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91.丸ごと全部受け入れる

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俺はトーニャを胸元に抱き寄せる。

許すことも助けることも俺にはできやしない。
その代わりに俺がトーニャにしてやれるのはこいつの丸ごと全部を受け入れることだけだ。

「番を得れば、オメガはそのフェロモンで他のアルファを惑わすことはなくなる。けれども、アルファは違う。もちろん番持ちはフェロモンへの耐性が一層つくようにはなるが、それがどの程度なのかは分からない。俺はまだエレノアが恐ろしい」

俺は本心を吐露してくれたトーニヤの頭をポンポンとした。
それは子どもをあやすように優しく、そして温かく。
すると、トーニャはゆっくりと目を閉じた。

「大丈夫だよ、トーニャ。前に言っただろ?本能に負けてもいいって。俺と一緒にいる時くらい戦わなくていいんだよ。たとえエレノアのヒートに当てられたとしても。トーニャは絶対裏切らないって、俺は信じてる。だからずっと傍にいてよ」
「…離れないでいてくれるのか?」
「そんなの当たり前だろ!俺はな、とうの昔に覚悟決めてんだよ。何があっても、お前の傍にいることを。お前、俺のこと見くびるなよ!」
「…真白、ありがとう」

そう言ったトーニャは安心したように微笑むと、俺の背に手を回して、抱き締め返してくれた。
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