運命の番じゃないあなたを愛している

45．『運命の番』だからやり直せる

（ソニアとクラウスが恋愛関係にあるのかと思っていたけれども、まさか兄弟だったとは…。ソニアと一緒に暮らしているクラウスに対して嫉妬していたことと仕事のせいでなかなか会えないことから疑ってしまっていたが、ソニアの性格上浮気するはずがなかったんだ…）

ソニアには軍人らしい粗野な部分はあるものの、基本的には誰に対しても嘘や隠し事を一切せず、誠実に接することができる真っ直ぐな性根の持ち主だ。
それは長年ソニアと交際していたレイモンドが1番よく理解していたことだったのに。

（俺はなんて過ちを…。ソニアがエルランジュ公爵家の一員だと分かれば、冤罪事件だって雲散するし、お母様も嫁として喜んで認めてくれるに決まっている。この国でエルランジュ家はそれだけの大きな力を持っている。それなのに、こんな愚かな女と一緒になるためにソニアを捨ててしまうなんて…。運命の番なのに…）

レイモンドは一時の情欲だけでソニアを捨てて、メイリンを選んでしまったことをひどく後悔した。
だが、ふとよぎった『運命の番』というワードにレイモンドははたと気付く。

まだ自分は間に合うと。
自分たちは絶対にやり直せるに決まっていると。

（捨ててなんかない、俺はソニアを再び手に入れられる。だって俺たちは『運命の番』だから）