【完結】社畜が異世界転移しましたが、第2王子の妃になったので、この度のんびり暮らしたいと思います。

43．長い間守られた約束

ルナマリア・ミシェルと南条柊が同一人物だと思ったのもエレノアの嫌味がきっかけだった。

俺と同様に異世界転移者である柊もルナマリアもオメガだ。
彼らは恋仲だったとされているが、既にガーランド国王の番であったルナマリアが体質的に柊を受け入れることはできない。
つまり、2人が不倫に至るのは無理な話だ。

もし寵妃であるルナマリアを快く思わない者たちの妄言があったとしても、それは国王が1番よく分かっているはず。
なのに、わざわざルナマリアを廃妃にし、柊を処刑して、2人を自身の元から遠ざけた。

だとすると、素性どころか顔さえ知られていないオメガと世話係として唯一接していたオメガが実は同一人物だとして、国王には彼1人と離れなければならない事情があったと考える方が辻褄が合う。

「そっかぁ、全部お見通しってわけかー。うん、俺も真白くんと同じ。異世界からここへやって来たんだ」
「柊さんはいつ頃こちらに?」
「もう30年くらい前になるかな。俺、こっちに召喚されてすぐにガーランドに保護してもらって」
「長いお付き合いなんですね」
「年数だけ見るとそうなんだよね。でも、ほとんど離れてるから一緒に過ごした時間は少ないよ」
「…会ったりはしないんですか?」
「うん…。オリヴィエとそう約束したから」