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27.王妃は罵倒する
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思ったよりも低く、冷たい声が出た。
キースは一瞬ぎょっとしたが、話を続けた。
「…お前が眠れないのはディアマンテの結婚が理由なんだろ?」
「違いますけど。…今日ずっと、俺寝てたでしょう。だから、その、夜に眠れなくなっちゃっただけですよ。てゆーか陛下こそ、やたらと兄さんの結婚に拘ってますね?」
「お前が、…あいつを、慕っているからだ」
「兄ですからね」
「…そうじゃなくて、『男として』だよ」
キースの返答に俺はフリーズする。
俺が?
兄さんを?
『男』として慕っている?
…あり得ない。
だって彼は従兄だし、小さい頃から本当の兄弟のように育ってきたし、そもそも今は両親と養子縁組をしたから戸籍上でも兄なんだ。
一度も『男』として見たことなんかない。
「黙っているのが証拠だろう」
「…お前がバカなことばっかり言うから呆れてんだろーが!どうしたらそんなトンチンカンな思考回路になるんだよっ!このアホっ!」
開口一番出てきたのはキースへの罵倒だった。
キースはきょとんとしている。
「兄さんはなっ、大柄で熊みたいな男だ!実の息子の俺よりも伯父である父さんにそっくりなんだよっ!兄さんに対してあー父親みたいだ、頼り甲斐があるなーって思っても、ときめいたりはしないっ!絶対になっ!俺のタイプはおっ…!」
キースは一瞬ぎょっとしたが、話を続けた。
「…お前が眠れないのはディアマンテの結婚が理由なんだろ?」
「違いますけど。…今日ずっと、俺寝てたでしょう。だから、その、夜に眠れなくなっちゃっただけですよ。てゆーか陛下こそ、やたらと兄さんの結婚に拘ってますね?」
「お前が、…あいつを、慕っているからだ」
「兄ですからね」
「…そうじゃなくて、『男として』だよ」
キースの返答に俺はフリーズする。
俺が?
兄さんを?
『男』として慕っている?
…あり得ない。
だって彼は従兄だし、小さい頃から本当の兄弟のように育ってきたし、そもそも今は両親と養子縁組をしたから戸籍上でも兄なんだ。
一度も『男』として見たことなんかない。
「黙っているのが証拠だろう」
「…お前がバカなことばっかり言うから呆れてんだろーが!どうしたらそんなトンチンカンな思考回路になるんだよっ!このアホっ!」
開口一番出てきたのはキースへの罵倒だった。
キースはきょとんとしている。
「兄さんはなっ、大柄で熊みたいな男だ!実の息子の俺よりも伯父である父さんにそっくりなんだよっ!兄さんに対してあー父親みたいだ、頼り甲斐があるなーって思っても、ときめいたりはしないっ!絶対になっ!俺のタイプはおっ…!」
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