先生から『大恋愛は忘れた頃にやってくる』のリメイク版を書かないかって打診されたんだ。それも頃合い見ながらやっていこうかな」
「えっ!? 私の大好きな大恋愛は忘れた頃にやってくるのリメイク!? 読みたいです! でも3作並行って……弓くんたっくさん書きますね! すごいなぁ」
「いやいや、あくまでも新作優先だよ。期待せずに待っていてね」
「いいえ! 超期待しちゃいますよ~!」
追い打ち掛けてくるなぁ花恋さん。
でも自分の作品を楽しみにしてもらえているということは素直に嬉しかった。
「花恋さんの執筆の進捗はどう?」
「ぼちぼちです。文化祭での出来事とかモールでのデートとか、最近刺激的なイベント多かったのでノンフィクションが潤ってます!」
あれらの出来事が小説化されるのか。
どちらも僕が中心で動いた出来事なので照れる。
「ですがまだまだネタ不足です。でも私の予想ですとこの一人暮らし編はかなりネタが潤うと思っているんですよ」
「というと?」
「ふふふふふ。まだ言えません。でも弓くん覚悟してくださいね。貴方をドキドキさせることがこの小説の完成度を上げるのですから」
花恋さん、何を企んでいるんだ。
ただでさえベランダが繋がっている家に住むだけで心臓が高鳴るというのに、これ以上動悸を促進させるイベントを起こそうというのかこの人は。
微かな桃色模様が見え隠れして期待と同時に不安も増長する。
「そだ。小説のタイトルは決まってる?」
「はい!」
純文学の神童、桜宮恋が描く初めての大衆作品。
それは僕の人生に大きな影響を及ぼす作品となることをまだ知らない。
だけどこの場で聞いた彼女の作品のタイトルに大きく惹かれたものがあったのは間違いなかった。
「『転生未遂から始まる恋色開花』です」
―――――――――――――――――――――――――
アルファポリスユーザーの皆様
ここまで読んでくれて誠にありがとうございます。
当作品は全2章構成となっており、当話で1章が完了した状態でございます。
ここまで毎日更新をさせて頂きましたが、リアル多忙ということもあり、アルファポリスでの投稿は一旦ここで一区切りとさせて頂きます。
リアルが落ち着いてきたらまたアルファポリス様でも続きを投稿させて頂きたいと思いますのでよろしくお願い致します。
また、当作品はカクヨムでの投稿がメインでございます。
カクヨム版ではこの先の物語が更新済でございます。
続きが気になる方がおりましたらカクヨムの方で閲覧頂けると嬉しいです。
そしてもしよろしければカクヨムの方でフォロー、星評価を頂けると幸いでございます。
アルファポリスでもお気に入り数が増えて参りましたらモチベーションがあがると思いますので、どうかよろしくお願い致します。
↓カクヨムユーザーページ
https://kakuyomu.jp/users/niy2222
雫の家の帰り道の定食屋で夕食を取った。たぶんあそこには今後も通うことになるとは思うけど、コストを考えると外食ばかりに頼るわけにはいかない。
湯舟にお湯を張り、引っ越し祝いということで贅沢に温泉の元を使って入浴した。
入浴後ベランダに出て風に当たりながら風景を堪能する。
昨日とは急激に変わった環境。
今はその変化に心ときめかせているが、そのうちホームシックになったりするのかな。
割とすぐに実家に帰れる距離に居るし、ホームシックになってもすぐに帰れるか。
ガラガラ。
不意に背後から物音が鳴った。
驚き交えつつ振り返ってみると、見知った顔の女性が隣の部屋の窓を開けた音だということに気づく。
そうだ。ベランダ繋がっていたんだっけ。
「こんばんは。お隣さん♪」
「こんばんはお隣さん。ビックリした。日中居なかったから花恋さんの引っ越しはまだ先なんだと思ってた」
花恋さんはスリッパを履き僕の隣まで歩み寄る。
フワッとシャンプーの香りが漂う。花恋さんも風呂上りだということが分かった。
「実は昨日から住んでいたんですよ。でも実家に色々忘れものしちゃっていたみたいで今日はここと実家を何回か往復してました」
てへっと自分の頭を軽くたたく花恋さん。
ドジだなぁと思いつつも自分も実家に忘れ物あるんじゃないかと焦燥感に震える。
「てことは花恋さんが1日先輩か。一人暮らし、どんな感じ?」
「正直不安いっぱいでした。今までと違う部屋で寝るってだけで不安感が押し寄せる感じで昨日は中々寝付けませんでした」
