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キース視点 2.王は悟られてはならない

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しかし、王妃を選ぶために課題を出すことになり、本音はそれすらも億却だった。
適当に考えるつもりであったが、欲が出た。

『カップケーキを作れ』

課題を出す前にふとエスメラルダが昔1度作ってくれたのを思い出したのだ。
甘い物はさほど好まないが、あれはとても美味しかった。

エスメラルダに似て料理上手な王妃ならば、俺も受け入れられるかもしれない。
それでも絶対に王妃となる人物を1mmたりとも愛することはできないのに。
俺の甘い考えは相手に残酷な仕打ちをしていると分かっている。
矛盾しているが、誰1人作れなければいいとそう思っていた。

なのに、たった1人だけカップケーキを作った人物がいた。
叶わぬ恋に報着するこんな俺に嫁がされる可哀相な人。
相手も俺と同じであってくれればと非道なことまで思い始めていた。

だから、顔合わせの時にはひどく驚いた。
目の前にいたのは焦がれ続けたエスメラルダだったのだから。

なぜお前がここにいる?
嬉しさよりも戸惑いの方が大きかった。

理由はどうであれ、エスメラルダは好きでもない俺との結婚を後悔する。
そしていつかきっと離れていくだろう。
その時に優しい彼が罪の意識に苛まれないように、俺の気持ちはエスメラルダに決して悟られてはならない
のだ。
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