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最終章
21-43.世界
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翌日、仁と玲奈は朝一番に召喚魔法陣への魔力の注入を済ませ、挨拶回りを始めた。
魔王妃の件と帝国との争いに区切りがついたとはいえ、やり残したことがないと自信を持って断言できるほど仁に未練がないわけではない。メルニールの孤児たちや肉食暴君鰐のルビーが生きていくための基盤はできたし、ミルやロゼッタ、ココに関してもこの世界で十分にやっていけることに疑いはない。ラインヴェルトも再興し、メルニールもこれから復興していくはずだ。
それでも手放しで帰還を喜べないのは、この世界に大切なものが増えすぎたせいだろうと仁は考える。できることなら少しでも長くこの世界に留まりたい。そう願うものの、世の中はそう都合よくはできていなかった。
「ねえ、仁くん。アシュレイさん、時間あるかな?」
「どうだろう? 今が無理ならアポイントだけでも取っておきたいな」
昨日の今日で仁と玲奈の帰還日を知る者はまだ少ない。先ほど訪れた冒険者ギルドではガロンやノクタら“戦斧”の面々とエクレアとタイミングよく話すことができたが、アシュレイやゲルトなどのこの都市の運営に携わる皆は日々忙しくしているため、約束なしに訪ねてもすぐに面会できるとは限らなかった。
ルーナリアの戴冠式を間近に控えた今、新皇帝となる皇女と懇意にしているラインヴェルトにも様々な思惑を胸に抱いた帝国貴族や近隣諸国の使い、更には各地の商人などが集まってきていて、アシュレイらの多忙さに拍車をかけている。
「戴冠式かぁ」
「私たちも招待されていたけど、残念だね。ルーナにも直接お礼を言いたかったんだけど……」
仁たちを必ず元の世界に戻すという約束は最後にはコーデリアに引き継がれたが、ルーナリアが仁と玲奈のためにいろいろと手を尽くしてくれたことに変わりはない。元はと言えばルーナリアこそが帝国の命に従って仁と玲奈をこの世界に召喚した張本人ではあるものの、二人にはそのことを恨む気持ちは欠片もなかった。
そして、仁と玲奈のために悲願だった皇帝の座を一度は諦めたルーナリアが結果として皇帝を継ぐことを、仁は心から嬉しく思っている。未だ帝国貴族の中には帝国の国是である大陸統一を声高に主張するものたちもいるが、ルーナリアなら武力で征服するだけではない、強者が弱者を蹂躙する以外の道を模索してくれるはずだと仁は信じていた。
「俺もそれは残念だけど、ルーナならきっとわかってくれるよ」
「うん、そうだね」
仁と玲奈は微笑み合い、隣り合って街の中を進んだ。
「ジン、レナ。待たせたな」
エルフの里の長老の屋敷にあった板張りの応接間を思わせる一室で仁と玲奈が待っていると、ほどなくしてアシュレイがやってきた。街の中心に置かれた集会場を訪ねた仁たちは、そこに待機していたエルフの衛兵にアシュレイの暮らす館へと案内されたのだった。
アシュレイが仁と玲奈の対面に腰を下ろす。
「午前中に訪ねてくれて助かった。午後はいろいろと立て込んでいるのでな」
「そうなんだ。それはちょうどよかったよ」
「それで、二人揃って、今日はどうした。婚約の報告か?」
砕けた調子で尋ねるアシュレイに、仁は一瞬だけビクッとしたものの、改まった口調で否定する。仁と玲奈が顔を見合わせ、玲奈が仁に託すように頷いた。
「アシュレイ、実は――」
「お前たちの帰還に関してだな」
「アシュレイ、知っていたの?」
「ああ。すまん、さっきのは期待を込めた冗談だ」
どうやらアシュレイは事前にコーデリアから聞かされていたようで、仁たちが訪ねてくるのを予期していたようだった。苦笑していたアシュレイが表情を改める。
「帰るんだな」
真っ直ぐに投げかけられた言葉に、仁は大きく頷きを返す。アシュレイがそのまま玲奈に視線を移すと、玲奈も仁同様に頷いた。
「そうか」
アシュレイはそれだけ言うと、ゆっくりと瞼を下ろす。アシュレイが今何を思っているのか、仁には正確に読み取ることはできないが、仁と玲奈は口を閉じたまま、その様子を眺め続けた。
「ジン」
しばらくして、アシュレイが目を開き、真剣な眼差しを仁に向けた。仁はその目を見つめ返す。
「姫はなぜお前をこの世界に召喚したのだと思う?」
「それは……」