そんなものなのか。今日が初日も僕も寝不足になるのかもしれないな。
「でも、ベランダに弓くんを見かけて、ついさっきまで抱えていた不安は吹っ飛びましたよ。やっぱり仲のいい方が隣に住んでいるって安心できます」
そういって頂けるだけ光栄だ。
異性に対する怖さを抱えていない様子を見ると僕のことを信用してくれているのがわかる。
僕もその信用を裏切るような真似は絶対にしてはいけないと改めて強く誓った。
「僕も隣に花恋さんが居てくれて正直ほっとしている。色々助け合いながら一人暮らし生活送っていこうね」
「はい!」
屈折のない花恋さんの笑顔を見てふと思う。
半年前の僕。
花恋さんに出会う前の僕にこの現状を教えても絶対に信じないだろう。
あの時の僕。
春から一人暮らしなんかもせず、惰性で大学に通い、趣味でたまに小説を書いて、雫以外の友達もできないのだろうと考えていたはずだ。
それがあの『純文学の神童』桜宮恋と仲良くなり、一緒の専門学校に通うことになり、隣の部屋に住まうことになるなんて……本当、人生どうなるかわからないものだ。
僕が手にしたこの関係性はずっと大事にしたいと心から思う。
「弓くんの部屋が見えます」
「あはは。荷解きが終わっていない段ボールまみれの部屋で恥ずかしい」
「私の部屋もどんどん見てください」
「花恋さんの部屋も段ボールまみれだねぇ」
「えへへ。1日先輩な分、弓くんよりは段ボール少ないですよ」
「いいなー。ずるい」
僕の部屋と左右対称の花恋さんの部屋。
ここからだとダイニングしか見えないが、僕の部屋とは違い物置化されていないみたいである。
「ていうかごめん。女性の部屋をジロジロみるものじゃないね」
慌てて視線を景色の方へ戻す。
花恋さんは首を傾げながら不思議そうな表情を浮かべていた。
「全然見てもらっていいですよ。何でしたら今から弓くんを部屋にあげたいとすら思っているのですが……」
「そ、それは、その、遠慮すべきだと思う。こんな時間だし」
「夜間とか関係あるんですかね? ベランダから行き来すれば5秒で帰れるのに」
「いや、その、貞操的な意味で。僕が野獣化して花恋さんを襲うかもしれないじゃん」
「どんとこいです!」
「待ち構えないで!?」
僕に女の子を襲う度胸なんてないと踏んでいるのか花恋さんはおどける様に応対した。
「とにかく今日は止めていこう。明日日中に引っ越しの挨拶ついでに軽くお邪魔するね」
「はい。ではそれまでに段ボール片づけておきますね」
そこで会話は途切れ、春の冷たい夜風を浴びながら僕たちは並んで夜の景色に視線を移す。
絶景――とまではいかないが、住宅街の奥に見えるノヴァアカデミー敷地内の木々が美しく見えた。
「私達4月からあの学校に通うのですね」
「うん。楽しみだって感じるのは花恋さんや雫たちと一緒だからなんだろうな」
「はい。私一人だったら絶対にあそこに通おうだなんて考えもつかなかったのだと思います」
志を共にする同士が傍にいるってこんなにも人生を豊かにするのかと改めて思う。
早く4月になれ、とすら感じる。早くあそこでノベル知識を学びたかった。
「そういえば弓くん、新作の執筆の進捗はどんな感じですか?」
「ああ。2作ともプロットは順調に進んでいるよ。1ヶ月後くらいにはアップできるかな」
「じっくりプロット作りこんでいるのですね。えへへ、入学以外にも楽しみが出来ちゃいました」
「ガッカリさせない結果になるよう頑張って勤め上げるよ」
高校時代から花恋さんは『異世ペン』の進捗についてよく訪ねてきていた。
細かい描写まで見てくれているのは彼女がくれる感想からよくわかった。
本当に楽しみにしてくれて、そして作品を待っていてくれているのだとわかり、とても励みになっていた。
花恋さんにまた楽しんでもらえるよう新作は異世ペン以上のものに仕上げたいな。
「どんな内容なのかちらっとだけでも教えてくれませんか?」
「それはまだ秘密ということで」
「弓くんが意地悪です~」
「僕のプロットってコロコロ変わっちゃうのが特徴なんだ。だから今教えても全く違う内容のものが上がる可能性があるんだよね。書き進めながらプロット無視しちゃうクセも直さないとなぁ」
「物書きってそういうものだと思いますよ」
やっぱりそうなのか。
プロット通りに書き続けられる瑠璃川さんみたいな人の方がもしかしたら希少なのかもしれない。
