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21.王妃は嫌味を言う

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近衛隊を伴い、馬車で2週間かけて向かう。
その間ずーっと馬車の中という密室で2人きりなのだ。
以前なら嬉しかっただろうが、キースの不倫が発覚した今となっては苦痛でしかない。
あっちから話しかけてくることもないから、黙り続けてればいいや。
などと乗る前は思っていたのだが、馬車が動き始めるといなやキースが口を開く。

「具合はもう大丈夫なのか?」
「へっ?」

まずい。
驚いて、間抜けな声が出ちゃった。

「あ、いや、嫁いでから3年間体調を崩したことなどなかっただろう」
「…あぁ、はい」
「…その、心配したんだ。あのパーティーの後だったから。ホスミシン家の人間も同席していただろう」

…あの?
確かにパーティーでの浮気現場遭遇が体調不良の原因だが、あの時キースには俺の存在は気付かれていなかった。
もちろんモネにも。
なぜ『何も知らない』俺とホスミシン家に何かあるような含みのある言い方をするんだ?

「…それではホスミシン家の方々には俺が気分を悪くする何か理由があるのでしょうね」
「やっぱり何かあったのか!?」

キースの真意は掴めなかったが、少なくとも俺の知っている限り『ホスミシン家にはお前の愛人がいる』という意味を込めて返した。
にも関わらず、キースはなぜだかビックリ顔で食いついた。
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