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8.婚姻のお許し

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華麗なる王族にビビる俺のことなど気にも留めず、トーニャは高らかに宣言する。

「国王陛下、本日はこの者との婚姻のお許しをいただきたく参りました」

「名は何と申す?」
国王に婚約者の名前を聞かれたトーニャは慌てて、俺の方を向く。

その動揺に対して、そういえば名乗っていなかったっけ?と気付く。
こいつ、ちょっと抜けているんだなと思うのと同時に、そんな彼の姿に緊張がほぐれていくのを感じた。

「氷雪 真白(ひせつ ましろ)です」
「真白、異世界からよく来てくれた。感謝する。私はレオンスタリア王国第7代国王ガーランド・ヴァーニールだ」

トーニャの代わりに自分で名を述べた俺に、国王は微笑みを見せる。

「こちらは王妃のオリヴィエ・ヴァーニール。傍らにいる赤髪がトーニャの兄で王太子のユージーン・ヴァーニール。そして、王妃と瓜二つなのがトーニャの弟で第3王子のエレノア・ヴァーニールだ。母親そっくりだろう」

国王に紹介された3人はそれぞれ違う表情を見せる。

一切表情を変えることのない王妃、父親と同じ灼眼をこれまた同様にニコニコとしながら細める王太子、ムッと睨みつけてくる第3王子。

「トーニャから異世界より花嫁を迎えたいとの申し出があったときは驚いたが…。真白には大変な迷惑をかけたな。けれども、こんな愛らしい子が息子の妻になってくれるなんて、私としては嬉しい限りだ」

「陛下」

顔を綻ばせながら喜ぶ国王に対して、王妃は冷ややかな目線を送って言った。

「トーニャと真白の婚姻を許そう。夫婦として、お互いを支え合う気持ちを忘れるな」
「ありがとうございます、陛下」

トーニャが恭しく頭を下げるのを見て、俺もつられて同じ行動をとる。
下を向きながら、この一癖も二癖もありそうな王族の一員として、正式に認められたのだと思うと、少し心配になってきた。
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