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98.その後の2人

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その後、エレノアはシャロルさんによって密かに自室へ運ばれた。
そして何事もなかったかのように、即位式が行われた。

ユージーン王太子は皆に祝福されながら王位に就き、その場でエレノアとシャロルさんの結婚が発表された。
表向きは『アルファ』が『オメガ』に婿入りするという形で。
会場では出席するはずだった当事者2人の不在を訝しむ声が僅かに囁かれたものの、大国の王族同士の婚姻を素直に喜ぶ者がほとんどだった。

式を終えて、俺とトーニャは別棟の庭園をただ黙って散策する。
お互いに話したいことや聞きたいことがあったけれども、何から言えば正解なのかよく分からなかったのだ。
そんな中で先に口を開いたのは俺だった。

「一時はどうなるのかと思ったけど、即位式は無事に済んで良かったね」
「そうだな」
「それにしてもシャロルさんがアルファだなんて夢にも思わなかったよ。オメガだって言ってたし」
「あいつは王位継承権争いに巻き込まれたくなくて、ああやって偽ってるんだ。妹のアリエス王女とは父親が違っているんだが、彼女の父親は身分が低くてな。それに比べて、シャロルの父親は王家に繋がる血筋で幼少の頃から否応なしにあいつを持ち上げようとする不埒な輩も多かったそうだ。そういう奴等と関わりたくないから嘘をついてるんだってさ」
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