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12.王妃は笑いかける

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「何だ?」
「あの…、えっとぉ…、あっ、カップケーキをね焼いたんです」
「…カップケーキだと?」
「そう、です。上手にできたので…、陛下もいかがですか?あっ、俺が作ったし、食べてもいますので、もちろん毒とかありませんから!」

キースは射抜くような鋭い目つきで俺をじっと見る。
あーやっぱり怒らせたかなぁ。

「そこまで言うなら…、食べる」
「えっ!? あぁ、どうぞ…」

俺がおずおずと手渡したカップケーキをキースは口にした。
彼の反応をドキドキしながら見守る。

「…美味い」
「本当!?」
「あぁ」
「へへっ、やったぁ」

嬉しくて思わず笑いかけると、キースはぷいっとそっぽを向いた。

「だが、これからはこういうのは止めろ」
「えっ」
「分からないのか?俺には不要だと言っている。そうだな…、これからは近衛隊のディアマンテにでも渡せ」
「ディアマンテ…、義兄さんに、ですか?」
「今からでも俺よりディアマンテに尽くせ。お前にとってもその方が良いだろう。今後は実家に身を寄せることになるんだからな」

ディアマンテは近衛隊に所属する武官で、俺とは従兄弟同士。
小さい頃にキースと会う度に連れ立っていたのが彼だ。
そして今は俺の生家であるムニーラ伯爵家の養子となっている。
つまり義兄であり、彼は次期当主となる予定だ。

今から義兄に尽くしておけ?
実家に身を寄せる?
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