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96.エレノアの誤算
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「トーニャ…」
俺は思いがけず今にも泣き出しそうな弱々しい声になってしまった。
だが、トーニャの返事は得られなかった。
その一連の行動に対して、エレノアは口角を吊り上げてほくそ笑んだ。
「これで兄様は僕のものになるっ!」
ヒートに身悶えてうずくまりながらも、エレノアはトーニャだけを真っ直ぐ見つめている。
自分を求めてくれるのをただただひたむきに待っている。
けれども、トーニャがエレノアの元に向かうことは決してなかった。
「何も感じない…」
「は?」
「…今、エレノアは本当にヒートを起こしているのか?」
「そうだよ!そうに決まっているでしょう!?兄様をあれほど膚にしたフェロモンが僕から出てるんだよ!?さぁ、早く頸を噛んでよっ!」
エレノアは真っ白な頸を乱暴な手つきで晒した。
しかしながら、トーニャとエレノアの距離は変わらな
いままだった。
「エレノア、諦めろ」
「何言ってるの、ユージーン兄上!?馬鹿なこと言わないで!部外者は引っ込んでろよ!」
「いいか、よく聞け。トーニャは真白くんと番になったことでフェロモンの感知能力に変化があった。だからこれから先何度お前がヒートを起こしたとしても、トーニャには影響を及ぼさないんだよ」
俺は思いがけず今にも泣き出しそうな弱々しい声になってしまった。
だが、トーニャの返事は得られなかった。
その一連の行動に対して、エレノアは口角を吊り上げてほくそ笑んだ。
「これで兄様は僕のものになるっ!」
ヒートに身悶えてうずくまりながらも、エレノアはトーニャだけを真っ直ぐ見つめている。
自分を求めてくれるのをただただひたむきに待っている。
けれども、トーニャがエレノアの元に向かうことは決してなかった。
「何も感じない…」
「は?」
「…今、エレノアは本当にヒートを起こしているのか?」
「そうだよ!そうに決まっているでしょう!?兄様をあれほど膚にしたフェロモンが僕から出てるんだよ!?さぁ、早く頸を噛んでよっ!」
エレノアは真っ白な頸を乱暴な手つきで晒した。
しかしながら、トーニャとエレノアの距離は変わらな
いままだった。
「エレノア、諦めろ」
「何言ってるの、ユージーン兄上!?馬鹿なこと言わないで!部外者は引っ込んでろよ!」
「いいか、よく聞け。トーニャは真白くんと番になったことでフェロモンの感知能力に変化があった。だからこれから先何度お前がヒートを起こしたとしても、トーニャには影響を及ぼさないんだよ」
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