「タイトルとかは決まっているのですか?」
「ああ。それだったら教えられるよ」
いくら僕でも一度決めたタイトルを変えたりはしないだろう。たぶん。
「教えてください!」
花恋さんが目を輝かせながら期待を寄せてくる。
2作品ともタイトルに込めた想いもある。
そこだけはブラさずに執筆を進めていきたい。
そんな誓いを銘ずる意味も込めて、僕は花恋さんに2つの作品に名付けたタイトルを高らかに通達した。
「『クリエイト彼女は僕の小説に恋をする』と『絶望Re:Creation』だ」
「どちらにも【クリエイト】という単語が入っているんですね」
「うん。あえてそうしているんだ。でも中身は対照的かもしれない」
前者は雫に絵を付けてもらう予定の小説家とイラストレーターの作品。
後者は僕一人で進めている作品である。
「どちらも内容気になります! 特に『絶望Re:Creation』の方が……」
「えっ? そっちが気になる?」
「はい。弓野ゆき先生の小説に『絶望』なんてネガティブな単語がタイトルに付くことって初めてじゃないですか。すごく気になります」
言われてみれば確かにそうだな。
『だろぉ』ではネガティブ内容は諸刃の剣だということは重々承知である。
それでもこの作品には『絶望』という言葉をタイトルに飾りたかった。
きっとPV伸びは悪いだろうなぁ。それも承知だけど。
「そういえば月見里先生から『大恋愛は忘れた頃にやってくる』のリメイク版を書かないかって打診されたんだ。それも頃合い見ながらやっていこうかな」
「えっ!? 私の大好きな大恋愛は忘れた頃にやってくるのリメイク!? 読みたいです! でも3作並行って……弓くんたっくさん書きますね! すごいなぁ」
「いやいや、あくまでも新作優先だよ。期待せずに待っていてね」
「いいえ! 超期待しちゃいますよ~!」
追い打ち掛けてくるなぁ花恋さん。
でも自分の作品を楽しみにしてもらえているということは素直に嬉しかった。
「花恋さんの執筆の進捗はどう?」
「ぼちぼちです。文化祭での出来事とかモールでのデートとか、最近刺激的なイベント多かったのでノンフィクションが潤ってます!」
あれらの出来事が小説化されるのか。
どちらも僕が中心で動いた出来事なので照れる。
「ですがまだまだネタ不足です。でも私の予想ですとこの一人暮らし編はかなりネタが潤うと思っているんですよ」
「というと?」
「ふふふふふ。まだ言えません。でも弓くん覚悟してくださいね。貴方をドキドキさせることがこの小説の完成度を上げるのですから」
花恋さん、何を企んでいるんだ。
ただでさえベランダが繋がっている家に住むだけで心臓が高鳴るというのに、これ以上動悸を促進させるイベントを起こそうというのかこの人は。
微かな桃色模様が見え隠れして期待と同時に不安も増長する。
「そだ。小説のタイトルは決まってる?」
「はい!」
純文学の神童、桜宮恋が描く初めての大衆作品。
それは僕の人生に大きな影響を及ぼす作品となることをまだ知らない。
だけどこの場で聞いた彼女の作品のタイトルに大きく惹かれたものがあったのは間違いなかった。
「『転生未遂から始まる恋色開花』です」
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アルファポリスユーザーの皆様
ここまで読んでくれて誠にありがとうございます。
当作品は全2章構成となっており、当話で1章が完了した状態でございます。
ここまで毎日更新をさせて頂きましたが、リアル多忙ということもあり、アルファポリスでの投稿は一旦ここで一区切りとさせて頂きます。
リアルが落ち着いてきたらまたアルファポリス様でも続きを投稿させて頂きたいと思いますのでよろしくお願い致します。
また、当作品はカクヨムでの投稿がメインでございます。
カクヨム版ではこの先の物語が更新済でございます。
続きが気になる方がおりましたらカクヨムの方で閲覧頂けると嬉しいです。
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アルファポリスでもお気に入り数が増えて参りましたらモチベーションがあがると思いますので、どうかよろしくお願い致します。
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