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19.5 真白とトーニャの休日(1)
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過労で倒れてから、1週間が経った。
休業中は仕事以外ずっとトーニャが俺の面倒を見てくれた。
ようやく体調が全回復してきたので、昨日からお妃教育とほどほどの城のお手伝いを再開した。
そして今朝。
なぜか寝起きの俺の前には仁王立ち&腕組みのトーニャがいる。
「…何ですか?」
「今日は俺に付き合え」
「あー式典とかそういう系?夫婦同伴で出席が必要ってこと?それなら前もって言ってよ」
「違う」
「じゃあ、何なの?」
「特に何もないが…」
出たよ、もう。
まーた強引なこと言いやがって。
出会った頃の我が儘ぶりは最近鳴りを潜めていたと思っていたのに。
無言で抵抗すれば、根負けしたトーニャがため息をついてから口を開く。
「非番だから、真白も休みにして一緒に過ごさないかと言っている。お前は誰か見張っていないと、また働き出すだろう?」
あぁ、なるほど…。
俺はそれがトーニャなりの気遣いだったのだとようやく気付いた。
「…今日はサファイアさんとクオーツさんにお礼用のクッキーを作るから、それを手伝ってよ」
「分かった。早くしろよ、朝食ができているからな」
そう答えたトーニャは満足気な表情で部屋から去っていった。
ほんと身勝手な奴。
のはずなんだけど、俺はあいつに言われるままに寝床を出て、せっせと支度をした。
休業中は仕事以外ずっとトーニャが俺の面倒を見てくれた。
ようやく体調が全回復してきたので、昨日からお妃教育とほどほどの城のお手伝いを再開した。
そして今朝。
なぜか寝起きの俺の前には仁王立ち&腕組みのトーニャがいる。
「…何ですか?」
「今日は俺に付き合え」
「あー式典とかそういう系?夫婦同伴で出席が必要ってこと?それなら前もって言ってよ」
「違う」
「じゃあ、何なの?」
「特に何もないが…」
出たよ、もう。
まーた強引なこと言いやがって。
出会った頃の我が儘ぶりは最近鳴りを潜めていたと思っていたのに。
無言で抵抗すれば、根負けしたトーニャがため息をついてから口を開く。
「非番だから、真白も休みにして一緒に過ごさないかと言っている。お前は誰か見張っていないと、また働き出すだろう?」
あぁ、なるほど…。
俺はそれがトーニャなりの気遣いだったのだとようやく気付いた。
「…今日はサファイアさんとクオーツさんにお礼用のクッキーを作るから、それを手伝ってよ」
「分かった。早くしろよ、朝食ができているからな」
そう答えたトーニャは満足気な表情で部屋から去っていった。
ほんと身勝手な奴。
のはずなんだけど、俺はあいつに言われるままに寝床を出て、せっせと支度をした。
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