仁は口ごもる。かつて、仁が旧グレンシール王国との戦争に駆り出されたのは、クリスティーナの本意ではなかった。勇者として召喚された仁はダンジョンで力を付けつつ、魔物の脅威から人々を守り、後に人同士の戦争に手を貸すことになったが、魔物と戦ったものも、人と戦ったのも、最終的には仁が選択したことだった。
クリスティーナは仁がこの世界で生きるための力と知識を得る手助けをし、その上でその力を守るために使ってほしいと願いこそすれ、決して強制するようなことはしなかった。仁の意志を無視して召喚したことについても幾度となく謝罪し、いずれ元の世界に帰すことも約束していた。
そして、落城間近だったとはいえ、クリスティーナは仁の力を借りて逃げることもできたにも関わらず、仁を送還することを選んだ。
「以前、姫はお前が再び召喚されることを予見しておられたのではないかと話したことがあったな」
仁とアシュレイがこの世界で再会を果たした頃のことだ。そのときは全く想像できなかったことだが、魔王妃の件やリガー村に伝わるフランの話を知った今、それは半ば確定的であるように思えた。
クリスティーナはエルフ族の英雄シルフィーナの末裔だ。魔王妃の魂をダンジョンに封印した彼女は、古の大賢者レイナの盟友でもある。故に、魔王妃の件はもちろん、古の魔王の魂が異世界に飛ばされたことも知っていたのかもしれない。となれば、そのことがラインヴェルト王家にのみ代々伝わっていたとしても不思議はない。そして、いずれ魔王妃の封印が破られることも。
「ジン。もしお前が姫に召喚されることなく、帝国か魔王妃に召喚されていたら――」
仁は全身に寒気を感じた。ルーナリアに召喚されたとき、この世界を知り、既に戦う力を持っていたからこそ、玲奈を守って今まで生き延びることができたのだ。
「クリスは俺に魔王妃に抗う力を付けさせるために……?」
「それも真実の一つかもしれん。だが、私は――」
アシュレイの視線が仁と玲奈を通り越す。仁の目にはアシュレイがここではないどこかを見ているように映った。
「なぁ、ジン。お前はこの世界が好きか?」
かつて仁を魔王だとして殺そうとした世界。様々な欲望が渦巻き、理不尽が支配する世界。けれど、仁はこの世界がそれだけではないと知っている。辛いことや苦しいこと、悲しいことも、憎く思ったこともある。しかし、それと同じくらい、いや、それ以上に、楽しいことや嬉しいことがあった。幸せなことがあった。
仁が大きく頷く。
「そうか」
アシュレイはただ一言を口にして、見惚れるような微笑みを浮かべた。
魔王妃の件と帝国との争いに区切りがついたとはいえ、やり残したことがないと自信を持って断言できるほど仁に未練がないわけではない。メルニールの孤児たちや肉食暴君鰐のルビーが生きていくための基盤はできたし、ミルやロゼッタ、ココに関してもこの世界で十分にやっていけることに疑いはない。ラインヴェルトも再興し、メルニールもこれから復興していくはずだ。
それでも手放しで帰還を喜べないのは、この世界に大切なものが増えすぎたせいだろうと仁は考える。できることなら少しでも長くこの世界に留まりたい。そう願うものの、世の中はそう都合よくはできていなかった。
「ねえ、仁くん。アシュレイさん、時間あるかな?」
「どうだろう? 今が無理ならアポイントだけでも取っておきたいな」
昨日の今日で仁と玲奈の帰還日を知る者はまだ少ない。先ほど訪れた冒険者ギルドではガロンやノクタら“戦斧”の面々とエクレアとタイミングよく話すことができたが、アシュレイやゲルトなどのこの都市の運営に携わる皆は日々忙しくしているため、約束なしに訪ねてもすぐに面会できるとは限らなかった。
ルーナリアの戴冠式を間近に控えた今、新皇帝となる皇女と懇意にしているラインヴェルトにも様々な思惑を胸に抱いた帝国貴族や近隣諸国の使い、更には各地の商人などが集まってきていて、アシュレイらの多忙さに拍車をかけている。
「戴冠式かぁ」
「私たちも招待されていたけど、残念だね。ルーナにも直接お礼を言いたかったんだけど……」
仁たちを必ず元の世界に戻すという約束は最後にはコーデリアに引き継がれたが、ルーナリアが仁と玲奈のためにいろいろと手を尽くしてくれたことに変わりはない。元はと言えばルーナリアこそが帝国の命に従って仁と玲奈をこの世界に召喚した張本人ではあるものの、二人にはそのことを恨む気持ちは欠片もなかった。
そして、仁と玲奈のために悲願だった皇帝の座を一度は諦めたルーナリアが結果として皇帝を継ぐことを、仁は心から嬉しく思っている。未だ帝国貴族の中には帝国の国是である大陸統一を声高に主張するものたちもいるが、ルーナリアなら武力で征服するだけではない、強者が弱者を蹂躙する以外の道を模索してくれるはずだと仁は信じていた。
