上 下
29 / 59

28.俺に抱かれる

しおりを挟む
「手はあるんじゃないのかよ…」
「あぁ。ヒートを確実に落ち着かせるために君が俺に抱かれる。これしか方法はない」
「はあぁぁぁっ!?お前、何言ってんだ!?俺には番がっ!」

『番がいる』
そう言おうとした自分をソニアは未練がましく、そして情けなく思った。
途中で口を噤み、俯いたソニアを見て、ヴォルフは自分の言葉で彼を傷つけてしまったのだと察した。

「ごめん、デリカシーのないこと言ったよね。ソニアちゃんの気も知らないで。ただ、これだけは信じてほしい。俺は君の身を案じているんだ。並のアルファのフェロモンでは君のヒートを止められない」
「…だったら、お前なら止められるっていうのか?」
「あぁ。イメージ的には俺の強いフェロモンを直接注ぎ込むことで、ソニアちゃんのフェロモンにぶつける感じ。でも、まずは薬を明日から毎晩飲んでみて。ヒートを少しでも弱めるためにも。もしかしたら、上手いこと抑えられるかもしれない」
「…分かった」
「じゃあ、ゆっくり休んで。おやすみ」

ヴォルフは椅子から立ち上がると、部屋から出て行った。

「はぁ…」

1人になったソニアは盛大にため息をついた。

「…抱かれる?…ヴォルフに?本気かよ…」

ソニアはレイモンドと別れて以降、そんなこと一切考えもしなかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】別れ……ますよね?

325号室の住人
BL
☆全3話、完結済 僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。 ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。

【本編完結】αに不倫されて離婚を突き付けられているけど別れたくない男Ωの話

雷尾
BL
本人が別れたくないって言うんなら仕方ないですよね。 一旦本編完結、気力があればその後か番外編を少しだけ書こうかと思ってます。

どうも。チートαの運命の番、やらせてもらってます。

Q.➽
BL
アラフォーおっさんΩの一人語りで話が進みます。 典型的、屑には天誅話。 突発的な手慰みショートショート。

僕はあなたに捨てられる日が来ることを知っていながらそれでもあなたに恋してた

いちみやりょう
BL
▲ オメガバース の設定をお借りしている & おそらく勝手に付け足したかもしれない設定もあるかも 設定書くの難しすぎたのでオメガバース知ってる方は1話目は流し読み推奨です▲ 捨てられたΩの末路は悲惨だ。 Ωはαに捨てられないように必死に生きなきゃいけない。 僕が結婚する相手には好きな人がいる。僕のことが気に食わない彼を、それでも僕は愛してる。 いつか捨てられるその日が来るまでは、そばに居てもいいですか。

偽物の僕は本物にはなれない。

15
BL
「僕は君を好きだけど、君は僕じゃない人が好きなんだね」 ネガティブ主人公。最後は分岐ルート有りのハピエン。

もう人気者とは付き合っていられません

花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。 モテるのは当然だ。でも――。 『たまには二人だけで過ごしたい』 そう願うのは、贅沢なのだろうか。 いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。 「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。 ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。 生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。 ※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

【完結】可愛いあの子は番にされて、もうオレの手は届かない

天田れおぽん
BL
劣性アルファであるオズワルドは、劣性オメガの幼馴染リアンを伴侶に娶りたいと考えていた。 ある日、仕えている王太子から名前も知らないオメガのうなじを噛んだと告白される。 運命の番と王太子の言う相手が落としていったという髪飾りに、オズワルドは見覚えがあった―――― ※他サイトにも掲載中 ★⌒*+*⌒★ ☆宣伝☆ ★⌒*+*⌒★  「婚約破棄された不遇令嬢ですが、イケオジ辺境伯と幸せになります!」  が、レジーナブックスさまより発売中です。  どうぞよろしくお願いいたします。m(_ _)m

運命の番はいないと診断されたのに、なんですかこの状況は!?

わさび
BL
運命の番はいないはずだった。 なのに、なんでこんなことに...!?

処理中です...