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14.王妃は馬鹿にされる

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そうして朝起きると、俺の目は涙のせいで赤く腫れぼったくなっていた。
リディアに軽く化粧をしてもらって、赤みはどうにか抑えられたものの、むくみはどうしようもできないままだ。
そんな状態で財務省の高官を迎えたパーティーに出向くことになった。

キースは公務の都合で遅れるため、俺は先に1人で会場である大広間へ行く。
パーティーには既に貴族や商人が集まり、とても賑わっている。

「あらぁ!モネ様のネックレス、素敵ね!かなり豪華だわ」
「これ、先日買ったばかりなの。ここ2年ほど我が家に出入りしている若い商人なんだけど、とても良い品を扱っているのよ。あなたにも紹介してあげるわ!」
「ありがたいですわ!いつも美しいモネ様の御用達なら間違いないですものね!」

その中で煌びやかな衣裳を身に纏い、取り巻きたちと楽しく談笑するホスミシン一家はとても華やかな存在で一際目立っていた。

一方の俺はどうにか出席者たちとコミュニケーションを取ろうと話しかけようとしたが、皆そそくさと逃げていく。
出席者たちは目も合わせてくれやしない。
確実に俺は避けられている。
はぁ、嫌われ者ってほんと大変だ。

しょうがないので、俺は会場の隅でひっそりと佇む。
すると、リュゼ公爵夫人とモネ嬢が近付いてきて、俺に話しかけてきた。

「あらーっ!エスメラルダさん、来ていたのねー!全然気が付かなかったわよー!だってあなた、壁と一体化しているんですもの、ふふふ」
「だーれもお喋りしてくれないなら、私たちに話しかけてくれたら良かったのに。独りでぽつんとしている
王妃なんて見たことないわよ!」
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