「俺もそれは残念だけど、ルーナならきっとわかってくれるよ」
「うん、そうだね」
仁と玲奈は微笑み合い、隣り合って街の中を進んだ。
「ジン、レナ。待たせたな」
エルフの里の長老の屋敷にあった板張りの応接間を思わせる一室で仁と玲奈が待っていると、ほどなくしてアシュレイがやってきた。街の中心に置かれた集会場を訪ねた仁たちは、そこに待機していたエルフの衛兵にアシュレイの暮らす館へと案内されたのだった。
アシュレイが仁と玲奈の対面に腰を下ろす。
「午前中に訪ねてくれて助かった。午後はいろいろと立て込んでいるのでな」
「そうなんだ。それはちょうどよかったよ」
「それで、二人揃って、今日はどうした。婚約の報告か?」
砕けた調子で尋ねるアシュレイに、仁は一瞬だけビクッとしたものの、改まった口調で否定する。仁と玲奈が顔を見合わせ、玲奈が仁に託すように頷いた。
「アシュレイ、実は――」
「お前たちの帰還に関してだな」
「アシュレイ、知っていたの?」
「ああ。すまん、さっきのは期待を込めた冗談だ」
どうやらアシュレイは事前にコーデリアから聞かされていたようで、仁たちが訪ねてくるのを予期していたようだった。苦笑していたアシュレイが表情を改める。
「帰るんだな」
真っ直ぐに投げかけられた言葉に、仁は大きく頷きを返す。アシュレイがそのまま玲奈に視線を移すと、玲奈も仁同様に頷いた。
「そうか」
アシュレイはそれだけ言うと、ゆっくりと瞼を下ろす。アシュレイが今何を思っているのか、仁には正確に読み取ることはできないが、仁と玲奈は口を閉じたまま、その様子を眺め続けた。
「ジン」
しばらくして、アシュレイが目を開き、真剣な眼差しを仁に向けた。仁はその目を見つめ返す。
「姫はなぜお前をこの世界に召喚したのだと思う?」
「それは……」
仁は口ごもる。かつて、仁が旧グレンシール王国との戦争に駆り出されたのは、クリスティーナの本意ではなかった。勇者として召喚された仁はダンジョンで力を付けつつ、魔物の脅威から人々を守り、後に人同士の戦争に手を貸すことになったが、魔物と戦ったものも、人と戦ったのも、最終的には仁が選択したことだった。
クリスティーナは仁がこの世界で生きるための力と知識を得る手助けをし、その上でその力を守るために使ってほしいと願いこそすれ、決して強制するようなことはしなかった。仁の意志を無視して召喚したことについても幾度となく謝罪し、いずれ元の世界に帰すことも約束していた。
そして、落城間近だったとはいえ、クリスティーナは仁の力を借りて逃げることもできたにも関わらず、仁を送還することを選んだ。
「以前、姫はお前が再び召喚されることを予見しておられたのではないかと話したことがあったな」
仁とアシュレイがこの世界で再会を果たした頃のことだ。そのときは全く想像できなかったことだが、魔王妃の件やリガー村に伝わるフランの話を知った今、それは半ば確定的であるように思えた。
クリスティーナはエルフ族の英雄シルフィーナの末裔だ。魔王妃の魂をダンジョンに封印した彼女は、古の大賢者レイナの盟友でもある。故に、魔王妃の件はもちろん、古の魔王の魂が異世界に飛ばされたことも知っていたのかもしれない。となれば、そのことがラインヴェルト王家にのみ代々伝わっていたとしても不思議はない。そして、いずれ魔王妃の封印が破られることも。
「ジン。もしお前が姫に召喚されることなく、帝国か魔王妃に召喚されていたら――」
仁は全身に寒気を感じた。ルーナリアに召喚されたとき、この世界を知り、既に戦う力を持っていたからこそ、玲奈を守って今まで生き延びることができたのだ。
「クリスは俺に魔王妃に抗う力を付けさせるために……?」
「それも真実の一つかもしれん。だが、私は――」
アシュレイの視線が仁と玲奈を通り越す。仁の目にはアシュレイがここではないどこかを見ているように映った。
「なぁ、ジン。お前はこの世界が好きか?」
かつて仁を魔王だとして殺そうとした世界。様々な欲望が渦巻き、理不尽が支配する世界。けれど、仁はこの世界がそれだけではないと知っている。辛いことや苦しいこと、悲しいことも、憎く思ったこともある。しかし、それと同じくらい、いや、それ以上に、楽しいことや嬉しいことがあった。幸せなことがあった。
仁が大きく頷く。
「そうか」
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