100 / 110
93.睨むエレノア
しおりを挟む
2人が意味深に視線を合わせる。
俺は話の真意を掴みきれずに困惑する。
「僕、ユージーン兄さんに挨拶してくるから。また後でね」
シャロルさんはそう言うと、片手を振って去っていった。
「何の話?後半、よく分からなかったけど…」
「すぐに分かる。だから気にするな」
「何だよ、それ。まぁいいけど。…でも、これからは城を離れて、新居で暮らすんだよな」
「あぁ、公表も引っ越してからだ」
薬のすり替え事件の全容が明らかではないために城よりも新居の方が安全だと考えて、妊娠を公にするのは引っ越しを済ませてからにしようと相談して決めていた。
確かに首謀者のエレノアとは一切会っていないので、特に問題は起きていない。
しかしながら、エレノアのトーニャへの執着を知ってしまった今となっては逆にそれがひどく不気味に思えた。
少し不安な表情をした俺の手をトーニャが握ってくれる。
「大丈夫、俺が守るから。もう迷いはない」
「うん」
俺とトーニャが微笑み合ったその瞬間、バンッと大きな物音がした。
音がした方向に急いで向かうと、城の一室でエレノアがユージーン王太子とシャロルさんを睨みつけていた。
人払いをしていたようで、周囲に使用人は1人もおらず、部屋の中には3人しかいなかった。
「なぜ!僕がお前なんかと結婚しなくちゃいけないの!?」
俺は話の真意を掴みきれずに困惑する。
「僕、ユージーン兄さんに挨拶してくるから。また後でね」
シャロルさんはそう言うと、片手を振って去っていった。
「何の話?後半、よく分からなかったけど…」
「すぐに分かる。だから気にするな」
「何だよ、それ。まぁいいけど。…でも、これからは城を離れて、新居で暮らすんだよな」
「あぁ、公表も引っ越してからだ」
薬のすり替え事件の全容が明らかではないために城よりも新居の方が安全だと考えて、妊娠を公にするのは引っ越しを済ませてからにしようと相談して決めていた。
確かに首謀者のエレノアとは一切会っていないので、特に問題は起きていない。
しかしながら、エレノアのトーニャへの執着を知ってしまった今となっては逆にそれがひどく不気味に思えた。
少し不安な表情をした俺の手をトーニャが握ってくれる。
「大丈夫、俺が守るから。もう迷いはない」
「うん」
俺とトーニャが微笑み合ったその瞬間、バンッと大きな物音がした。
音がした方向に急いで向かうと、城の一室でエレノアがユージーン王太子とシャロルさんを睨みつけていた。
人払いをしていたようで、周囲に使用人は1人もおらず、部屋の中には3人しかいなかった。
「なぜ!僕がお前なんかと結婚しなくちゃいけないの!?」
79
お気に入りに追加
1,918
あなたにおすすめの小説
攻略対象5の俺が攻略対象1の婚約者になってました
白兪
BL
前世で妹がプレイしていた乙女ゲーム「君とユニバース」に転生してしまったアース。
攻略対象者ってことはイケメンだし将来も安泰じゃん!と喜ぶが、アースは人気最下位キャラ。あんまりパッとするところがないアースだが、気がついたら王太子の婚約者になっていた…。
なんとか友達に戻ろうとする主人公と離そうとしない激甘王太子の攻防はいかに!?
ゆっくり書き進めていこうと思います。拙い文章ですが最後まで読んでいただけると嬉しいです。
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
魔王討伐後に勇者の子を身篭ったので、逃げたけど結局勇者に捕まった。
柴傘
BL
勇者パーティーに属していた魔術師が勇者との子を身篭ったので逃走を図り失敗に終わるお話。
頭よわよわハッピーエンド、執着溺愛勇者×気弱臆病魔術師。
誰もが妊娠できる世界、勇者パーティーは皆仲良し。
さくっと読める短編です。
愛などもう求めない
白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。
「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」
「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」
目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。
本当に自分を愛してくれる人と生きたい。
ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。
ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
誰よりも愛してるあなたのために
R(アール)
BL
公爵家の3男であるフィルは体にある痣のせいで生まれたときから家族に疎まれていた…。
ある日突然そんなフィルに騎士副団長ギルとの結婚話が舞い込む。
前に一度だけ会ったことがあり、彼だけが自分に優しくしてくれた。そのためフィルは嬉しく思っていた。
だが、彼との結婚生活初日に言われてしまったのだ。
「君と結婚したのは断れなかったからだ。好きにしていろ。俺には構うな」
それでも彼から愛される日を夢見ていたが、最後には殺害されてしまう。しかし、起きたら時間が巻き戻っていた!
すれ違いBLです。
ハッピーエンド保証!
初めて話を書くので、至らない点もあるとは思いますがよろしくお願いします。
(誤字脱字や話にズレがあってもまあ初心者だからなと温かい目で見ていただけると助かります)
11月9日~毎日21時更新。ストックが溜まったら毎日2話更新していきたいと思います。
※…このマークは少しでもエッチなシーンがあるときにつけます。
自衛お願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる